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警戒続く桜島 富士山噴火の可能性は? 計算では30年に1回発生

火山活動が活発化した鹿児島の桜島。300年間、噴火していない富士山ですが、噴火した場合は、火山灰が東京も2センチ以上積もると想定されています。

富士山のふもとでの「富士山火山三県合同防災訓練」に参加する人たち=2014年10月19日、静岡県御殿場市
富士山のふもとでの「富士山火山三県合同防災訓練」に参加する人たち=2014年10月19日、静岡県御殿場市 出典: 朝日新聞

目次

 鹿児島の桜島で火山活動が活発化し、警戒レベルが4に引き上げられました。関東では箱根山が警戒レベル3で火山灰も確認されています。300年間、噴火していない富士山ですが、噴火した場合は、火山灰が横浜で10センチ、東京も2センチ以上積もると想定されています。

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「特段、心配することはない」

 気象庁によると、富士山の警戒レベルは1で、桜島の火山活動が活発した後も変化はありません。「活火山であることに留意」という段階で警戒レベルは一番下。「特段、心配することはない」ということです。

 富士山は、300年前に起きた1707年の宝永噴火以来、噴火していません。一方で、3200年間で100回噴火しています。計算すると30年間に1回の割合です。

 気象庁は、30の活火山について、火山の状況や住民、登山者がとるべき防災行動を示す噴火警戒レベルを公表しています。現在の富士山にあたるレベル1(平常)からレベル5(避難)までの5段階に分かれています。

富士山噴火避難訓練。合同訓練でヘルメットやマスクをして避難する参加者たち=2015年6月11日、山梨県鳴沢村、河合博司撮影
富士山噴火避難訓練。合同訓練でヘルメットやマスクをして避難する参加者たち=2015年6月11日、山梨県鳴沢村、河合博司撮影 出典: 朝日新聞
富士山も活火山のひとつ。1707年の宝永噴火クラスの噴火が起きれば、火砕流や冬ならば泥流が起き、火山灰は横浜で10センチ、東京も2センチ以上積もると想定されている。 さらに巨大な噴火が起きる可能性もある。神戸大の巽(たつみ)好幸教授(マグマ学)らは過去12万年の噴火を分析し、巨大噴火が100年以内に1%の確率で起きると推計した。2万8千年前に鹿児島湾であったような噴火が九州で起きれば、火山灰は西日本に50センチ、関東で20センチ、東北や北海道でも数センチ積もり、日本は壊滅的な被害を受けるという。
2015年3月23日:(災害大国 あすへの備え)火山の国に生きる:朝日新聞紙面から
気象庁は、30の活火山について、火山の状況や住民、登山者がとるべき防災行動を示す噴火警戒レベルを公表している。レベル1(平常)からレベル5(避難)までの5段階。活動状況や警戒事項は「火山の状況に関する解説情報」で知らせる。被害が出そうな噴火が予想されると、「噴火警報」を出して、警戒が必要な範囲を示す。噴火後は、約5分で出す「火山観測報」で噴煙の流れる方向などを知らせる。降灰や火山ガスの予報もする。
2015年3月23日:(災害大国 あすへの備え)火山の国に生きる:朝日新聞紙面から

噴火起きたら…東京も降灰、空路に影響も

 宝永噴火は半月続き、火山灰は関東を覆いました。噴出物の総量は東京ドーム約1400杯分だと言われています。農地にも影響が出ました。金井島村(現・神奈川県開成町)の記録では、年貢米は約40年後も噴火前の3分の1までしか回復しませんでした。

 降灰により、江戸ではせきが流行。飢饉(ききん)と人口の減少、直訴、お救い米など、社会への影響も長期間、多岐に及びました。
 
 もしも現代の日本で宝永噴火と同じ規模の噴火が起きた場合、火砕流や冬ならば泥流が起き、火山灰は横浜で10センチ、東京も2センチ以上積もると想定されています。また空港の閉鎖など、空路への甚大な影響も指摘されています。

宝永噴火の「生き証人」と伝えられる根上がりモミ。地表から2メートル近くも根がせり出している=2008年2月5日、静岡県小山町須走で
宝永噴火の「生き証人」と伝えられる根上がりモミ。地表から2メートル近くも根がせり出している=2008年2月5日、静岡県小山町須走で 出典: 朝日新聞
宝永噴火は半月続き、火山灰は関東を覆う。噴出物の総量は東京ドーム約1400杯分。江戸時代の測量家、伊能忠敬の祖父景利が、富士山から約170キロ離れた今の千葉県香取市で火山灰を保管していた。「化学分析の結果、白い標本は噴火の初期、黒い方が後半に出たと見られる」。今月、この火山灰を初めて分析した国立科学博物館の佐野貴司研究員はそう話す。
2007年11月26日:(沈黙の300年 活火山「富士」はいま:1)宝永噴火 火山灰の影響、100年以上:朝日新聞紙面から
農地にも影響は出た。砂防フロンティア整備推進機構の井上公夫技師長は「川の流れを変えたり、火山灰の下から以前の耕作土を掘り返す『天地返し』をしたり、被害の復旧のための努力が繰り返された」と話す。それでも、金井島村(現・神奈川県開成町)の記録では、年貢米は約40年後も噴火前の3分の1までしか回復していない。降灰により、江戸ではせきが流行。飢饉(ききん)と人口の減少、直訴、お救い米――。社会への影響も長期間、多岐に及んだ。
2007年11月26日:(沈黙の300年 活火山「富士」はいま:1)宝永噴火 火山灰の影響、100年以上:朝日新聞紙面から
噴煙が成層圏(10~50キロ)まで上がれば、火山灰は偏西風で遠くまで運ばれる。気象庁によると、最近の国内の噴火で観測した噴煙高は、2000年の桜島で5キロ、同年の三宅島で8キロ、昨年の霧島連山・新燃岳では3キロと、成層圏には届いていなかった。宝永噴火の場合、150キロ以上離れた茨城県の太平洋沿岸まで火山灰が届いたことが分かっている。アイスランドの火山で10年3月に起きた噴火では、10キロ以上の高さまで噴煙が届き、欧州29カ国の空港が発着停止となって世界中の欧州便が影響を受けた。
2012年10月18日:富士山の「宝永噴火」、噴煙23キロで成層圏まで いま起こったら…日本上空、大混乱:朝日新聞紙面から

登山者向け情報も整備

 日本は地球の陸地面積の0.25%なのに、活火山の数の7%をしめる火山大国です。山梨県は登山者や観光客の避難ルートを示した「富士山噴火時避難ルートマップ」を県のホームページで公開しています。

 気象庁は、ホームページのトップに住んでいる人向けとは別に、登山者向け情報への入り口を設けています。クリックすると、火山ごとの発表情報が入手できるようになっています。

関連リンク:山梨県が公開している「富士山噴火時避難ルートマップ」
関連リンク:気象庁のホームページ
富士山頂の噴火口。噴火の場所は、2200年ほど前から山腹が中心になった=2007年11月23日
富士山頂の噴火口。噴火の場所は、2200年ほど前から山腹が中心になった=2007年11月23日 出典: 朝日新聞
日本は地球の陸地面積の0・25%なのに、活火山の数の7%をしめる火山大国。100年近く大規模な噴火がなく、「そろそろ起きても不思議ではない」と専門家たちは考えている。
2015年7月11日:(ニュースのおさらい ジュニア向け)日本の火山、活発化している?:朝日新聞紙面から
富士山が突発的に噴火した際の登山者や観光客の避難ルートを検討していた県は4日、県庁で開かれた県防災会議富士山火山部会で、「富士山噴火時避難ルートマップ」案を示した。噴火口の位置が異なる四つの噴火パターンに応じて選ぶべき避難ルートを示している。この日の部会で専門委員らから出た意見を反映し、11日にホームページ上で公表する予定。山開き前には5合目に掲示するなど、登山者への周知を図る。
2015年6月5日:富士山がもし突然噴火したら… 避難ルート、県が公表へ 登山者へ周知図る:朝日新聞紙面から

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