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山﨑賢人が潜る「海中ポスト」は実在するの? 専用ハガキで年賀状も

ダイハツのCMに登場する「海中ポスト」。実は、実在する正式な郵便ポストです。なぜ、こんな所に作られたのでしょうか?

海中ポストにはがきを投函するダイバー=2005年12月、すさみ町で、すさみ町商工会提供
海中ポストにはがきを投函するダイバー=2005年12月、すさみ町で、すさみ町商工会提供

目次

 ダイハツのCMに登場する「海中ポスト」。山﨑賢人さんが「君に手紙を出したくなった」と言いながら、海に潜る姿が印象的です。セットにしてはリアルな「海中ポスト」は実在する正式な郵便ポストです。なぜ、こんな所に作られたのでしょうか?

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1999年に設置

 「海中ポスト」は1999年4月、和歌山県すさみ町にお目見えしました。ポストに入れるはがきはプラスチック製で、普通の鉛筆なら水中で書くことができます。裏に魚の写真が印刷されています。すさみ町内のダイビングショップ「ノアすさみ」が回収して郵便局へ届けてくれます。

 その年の12月には、年賀状の受け付けも開始。初日の12月15日には、ダイバー3人が水深約10メートルの海底に固定されたポストまで潜り、年賀スタンプが押された専用のはがきを投かんしました。

海中に設置されたポストに、はがきを入れる地元ダイビングショップのスタッフ=1999年4月
海中に設置されたポストに、はがきを入れる地元ダイビングショップのスタッフ=1999年4月 出典: 朝日新聞

「エアメール、シーメールはあるけれど、アンダーシーメールはない」

 「海中ポスト」は、南紀熊野体験博のイベントの一つとして、設置されました。

 当時、すさみ郵便局長だった松本敏彦さんが、体験博に合わせた地元PRの呼び物として発案しました。松本さんは、「すさみといえば美しい海。そして私は郵便局員。ふと、海の中に郵便ポストを置いたら面白いんじゃないか、と考えました」と振り返っています。

 ポストは、すさみ郵便局にあった廃棄寸前のものを再利用しました。ポストを「海中仕様」に改造するにはどうしたらいいか。松本さんは、すさみ町内に住むドイツ人、ピオルコフスキー・ハインツさんに相談しました。

 ハインツさんは約40年前、紡績会社のエンジニアとして来日。すさみの海に魅せられ、98年に移り住みました。「エアメール、シーメールはあるけれど、アンダーシーメールはない。ぜひ実現したい」と快諾。

 ハインツさんは、水に浮き上がるはがきを取り出すため、ポストの一番上をノコギリで切断。ドイツから取り寄せた海中でも錆(さ)びにくい蝶番(ちょうつがい)を付けて開閉式にしました。はがきが飛び出さないようにネットも付けました。

 さらに、ポストが浮き上がらないように、ポスト内に約1メートルの高さにまでコンクリートを流し込みました。底には鉄のレールを付け、海底で動かないようにしました。

 「海中ポスト」は世界初の試みとしてダイバーの人気を集め、1999年9月に体験博が閉幕した後も、受け付けを続けることになりました。2002年6月には、「世界一深い所にあるポスト」として2002年版ギネスブックに掲載されました。同じ月には、1万通目の投函(とうかん)記念式典も開かれました。

1年ぶりに取り換えられるポスト=2008年4月、すさみ町周参見の海底、クラブノアすさみ提供
1年ぶりに取り換えられるポスト=2008年4月、すさみ町周参見の海底、クラブノアすさみ提供
「海中から年賀状を出してみませんか?」。年賀状の受け付けが始まり、すさみ町の沖合に設置された世界唯一の海中ポストでも年賀状の投かんが始まった。初日の十五日には、ダイバー三人が水深約十メートルの海底に固定されたポストまで潜り、年賀スタンプが押された専用のはがきを投かんした。
1999年12月17日:すさみ町に世界唯一の海中ポスト 年賀状投かん開始:朝日新聞紙面から
 99年4月、県南部で「南紀熊野体験博」が開かれた。当時、すさみ郵便局長だった松本敏彦さん(63)が、体験博に合わせた地元PRの呼び物として発案した。
 「すさみといえば美しい海。そして私は郵便局員。ふと、海の中に郵便ポストを置いたら面白いんじゃないか、と考えました」
 松本さんは、すさみ郵便局にあった廃棄寸前のポストを再利用することにした。
2006年1月9日:(海のうた ひと・恵み・思い:8)海中ポスト 思い伝え、2万通超す:朝日新聞紙面から
すさみ町のダイビングサービス「クラブノアすさみ」前の海底(水深約10メートル)に設置されている海中ポスト=写真=が、「世界一深い所にあるポスト」として02年版ギネスブックに掲載された。9日には1万通目の投函(とうかん)記念式典も開かれる。
2002年6月8日:水深世界一の海中ポスト すさみ町、投函1万通記念式典:朝日新聞紙面から

日本の「おもしろいスポット」として登場

 CMでは、素潜りでの投函をあきらめかけた山﨑賢人さんが、地元の海女さんの背に乗って「海中ポスト」を目指します。

 CMの担当者によると「あなたを、日本を、おもしろく。」というCMメッセージを打ち出す中で、日本にあるおもしろいスポットの一つとして取り上げたそうです。

海底にあるポストに手紙を投函しようとした山﨑賢人さんが「やっぱ無理~!」と叫ぶCMは「実際に海中ポストがある和歌山県すさみ町で撮影しました」と宣伝担当者。「あなたを、日本を、おもしろく。」というCMメッセージを打ち出す中で、日本にあるおもしろいスポットの一つとして取り上げたそうです。
(はてなTV)海中ポスト、実在する?:朝日新聞デジタル

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