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「ほぼほぼ」の進捗率は何%? いつから出現? 専門家に聞いてみた
最近、「ほぼほぼ」という言葉をよく耳にします。正直、少し気になります。街に出て、尋ねてみました。
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最近、「ほぼほぼ」という言葉をよく耳にします。正直、少し気になります。街に出て、尋ねてみました。
最近、「ほぼほぼ」という言葉をよく耳にします。正直、少し気になります。街に出て、尋ねてみました。
夜のとばりが下りたJR新橋駅前。待ち合わせ中の会社員女性(24)に声をかけると、「よく使います。先日も友達に予定を聞かれ、『その日はほぼほぼOKだよ』って」。横にいた友人たちもうなづいて聞いていました。ただ、女性が「上司にも使います」と言うと、友人たちは「えー、それはないない」。そろって驚き、否定していました。
別の会社員男性(27)は「進捗度でいえば、ほぼは90%で、ほぼほぼは95%かな」と教えてくれました。一方、新橋駅前で40年以上靴磨きを続けている中村幸子さん(84)は首をかしげました。「ホボホボ? うーん、お客さんからも聞いたことないねぇ」
声をかけたのは全部で男女15人。「聞いたことがない」と答えたのは2人だけでした。
そもそも、いつごろから使われ始めた言葉なのでしょうか。国語辞典編集者の飯間浩明さん(48)にうかがいました。
――「ほぼほぼ」という言葉を初めて耳にしたのはいつごろですか。
初めて耳にした時期は2013年7月ごろで、個人の談話だったと思われます。その時、気になって調べてみると、「最古例」は1999年8月10日のネット上のブログでした。「新しい言い方だ」と思いました。
――どんな経緯で生まれた言葉なのでしょうか。
「ほぼほぼ」は日本語としてごくごく当たり前の強調表現です。「まあまあ」など、副詞やその他のことばを繰り返すことはめずらしくありません。
島崎藤村「破戒」では「今々其処へ出て行きなすった」と「今」を強調して重ねています。「源氏物語」の時代から「いと」を重ねて「いといと恥づかしきに」のように言うことはありました。
「そもそも」だって「そも」の繰り返し強調です。とすると「ほぼほぼ」をことさら俗語扱いすることもないのですが、新参者ということもあってか嫌う人が多いため、公に使いにくいのはやむをえないでしょう。
――ある言葉が流通したかどうか、「ことばの流通3条件」なるものがあるそうですね。
①多くの人が使い、誤解を生むおそれが少ない
②相手に失礼でない
③一見不合理でも、意味や文法、音韻から何らかの説明が可能
これらの3条件が備わっていれば十分と考えます。
――この点、「ほぼほぼ」はどうなのでしょうか。
仲間内、仕事仲間、親しい取引先あたりなら「3条件」に抵触しないでしょう。公の儀式、新聞記事などで使うと、このことばを嫌う人の耳目に触れる可能性があるので、配慮に欠けるとは言えます。あと10年経つと、このことばを俗語ではなく一般語と意識する若い人が増えるでしょう。
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