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ゲーム音楽だけで番組「題名のない音楽会」FF・DQ…奇跡の共演

「題名のない音楽会」が11月22日、「ゲーム音楽史」を特集します。なぜ今? ゲーム音楽の魅力とは? プロデューサーに聞きました。

「題名のない音楽会」から。司会者の五嶋龍(中央)と作曲家の植松伸夫さん(右)=テレビ朝日提供
「題名のない音楽会」から。司会者の五嶋龍(中央)と作曲家の植松伸夫さん(右)=テレビ朝日提供

目次

 ピコピコ音から、まるで映画のような壮大な音楽まで。あのメロディーが吹奏楽の調べとして響き渡ります。「題名のない音楽会」(テレビ朝日系、日曜朝9時)が22日、「ゲーム音楽史」を特集します。ゲーマーたちの注目が集まるこの企画について、テレビ朝日の鬼久保美帆プロデューサーに聞きました。

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「題名のない音楽会」の「ゲーム音楽史」を担当した鬼久保美帆プロデューサー
「題名のない音楽会」の「ゲーム音楽史」を担当した鬼久保美帆プロデューサー

「神降臨」と言われた第一弾

――なぜゲーム音楽を特集したのですか
 そもそも5年前の2010年に一度、ゲーム音楽を大々的に取り上げたことがありました。「ファイナルファンタジー」の音楽を手がけた植松伸夫さん、「ドラゴンクエスト」のすぎやまこういちさん、ゲームクリエーターの桜井政博さんをゲストに呼びました。

 その頃、ゲーム音楽がアツいという業界のうわさを聞き、半信半疑でコンサートに行ってみると、お客さんがすごいんです。オーケストラの演奏で、クラシックの会場で見る客層とは違い、20~30代で女性が多い。オーケストラの奏でるゲーム音楽を聴き、世の中はこんな時代になっているのかとびっくりして。

 ゲーム音楽といっても、聴き応えがあってドラマチックなんです。番組には、ゲーマーたちから「神降臨」みたいな反響があって、ものすごい手応えを感じました。

すぎやまこういちさん=2011年11月
すぎやまこういちさん=2011年11月 出典: 朝日新聞

吹奏楽への広がり、新たな展開

――それから5年、今回はどんな内容に?
 今回5年ぶりに企画したのは、植松伸夫さんが吹奏楽でゲーム音楽を展開する動きを今年始めたからです。一般的にオーケストラと吹奏楽ってそんな違いがないように思われるかもしれませんが、吹奏楽になった途端、ターゲットが中高生に広がる。そういう世代の子たちがとても関心を持っていて、かつコンサートではみんな楽器を持ってきて、一緒に演奏する。

 オーケストラで聴くというのが、吹奏楽でみんなで一緒に演奏して楽しむという形に、時代が一歩先に進んだ気がしたんです。それに10月から司会者になったバイオリニストの五嶋龍もすごいゲーマーで、彼もぜひやりたい、と。ツイッターで告知したら、反響がすごくて、公開収録の応募もたくさんいただきました。

植松伸夫さん=佐賀市文化会館提供
植松伸夫さん=佐賀市文化会館提供

進化形としての「パズドラ」

――どうやって選曲したのですか
 植松さんの「ファイナルファンタジー」をはじめ、「スーパーマリオブラザーズ」「モンスターハンター」「パズル&ドラゴンズ」「ゼルダの伝説」から6曲を選びました。ネットでもリクエストを募集し、たくさん反応がありました。

 みなさんがどういう曲が好きなのかも参考にして、今回は「ゲーム音楽史」なので、時代ごとの象徴的なゲームを選択しました。スマホゲームの「パズドラ」も入れたのは、最近の進化形を見せたいと思ったからです。

パズル&ドラゴンズのゲーム画面=ガンホー・オンライン・エンターテイメント提供
パズル&ドラゴンズのゲーム画面=ガンホー・オンライン・エンターテイメント提供

映画音楽と似ている性格

――ゲーム音楽はどのように変わったのでしょうか
 いわゆるゲーム音楽の起点を今年発売30周年の「スーパーマリオブラザーズ」と考え、30年経つとそこまで変わったというのが非常にわかりやすくなっていると思います。
 「ファミコン時代」は制約が多く3音のBGMだったものが、音が豊かになると同時にハリウッド音楽のようになり、鑑賞用にもなった。映画音楽とゲーム音楽は、性格が似ていると思います。特にロールプレイングゲームは、何かの役になって旅に出て、敵と戦う。すごく具体的なシーン、場面の描写ですよね。

 今回、客席のゲストとして紫吹淳さんをお招きしたのも、ゲームはほとんど知らないけど、宝塚で場面を演じるという意味で共通するものがあると思ったからです。

1985年に発売された「スーパーマリオブラザーズ」のゲーム画面=任天堂提供
1985年に発売された「スーパーマリオブラザーズ」のゲーム画面=任天堂提供

未来形はリコーダー?

――番組では、ゲーム音楽の「未来」も提案されます
 ハリウッド音楽みたいになって、この先どこへ行くのか。植松さんもおっしゃっていましたが、大きいのがいいのではなく、ピアノだけとかギター1本とか、シンプルな形にひかれます。

 ゲームのBGMだったのが、鑑賞目的の音楽に。さらに植松さんが今年始めた吹奏楽のコンサートで、ターゲットが吹奏楽部の中高生とぐっと低くなった。さらにもっとみんなが演奏できるとしたら何だろう…となったら、小学校で習うリコーダーだったんです。

 曲は最後まで迷いましたが、やっぱりファイナルファンタジーのメインテーマが一番シンプル。きっとテレビの前の小学生が耳コピーできちゃうくらいの簡単さだと思います。
 リコーダーでの演奏は、郷愁感というか「ただいま」って言いたくなっちゃうような、何か分からないけど「ごめんなさい」って言いたくなるような、透き通った気持ちになれる。パブロフの犬じゃないけど、あれはリコーダーに対する体験からくる反応なんでしょうかね。

ゲーム音楽の進化形はリコーダー?
ゲーム音楽の進化形はリコーダー? 出典:pixta

今ならではの演奏を

――半世紀続く長寿番組。この秋、リニューアルしました
 コンセプトはアップデートです。時代時代の提案で音楽を生き生きとよみがえらせる。クラシックが基本コンセプトにはありますが、まさに今回のゲーム音楽のように、今ならではの演奏を提示したい。

 今度はフィギュアスケートの特集をやります。ショパンやディズニーも企画しています。番組としては、ファンの方に満足してもらい、かつそのジャンルを知らない方にも魅力の糸口を差し出していきたいと思っています。

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