お金と仕事
トヨタvsフォルクスワーゲン最終戦争 次世代エコカーで真っ向勝負
4代目となる新型プリウスを北米で発表したトヨタ。独VWはPHVのゴルフGTEの日本投入を発表。2大メーカーの本格的な競争が始まった。
お金と仕事
4代目となる新型プリウスを北米で発表したトヨタ。独VWはPHVのゴルフGTEの日本投入を発表。2大メーカーの本格的な競争が始まった。
トヨタは今月9日、4代目となる新型プリウスを北米で発表した。ハイブリッドカー(HV)のパイオニアの刷新が世界中の注目を集める一方で、前日の8日にはこれにぶつけるように、独フォルクスワーゲン(VW)がプラグインハイブリッド(PHV)のゴルフGTEの国内発売を発表。世界販売台数トップを巡ってしのぎを削る2大メーカーは、エコカー市場でも本格的な競争を始めることになる。
6年半ぶりのフルモデルチェンジとなる新型プリウスは、燃費を大幅に改善。現行型のガソリン1リットルあたり32.6キロから40キロまで向上させた。モーターやバッテリーの効率化や低重心化、プリウスを象徴するくさび形のボディーデザインのさらなる先鋭化などで、国内HVの最高燃費を達成した。発売は今年末以降で価格はまだ公表されていないが、現行型(消費税込み220万―340万円前後)に近い戦略的な価格になるとみられる。
初代プリウスは1997年に発売され、世界で累計約350万台を販売したが、近年は自社の廉価なHVも含め競合車種が増え、販売台数が伸び悩んでいた。燃費性能に磨きをかけた4代目で金看板の復活を期す。
一方、ゴルフGTEは、家庭用コンセントから充電できるPHV。すでにトヨタもプリウスPHVを発売しているが、VWにとっては初の市販モデルとなる。ゴルフGTEの場合、電気だけで走れるのは最長53.1キロ。消費税込み499万円と高価だが、日々の通勤ならガソリンを全く使わずに済む、というのが売りだ。VW日本法人の正本嘉宏マーケティング本部長は8日、発表会場で「向こう10年は、PHVがエコカーの本命だ」と胸を張った。
ベースのゴルフは、2013―14年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを輸入車として初めて受賞。VWの新型プラットホームを用い、ハンドリング性能や静粛性は折り紙付きだ。同社の量販車種を起点にエコカーのラインナップを増やすことで、既存ガソリン車からの買い替え需要を狙う。
両社のエコ技術への取り組みは、長らく対照的だった。トヨタは1997年、世界に先駆けてHVを投入。14年上半期には、国内販売台数の5割以上をHVが占めるまでになった。さらに昨年12月には、水素から発電してモーターを駆動する燃料電池車(FCV)を世界で初めて市販。採算を度外視して最新テクノロジーをいちはやく市販化し、HVのように次世代の標準技術に育てて業界をリードする狙いがある。
かたやVWは、HVの投入はせず、小排気量のガソリンエンジンにターボを組み合わせて、低回転で高トルクを稼ぐダウンサイジング技術をいち早く各車種に展開した。この手法はディーゼルと並ぶ低コストなエコ技術として、主に欧州メーカーで浸透している。
しかし近年は、両社ともにお互いの得意とする技術を取り入れ始めている。VWは昨年11月に市販車ベースのFCV試作車を発表。トヨタも今年4月、新型オーリスに初搭載した1.2リッター直噴ターボエンジンで、VWの手法を本格導入した。
エコカーの本命がいまだ見えない中、あらゆる手法をラインナップに加えて競争力を維持する考えとみられる。
両社は販売台数世界首位を巡って抜きつ抜かれつの競争を繰り広げている。
2014年はトヨタが前年比3%増の1023万台、VWが1014万台で、3年連続で首位となった。
しかし2014年度では、VWがトヨタを抜き、年度ベースで初めて世界首位となった。トップシェアを握る世界最大市場の中国で新工場を稼働させ、大幅に販売台数を増やした。
さらに今年上半期(1~6月)でもVWがトップに立ち、トヨタは国内市場で低迷から脱せず、4年ぶりに首位を譲った。
ただしVWも、得意とする中国市場の冷え込みの影響は避けられないとみられており、2015年の年間首位の座はどちらに転ぶか分からない。
いずれにせよ、新型プリウスとゴルフGTEの評価と売れ行きが世界首位の行方を占うことになりそうだ。
1/10枚
お金と仕事
お金と仕事
お金と仕事
お金と仕事
お金と仕事
話題
お金と仕事
お金と仕事
エンタメ
お金と仕事