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東北新幹線、幻の愛称「みちのく」 ボツになった理由がやるせない

東北新幹線の開業前に国鉄が愛称を募集した時、1位に輝いたのが「みちのく」。東北らしい名前でしたが、逆にそれがあだとなり採用されませんでした。

東京駅の新ホームに初乗り入れした緑のラインの東北新幹線「やまびこ」の車両(手前)。向こうの青のラインは東海道新幹線の列車=1991年4月10日
東京駅の新ホームに初乗り入れした緑のラインの東北新幹線「やまびこ」の車両(手前)。向こうの青のラインは東海道新幹線の列車=1991年4月10日 出典: 朝日新聞

目次

 今では「はやぶさ」の名称で知られる東北新幹線には、幻の名前がありました。開業前に当時の国鉄が愛称を募集した際、1位に輝いたのが「みちのく」でした。東北らしい名前でしたが、逆にそれがアダとなり採用されず……。幻の愛称になってしまいました。

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「やまびこ」「あおば」→「はやて」→「はやぶさ」

 東北新幹線は1982年6月23日に開業。東海道新幹線の車体側面のストライプが「青帯」なのに対して、東北新幹線は「緑帯」でした。当初は大宮―盛岡間の区間でまずはスタートしました。

 最初の愛称は「やまびこ」「あおば」でしたが、その後「はやて」などが登場。現在は、九州行きブルートレインの愛称で親しまれた「はやぶさ」が登場しています。

ゆっくりと福島駅に入る試験走行の「あおば」をホームで迎える国鉄職員=1982年3月1日
ゆっくりと福島駅に入る試験走行の「あおば」をホームで迎える国鉄職員=1982年3月1日 出典: 朝日新聞
1982年のこの日、東北新幹線大宮―盛岡間が開業し、新幹線が初めて首都圏から北を目指した。東海道新幹線の「青帯」に対し当初の東北新幹線は「緑帯」。大型の雪よけなどの耐寒設備を整え、最高時速210キロで運転した。
2010年6月22日:(あすは何の日)6月23日 東北新幹線、盛岡まで開業:朝日新聞紙面から
当初の愛称は「やまびこ」「あおば」だったが、その後「はやて」などが登場。2011年春には九州行きブルートレインの愛称で親しまれた「はやぶさ」がデビューする。
2010年6月22日:(あすは何の日)6月23日 東北新幹線、盛岡まで開業:朝日新聞紙面から

「みちのく」大差で1位、なのに…

 しかし、東北新幹線の開業前に国鉄が愛称を募ったところ、別の名前「みちのく」が1位でした。9万2837通の応募のうち、6556票を集めしました。「あおば」は2位(3976票)、「やまびこ」は5位(2310票)でした。

 なぜ「みちのく」は採用されなかったのか? 理由は、「みちのく」があまりにも東北らしい名前だったからです。

 「みちのく」は陸前・陸中・陸奥・磐城・岩代の奥州5か国の古名で、語源は「陸奥国(むつのくに)」の古称「道奥国(みちのくのくに)」に由来すると言われています。

 一方、東北新幹線は大型の雪よけなどの耐寒設備を整え、最高時速210キロで運転する当時の最新鋭車両。初めて首都圏から北を目指した「夢の超特急」である新幹線のイメージにはなじまない、という理由で却下となりました。

東北新幹線開業30年の2012年6月23日、盛岡駅に到着した記念列車
東北新幹線開業30年の2012年6月23日、盛岡駅に到着した記念列車 出典: 朝日新聞
6556票を集め、1位に輝いたのが「みちのく」だ。だが超特急の新幹線のイメージにぴったり来ないことなどから、2位の「あおば」(3976票)と、5位の「やまびこ」(2310票)がそれぞれ最終的に選ばれた。「善幸」もあった。岩手県出身の元首相・鈴木善幸氏(故人)にちなんでの命名だろう。
(各駅停話:564)東北新幹線:3 大宮 幻の「みちのく号」
「みちのく」は陸前・陸中・陸奥・磐城・岩代の奥州5か国の古名で、語源は「陸奥国(むつのくに)」の古称「道奥国(みちのくのくに)」に由来する。常陸(茨城)の奥の国という意味だ。そして「越後(新潟)の先の出っぱり(出ばな)」が山形・秋田で、そこは「出羽」という正式な地域名があった。
2009年10月14日:(あきた時評)違和感のある言葉 アキタコマチはどこの米? 安倍甲さん:朝日新聞紙面から

東海道新幹線と乗り入れプランも

 東北新幹線には、もう一つ、隠れた歴史がありました。東海道新幹線と、東京駅で相互乗り入れする構想があったのです。

 しかし、電気の周波数が違う両新幹線で共用できる新車両の製造や、信号など制御系統の手直しには、多額の費用がかかることが判明。東京駅での乗降客数は東北よりはるかに多く、東海道側にとって直通運転のメリットが少ないことから、立ち消えになりました。

最新型E5系の「はやぶさ」=2013年3月5日
最新型E5系の「はやぶさ」=2013年3月5日 出典: 朝日新聞
国鉄時代、東北新幹線と東海道新幹線が線路でつながり、東京駅で相互乗り入れする構想があった。だが電気の周波数が違う両新幹線に共用できる新車両の製造や、信号、列車制御系統の手直しには多額の費用がかかる。東京駅での東海道の乗降客数は東北よりはるかに多く、東海道にすれば直通運転のメリットは少ない。数々の課題が立ちはだかり、構想は実現しなかった。
(各駅停話:562)東北新幹線:1 東京 ふるさとの悲願、東京日帰り

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