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山﨑賢人が潜る「海中ポスト」は実在するの? 専用ハガキで年賀状も
ダイハツのCMに登場する「海中ポスト」。実は、実在する正式な郵便ポストです。なぜ、こんな所に作られたのでしょうか?
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ダイハツのCMに登場する「海中ポスト」。実は、実在する正式な郵便ポストです。なぜ、こんな所に作られたのでしょうか?
ダイハツのCMに登場する「海中ポスト」。山﨑賢人さんが「君に手紙を出したくなった」と言いながら、海に潜る姿が印象的です。セットにしてはリアルな「海中ポスト」は実在する正式な郵便ポストです。なぜ、こんな所に作られたのでしょうか?
「海中ポスト」は1999年4月、和歌山県すさみ町にお目見えしました。ポストに入れるはがきはプラスチック製で、普通の鉛筆なら水中で書くことができます。裏に魚の写真が印刷されています。すさみ町内のダイビングショップ「ノアすさみ」が回収して郵便局へ届けてくれます。
その年の12月には、年賀状の受け付けも開始。初日の12月15日には、ダイバー3人が水深約10メートルの海底に固定されたポストまで潜り、年賀スタンプが押された専用のはがきを投かんしました。
「海中ポスト」は、南紀熊野体験博のイベントの一つとして、設置されました。
当時、すさみ郵便局長だった松本敏彦さんが、体験博に合わせた地元PRの呼び物として発案しました。松本さんは、「すさみといえば美しい海。そして私は郵便局員。ふと、海の中に郵便ポストを置いたら面白いんじゃないか、と考えました」と振り返っています。
ポストは、すさみ郵便局にあった廃棄寸前のものを再利用しました。ポストを「海中仕様」に改造するにはどうしたらいいか。松本さんは、すさみ町内に住むドイツ人、ピオルコフスキー・ハインツさんに相談しました。
ハインツさんは約40年前、紡績会社のエンジニアとして来日。すさみの海に魅せられ、98年に移り住みました。「エアメール、シーメールはあるけれど、アンダーシーメールはない。ぜひ実現したい」と快諾。
ハインツさんは、水に浮き上がるはがきを取り出すため、ポストの一番上をノコギリで切断。ドイツから取り寄せた海中でも錆(さ)びにくい蝶番(ちょうつがい)を付けて開閉式にしました。はがきが飛び出さないようにネットも付けました。
さらに、ポストが浮き上がらないように、ポスト内に約1メートルの高さにまでコンクリートを流し込みました。底には鉄のレールを付け、海底で動かないようにしました。
「海中ポスト」は世界初の試みとしてダイバーの人気を集め、1999年9月に体験博が閉幕した後も、受け付けを続けることになりました。2002年6月には、「世界一深い所にあるポスト」として2002年版ギネスブックに掲載されました。同じ月には、1万通目の投函(とうかん)記念式典も開かれました。
CMでは、素潜りでの投函をあきらめかけた山﨑賢人さんが、地元の海女さんの背に乗って「海中ポスト」を目指します。
CMの担当者によると「あなたを、日本を、おもしろく。」というCMメッセージを打ち出す中で、日本にあるおもしろいスポットの一つとして取り上げたそうです。
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