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中国の記者、その数20万人・男女比ほぼ半々…統計で見える意外な姿
記者の数、20万人。男女比ほぼ半々。中国の「記者節」(11月8日)に合わせて発表された統計からは、意外な中国メディアの姿が見えてきました。
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記者の数、20万人。男女比ほぼ半々。中国の「記者節」(11月8日)に合わせて発表された統計からは、意外な中国メディアの姿が見えてきました。
11月8日は中国の「記者節」(「記者の日」)です。日本では聞き慣れない日ですが、記者全員に「記者証明書」が必要な中国ならではの記念日になっています。全部で20万人。男女比ほぼ半々。「記者の日」に合わせて発表された統計からは、中国メディアの意外な姿が見えてきました。
「記者の日」は、1930年代から存在し、当時は9月1日でした。1937年に設立された中華全国新聞工作者協会(略称:中国記者協会)の、設立日が11月8日だったことから、2000年に、中国国務院が11月8日を「記者の日」に定めました。
「記者の日」と言っても、その日は休みではありません。「記者の日」以外にも、「看護師の日」(ナイチンゲールを記念する国際看護師の日)と「教師の日」もあり、いずれも、休日にはなっていません。
記者の日に合わせて、国家新聞出版広電総局が記者関連の統計情報を公開しました。国家新聞出版広電総局は、中国のメディア全般を管理している組織です。
統計を伝えた新華社通信によると、中国には20万8126人が「記者証明書」を持っています。その内訳は、新聞社8万2198名、雑誌5411名、通信社記者2599名です。
放送ではラジオ、テレビおよびドキュメンタリー映画製作所を合わせて、11万6735名の記者がいます。さらに、ニュースサイトにも1183名の記者がいます。
男性記者は11万818名で、割合は53.25%と、男女差はそれほど大きくありません。学歴は、短大3万9701人(19.08%)、大学14万9139人(71.65%)、修士1万8079人(8.69%)、博士725人(0.35%)です。学部卒業が圧倒的に多く、修士以上の学歴が少ないことが分かります。
年齢は、30歳以下が2万6440名(12.70%)、30-40歳 8万4523人(40.61%)、 40-50 歳6万8219人(32.78%)、50歳以上 2万8944人(13.91%)です。30代と40代が合わせて7割以上を占めることが分かりました。
新華社通信の報道によると、2014年7月15日から新しい記者証明書に更新中で、さらに3万人近くの人が申請中だそうです。
中国では、10数年前まで、新聞学部・学院(ジャーナリズムスクール)は学生たちの憧れの存在でした。しかし近年、ジャーナリズムスクールの「拡建」(新設)と「拡招」(学生募集数の拡大)による卒業生の急増と就職難、市場経済の発展によるモラル低下や質のばらつきで、社会的地位は低下してきました。
専門性が低く、間違った記事を書いた記者のことを揶揄する華製英語(中国だけで使われる英語)「jokarlist」(=joke+journalist)がネットの流行語になっています。そして、皮肉にも、後輩たちに「記者」という職業をすすめないケースも出ています。
象徴的なエピソードが、2014年6月の大学受験シーズンにありました。江蘇省で理系トップの成績をおさめた、呉呈傑氏が北京大の新聞学院(ジャーナリズムスクール)を志願すると、彼を取材した記者が「仕事がきつく、給料も少ないので、もうちょっと考えた方がいい」とアドバイス。結局、彼はジャーナリズムスクールを諦め、金融関係の専攻を選んだのです。
日本の場合、報道機関をすべて統率する政府機関はありません。日本新聞協会の統計によると、2015年に協会に加盟する新聞社・通信社93社の従業員数は4万1916人で、記者は1万9587人です。男性記者は1万6137人いる一方、女性記者は3450人で17.6%にとどまっています。中国と比べると、男性の割合が圧倒的に多くなっています。
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