IT・科学
美肌予報、どこまで信じられる? 肌情報と気象ビッグデータが合体
ポーラと日本気象協会が、肌と気象のビッグデータを活用して共同開発した「美肌予報」。どの程度根拠があるものなのか。開発の経緯を聞きました。
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ポーラと日本気象協会が、肌と気象のビッグデータを活用して共同開発した「美肌予報」。どの程度根拠があるものなのか。開発の経緯を聞きました。
「いい皮膚の日」の11月12日、47都道府県ごとに1カ月間の肌状態を予測する「美肌予報」のウェブサイトが開設されました。ポーラと日本気象協会が、肌と気象のビッグデータを活用して共同開発しました。毛穴や乾燥、肌冷えなど7項目の肌状態を5段階で教えてくれるそうですが、どの程度根拠があるものなのか。開発の経緯を聞きました。
ポーラはひとり1人に合った化粧品を売る「アペックス」というブランドを売り込むため、無料で肌分析をする「スキンチェック」というサービスをしています。肌のキメや乾燥、糖化やコラーゲンなど11項目を調べ、年間60万人分以上の肌データを蓄積しています。
一方の日本気象協会は、気温や日照時間などの観測記録を都道府県ごとに月別でもっています。そこで過去4年間分の両社のデータから、気象条件と肌状態の関係性をつきとめ、独自の計算式を編み出しました。それを1カ月先の天気予報に掛け合わせることで、美肌予報が出てくるという仕組みです。
ウェブサイトでは、乾燥やシワ、紫外線など季節ごとに注意が必要な項目の肌状態を5段階で予測し、予報に応じた美肌のための美容術も紹介されています。12月の予報は、北西の季節風が弱くなりそうで例年の同時期より乾燥しにくく、全国的にお肌には優しくなりそうです。
更新は月1回。毎日の天気が分からないと意味ないのでは?とも思いますが、ポーラのアンチエイジング美容研究室の田代恵実さんは「肌はおよそ28日でターンオーバー(新陳代謝)するので、1カ月ごとの予報を知っておくことが大切です」といいます。
ちなみに日本気象協会はこれまでも、メーカーと共同でさまざまな指数を開発しています。始まりは2012年にロッテと共同開発した「のど飴指数」。ロッテのもつ販売データと、気象協会のもつ気温や湿度などのデータを掛け合わせて、空気の乾燥度合いをのど飴の個数で示しています。
ユニリーバ・ジャパンとの「除菌指数」は、複数の菌データを使って雑菌の増殖しやすさを5段階で予測します。「部屋干し指数」(すでに終了)はP&Gが提供したアレルギー専門医監修の花粉付着実験の結果の資料をもとに、風速や花粉の飛散予測などと組み合わせて算出したそうです。
ただ、これだけ細かな複数のデータとマッチングして指数を開発したのは今回の美肌予報が初めてだそう。日本気象協会広報課の加藤綾子さんは「生活の中の身近なお天気チェックだけでなく、企業のもつビッグデータと組み合わせることで新たな付加価値を提供したい」と狙いを話します。
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