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女子大生が風俗へ?「節目は派遣法とネット」ルポライターが見た現場
普通の女子大生が風俗へ……。風俗産業の変化を追ってきたライターの中村淳彦さんは「高学歴の女の子が風俗に入るケースが増えている」と言います。
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普通の女子大生が風俗へ……。風俗産業の変化を追ってきたライターの中村淳彦さんは「高学歴の女の子が風俗に入るケースが増えている」と言います。
普通の女子大生が風俗へ……。風俗産業の変化を追ってきたライターの中村淳彦さんは「育ちがよくて高学歴の女の子が風俗に入るケースが増えている」と言います。節目は「派遣法改正」と「ネット」と指摘する中村さん。いったい風俗産業の何が、いつ、変化したのでしょうか。
「90年代と今では、状況が全く違う」。中村さんによると、風俗産業で働く女性への偏見や差別が、その頃から急激に変わってきたと言います。
「風俗業界の中で働いている男性の中でも、現場で働いている女性に対して蔑視の目が強かった。それが今では、とにかく普通の人だらけで、偏見もなくなった」
その引き金になったのが、派遣法改正とインターネットの存在だった。中村さんは、そう指摘します。
1999年の派遣法改正では、それまで専門職種に限っていた派遣労働が、一部の業務を除き自由化されました。
派遣労働の広がりによって、雇用の不安定化が進んだと言われています。中村さんは、その影響が風俗産業にも及んだと指摘します。
「1990年代、やむを得ない事情で流れていくことが多かった風俗産業はある意味、最下層と言われていた。それが派遣労働の広がりとともに、風俗産業よりもっと劣悪な環境で働く人が、たくさん出てきた。その結果、増えたのが『普通の人、高学歴の人』の風俗への流入だったのです」
もう一つ、大きな影響を与えたのがインターネットです。ネットが浸透する前は、スカウトによる勧誘が主でした。
街中で声をかけて、様々な手口で女の子を誘うスカウトは、女性にとって警戒心を抱きやすい、ハードルの高い勧誘方法でした。
しかし、スカウトへの規制は年々、厳しくなり、2005年の東京都迷惑防止条例の改正によって、飲食店への客引きや性風俗店での勤務の呼びかけも禁止されました。
スカウトの次に出てきたのがインターネットです。ネットの求人を検索で探す延長で、風俗店の募集も目にすることができるようになりました。
中村さんは、直接、人と会わずに済むネット求人の存在が、風俗産業と接する機会を拡大させたと見ています。
なぜ、普通の女性、特に大学生が風俗産業に入ってしまうのか。中村さんが問題視するのが経済的な問題、中でも奨学金です。
中村さんは2015年10月に出した新著「女子大生風俗嬢」の中で、学費を自分で払って卒業したという慶応大学出身の元風俗嬢を紹介しています。その女性は、有利子の第二種奨学金を選ばず、効率的に稼げる働き口として風俗を選びました。
「全額返済の義務があり、就職と同時に借金を背負い込む奨学金をあえて選ばない子は、ある意味、よく考えているところがある」と中村さん。学費の高騰などから、自分で学費を稼がなければならない女子大生が、風俗店で働くケースが少なくないそうです。
中村さんは、まずは、風俗で働く女性の変化を知ることが必要だと訴えます。
「都会では、風俗店で働いてることがバレることを、気にしなくなっている。スカウトがいなくなり、ネットが浸透し、そこに雇用環境の変化がのしかかっている。風俗嬢になるきっかけは様変わりした。まずは、その現実を理解してほしい」
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