お金と仕事
つくばエクスプレス10周年 ハイテク車両、沿線開発好調で乗客倍増
開業10周年を迎えたつくばエクスプレス。無線LANが使えるなどハイテク装備が満載の路線です。沿線の住宅開発が好調で乗客も増えています。
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開業10周年を迎えたつくばエクスプレス。無線LANが使えるなどハイテク装備が満載の路線です。沿線の住宅開発が好調で乗客も増えています。
つくばエクスプレス(TX)が24日、開業10周年を迎えました。ほぼ全線が高架、車内で無線LANが使えるなどハイテク装備が満載の路線です。秋葉原とつくば市を結ぶ路線の乗客には研究者も多く、ノートパソコンを開く姿が日常的という珍しい路線です。沿線の住宅開発が好調で、乗客は開業時の2倍に増えています。
TXは、秋葉原―つくば間の58.3キロを最短45分で結びます。JR常磐線の混雑緩和を図る「常磐新線」として1994年に着工、2005年に開業しました。沿線4都県などが出資する第三セクター・首都圏新都市鉄道が運営しています。
全区間が地下か高架で踏切がなく、最高時速130キロで走行が可能です。走行中の電車内では、無線LANでインターネットに接続できるサービスがあります。
2013年12月からはブレーキをかけたときに発生する電力を、東京電力に売電する事業を始めています。TXの車両はブレーキをかけると発電機モーターが回り、電力を独自に生産しています。鉄道事業者としては初の電気供給事業です。回生電力と呼ばれる電力量は、電車の動力になるほか、照明やエスカレーター、エレベーターなど駅設備に使われ、余剰分を売電しています。
TXの沿線には、東大(柏市)や千葉大(同)、筑波大(つくば市)、産業技術総合研究所(同)など多くの研究機関があります。乗客も研究者が少なくありません。無線LANが整備されていることから、車内で乗客がノートパソコンを開いて作業をする光景は日常茶飯事になっています。
沿線からベンチャー企業を育てようと活動する一般社団法人「TXアントレプレナーパートナーズ(TEP)」も生まれています。2009年に発足したTEPは、「エンジェル」と呼ばれる人たちが自らの経験を踏まえてアドバイスし、投資などの形で資金的にも支援しています。
1日の平均輸送人員は2005年度15万人から、2014年度は32万6千人に増え、順調です。営業利益は2014年度、過去最高の404億円と経営も安定しています。
沿線の開発も進んでいます。茨城県と地元自治体、都市再生機構(UR)による住宅開発により、沿線3市(つくば、つくばみらい、守谷)の人口は10年間で平均14%増えて計33万6千人になりました。
現在、沿線3市などは、東京駅までの延伸を求めています。ただし、延伸については採算性や費用負担などの問題があり見通しは立っていません。
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