MENU CLOSE

お金と仕事

楽天「英語化」の心臓部 特訓ルームの設備は、やっぱりすごかった

「社内公用語の英語化」を掲げるIT大手の楽天。英語力アップの秘密はどんなところにあるのでしょうか。14日に公開された新社屋から探りました。

公開された楽天の新オフィス。役員会、朝礼「朝会」も議事録も全部、英語
公開された楽天の新オフィス。役員会、朝礼「朝会」も議事録も全部、英語

目次

 「社内公用語の英語化」を掲げるIT大手の楽天。2010年に英語化にカジをきってから、社員のTOEICの平均点は520点台から約5年で300点近くアップしたそうです。英語力アップの秘密はどんなところにあるのでしょうか。14日報道陣に公開された新社屋から探りました。

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格

2000人の朝会、議事録も英語

 「We would like to make the company less bureaucratic, more like a small company process(会社の手続きを小さな会社のようにして、より官僚的ではないようにしたいと思っています)」

 約160人が座れる記者会見室で放映された会社の紹介ビデオでも、三木谷浩史社長が話すのは英語。代わりに和訳が表示されます。外国人のお客様が多いということで、社内にもうけたレストランも、和室と鉄板焼き。英語化は、外国人からの来客のおもてなしのためだけではありません。ふだんから社内の表示も、会議の議論も、その後に作られる議事録もすべて英語。約2000人以上が参加する朝礼「朝会」も英語で行われています。

 三木谷氏は著書「楽天流」のなかで、「英語は不可欠」との思いを明かしています。海外展開をすすめるために必要であるほか、英語で話すことによる組織文化や発想の転換の狙いもあったといいます。

オール英語だが、和室もある楽天の新オフィス
オール英語だが、和室もある楽天の新オフィス

「午前中は英語の勉強」制度も

 今回の新社屋でも、引き続き、社員が英語を学ぶための環境も整えてあります。「ライブラリー」と呼ばれる図書スペースには英語の雑誌や本も並べています。英語を読めるようになるだけではなく、しゃべりも練習するスペースも設けられています。ここなら声をだしていても隣に聞こえないそうです。

 それでも日常会話だけではなく、仕事で使う英語は専門的です。パソコンやモバイル端末で学ぶ語学修得用の「e-learning(イーラーニング)」があるほか、外部講師も招いての学習機会もあります。英語の点数が満たない場合は「午前中は、仕事として英語学習をする」ことも認められています。各部門には英語化推進のリーダーがいて、メンターとして相談にのったり、学習のコツを教えあったりするそうです。

楽天の新オフィスにある英語の学習室
楽天の新オフィスにある英語の学習室

 ここまで英語を徹底するのは、実際に外国人社員が増えていることも背景にあります。2割弱の社員が外国籍で、出身地域は60カ国・地域以上にまたがります。実際、食堂でちょっと耳を澄ませば、日本語の会話にまじって、ハングル、英語での会話も聞こえてきました。

 来日5年目のバングラディッシュ人のジャカリア・マホッドさん(29)も「日本語が苦手なので、英語化をすすめている楽天に魅力を感じた」と言います。

外国人の社員も少なくない楽天のオフィス
外国人の社員も少なくない楽天のオフィス

「英語だけを理由に辞めた社員は…」

 英語化は欧米化、ではありません。「楽天は日本でかなり特別な場所です」と話すのは、日本に10年間住み、楽天が5社目というバングラディッシュ人のナイムル・イスラムさん(36)。イスラム教徒は1日5回祈りますが、楽天にはそのための祈りの部屋もあります。教義で豚肉を食べられず、特別に調理されたハラール食を食べますが、楽天には以前からハラールのお弁当がありました。

 新社屋では調理場で作ることができるようになり、温かいハラール食を出せるようになったそうです。異なる文化や宗教が尊重されていて、ナイムルさんは「イスラム教徒としていい環境で働けていると感じています」。

楽天の新オフィスにある社食。ハラール食のコーナーも備えられている
楽天の新オフィスにある社食。ハラール食のコーナーも備えられている

 今回の見学では、新規事業を考える部門の横にしつらえられた壁が一切ないオープンスペースの社長室も見学しました。英語といい、オープンスペースといい、一見、外資系のような雰囲気も感じさせますが、社長室前にはだるまがあったりして、実は意外と日本っぽさも秘めている模様です。

 「ホントは日本人同士で英語を話したり、ここまで英語を貫いたりするの、大変じゃないんですか」。広報の方に尋ねてみました。「モチベーションが高い社員が多いので仕事として英語を習得できるので皆喜んでいます」。さすがです。英語だけを理由に辞めた社員はいないそうです。別の広報の方に、今後の方針を聴いてみました。「新社屋でも英語はさらに強化していきます!」(広報)。次はどんな策が飛び出すか。目が離せません。

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます