IT・科学
山手線で一番無名? 田端LINEスタンプ、ヒットへの入念な戦略
正直、陰が薄いことは否めません。JR山手線の「田端」駅のことです。そんな田端駅を盛り上げようと、発売されたLINEスタンプが人気を呼んでいます。
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正直、陰が薄いことは否めません。JR山手線の「田端」駅のことです。そんな田端駅を盛り上げようと、発売されたLINEスタンプが人気を呼んでいます。
正直、影が薄いことは否めません。JR山手線の「田端」駅のことです。ところが、そんな田端を盛り上げようと地元住民が売りだした、LINEスタンプが人気を呼んでいます。地味な題材、ゆるーいイラスト、だからこそ、人気獲得までにはゆるくない戦略があったそうです。
「山手線で1番無名!」。
1月に発売されたLINEスタンプ「田端」は、全40種類で120円。ゆるい白黒のキャラクターが、自虐的な言葉や、街の魅力をつぶやいています。「目のつけどころが田端でしょ」など、あまり意味が分からないスタンプも。田端住民以外、いや田端住民であっても、どんな場面で使うのか疑問に感じざるを得ません。
ところが、発売以来、人気がじわじわと拡大。1月31日にLINEが発表した1週間の「使用率ランキング・ベスト5」では、見事1位に輝きました。このランキングは、1千セット以上売れたスタンプが対象で、実際に使われた割合が多いほど上位に入ります。
現在、販売されているLINEスタンプは、23万種類以上にのぼります。激しい競争のなか、どうやって注目を集めたのでしょうか。
「やってみたいことやってみる協会」の名で活動している、制作者のイベントプランナー櫻井寛己さん(26)に、その秘密を聞きました。
――「田端スタンプ」を作ろうと思われた理由は。
「私は生まれて26年、ずっと田端に住んでいます。主要駅へのアクセスも良いし、住むにはすごく良い場所なんです」
「なのに、意外と田舎から上京してきた人に『地元の駅の方が栄えてるわー』『駅前何もないじゃん』とバカにされることがあって。それが非常に悔しく、田端をどうにかして盛り上げたいと考えた結果『田端スタンプ』なるものが生まれました」
――なぜ、こうしたデザインに?
「コンセプトは『下手くそな人が描いた絵は面白い』です。スタンプには男の子と女の子が登場しているのですが、2人の違いもあまり伝わらないくらい、私の絵が下手だと自覚はしています。それよりも、言葉に重点を置きました。毒を吐いてるのに誰も傷付けない、田端の絶妙なポジションを生かせるような言葉を意識しました」
――ほかに、こだわった点は?
「とにかく情報発信に力を入れました。LINEスタンプの販売では、これが一番大事かもしれないですね。興味を持ってもらえるような文面を自分なりに練って、プレスリリースを個人でも載せてもらえるサイトで発信しました」
「文面は『田端が好きな人にはぜひともオススメのスタンプなのだが、果たしてそんな人いるのだろうか? 頑張れ田端。田端信太郎になんて負けてる場合じゃないぞ』といったものです。すると、驚いたことに共同通信のサイトが、記事を配信してくれました」
――プレスリリースにある「田端信太郎さん」とは、もしかして。
「はい。LINE上級執行役員の田端信太郎さんです」
――確かに田端ではありますが・・・
「情報発信でもう一つこだわったのが、この田端つながりです。『田端』とネット検索すると田端信太郎さんの記事を拝見することが何度もありました。田端駅より田端信太郎さんの方が有名なのかもしれない。悔しい!!田端をもっと有名にしなくてはという使命感にかき立てられました」
「どうせなら、田端さんにもスタンプの存在を知ってもらいたい、というのを最重要目標に掲げ、いっそのこと田端さんをイメージしたイラストも作ってしまえ、という結論に至りました」
「LINE社内に向けて作ったといっても過言ではありません。発売後、多数のフォロワーがいる田端さんに、ツイッターで反応していただいたことで、それがまた新しい記事になるといった流れが出来ました」
山手線で一番無名?"田端"に注目したLINEスタンプが登場 - LINE NEWS https://t.co/9aYh19DzUn #linenews @news_line_meさんから
— 田端 信太郎 (@tabbata) 2016年1月11日
――売れ行きの推移はいかがですか。
「発売されて多数のニュースサイトなどに取り上げられられたときには、売り上げはかなり順調でした。LINEの使用率ランキングに載ったときも伸びましたが、今はまた売り上げが落ち着きつつある状態です」
「話題になるとすぐさま売り上げに直結する勢いを感じた一方で、ブームでは終わらせずに継続的なコンテンツにしていく難しさもあります。ですが、LINEスタンプは、デザインも売り方も工夫次第。素人にとってまだまだ開拓出来る市場だということも、実感しています」
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