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ホルムズ海峡、実は穴場の観光地だった 塩の洞窟・謎の奇岩・星の谷

「機雷による海上封鎖」など物騒なイメージが強いホルムズ海峡ですが、実は、穴場の観光地という顔がありました。

ホルムズ海峡に浮かぶゲシュム島の奇観、チャークフ峡谷。未知の惑星に迷い込んだよう
ホルムズ海峡に浮かぶゲシュム島の奇観、チャークフ峡谷。未知の惑星に迷い込んだよう

目次

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 国会では、新たな安全保障関連法案をめぐる議論で登場する「ホルムズ海峡」。現地はいったいどんなところなのでしょうか? 「機雷による海上封鎖」など物騒なイメージが強いですが、実は、穴場の観光地という顔がありました。

国会では集団的自衛権めぐり焦点に

 ホルムズ海峡は、中東のペルシャ湾とオマーン湾の間にある海峡で、もっとも狭いところの幅は30キロ余りです。両岸のイランとオマーンの領海が接しています。石油を積んだタンカーの通り道で、日本の輸入原油の7~8割が通過します。

 ホルムズ海峡が機雷によって封鎖された場合、日本に大きな影響を与えることから、国会で議論されている集団的自衛権を使える場所にあたるかどうか、焦点になっています。

ホルムズ海峡を静かに航行する日本のタンカー=2006年5月、オマーン軍ヘリから、葛谷晋吾撮影
ホルムズ海峡を静かに航行する日本のタンカー=2006年5月、オマーン軍ヘリから、葛谷晋吾撮影 出典: 朝日新聞
約1万1千キロ離れた東京の国会。この海峡が、安全保障関連法案の審議で焦点となっている。「総理がいつも集団的自衛権の行使が必要だと言って挙げるホルムズ海峡の機雷掃海。同海峡で、どのような安全保障環境の根本的変容があったのか」。17日の党首討論で、民主党の岡田克也代表が問いただした。首相は「日本の石油の8割はあの海峡を通る」と答えた。
(現場から考える 安全保障法制)ホルムズ、恵みの海峡:朝日新聞デジタル

遮るものがない360度の大パノラマ

 そんなホルムズ海峡ですが、じつは観光地。それほどメジャーではないこともあり、手つかずの自然が残る穴場です。

 ホルムズ海峡のイラン領海に浮かぶゲシュム島は、沖縄本島(1208平方キロ)より広い、面積1491平方キロの島です。

 チャークフ峡谷には、紙粘土を積み上げたような、不思議な景観が広がります。無機的な雰囲気もあり、歩き進むほどにこの世を離れていくような気分に。

 タンディス山峡は、遮るものがない360度の大パノラマに、奇妙な形の山が点在しています。エアーズロックやテーブルマウンテンのような、地層が五色に浮き上がった極彩色の岩肌が広がります。

タンディス山峡の地層。赤、青、黄、白などの色に分かれている
タンディス山峡の地層。赤、青、黄、白などの色に分かれている
私が訪ねたのはゲシュム島。ホルムズ海峡のイラン領海に浮かぶ、東西に長ぼそい島だ。イランの主要都市から航空便があり、首都テヘランからのフライトは約2時間。ドバイへも直行便が出ている。島の面積は1491平方キロで、沖縄本島(1208平方キロ)より広いから、かなり大きな島だ。
(@イラン)ホルムズよいとこ、一度はおいで!:朝日新聞デジタル
チャークフ峡谷。紙粘土を積み上げ、ていねいに表面をならしたのちに指をあちこちに突っ込んだような不思議な景観だ。無機的な雰囲気もあり、歩き進むほどにこの世を離れていくような気分になる。
(@イラン)ホルムズよいとこ、一度はおいで!:朝日新聞デジタル
タンディス山峡。遮るものがない360度の大パノラマに、奇妙な形の山が点在している。柱を無数にちりばめたかのような岩山、場所が場所ならエアーズロックとかテーブルマウンテンとか呼ばれそうな山、地層が五色に浮き上がった極彩色の岩肌などなど。この壮大さは、残念ながら写真で切り取ると表現できない。
(@イラン)ホルムズよいとこ、一度はおいで!:朝日新聞デジタル

岩肌が輝く洞窟、天然プラネタリウム

 すべて岩塩でできた塩の洞窟もあります。薄暗い洞窟をあかりで照らすと岩肌が輝き、床はまるで天の川で、天然プラネタリウムといった風情です。

 ゲシュム島に隣接するナーズ島へは、干潮時に車を使って渡ることができます。日本にもある石川県の「千里浜なぎさドライブウェイ」のように、砂浜を車で走るという体験ができます。

 隣接するもう一つの島、ヘンガム島は、砂浜のところどころが真っ黒で、日の光を浴びてキラキラと輝いています。岸辺の雲母が波に削られたと言われています。

ゲシュム島南部の海岸。イラン側から見たホルムズ海峡
ゲシュム島南部の海岸。イラン側から見たホルムズ海峡
そして、塩の洞窟。すべて岩塩でできた洞窟というか、超巨大な岩塩に穴が開いているというか。薄暗い洞窟をあかりで照らすと岩肌が輝き、床はまるで天の川で、天然プラネタリウムといった風情だ。また、岩塩は様々な天然成分を含み、洞窟の中で深呼吸するだけでも体にいいと地元では言われている。
(@イラン)ホルムズよいとこ、一度はおいで!:朝日新聞デジタル
まだある。隣接するナーズ島へは、干潮時には車を使って渡ることができる。常識的にはタイヤが砂浜に沈んでスタックしてしまうはずだが、なぜか普通に走れてしまう。日本にも石川県に「千里浜なぎさドライブウェイ」という車が走れる砂浜がある。砂がきめ細かいから走行が可能なのだそうで、たぶんここも同じような理屈なんだろう。
(@イラン)ホルムズよいとこ、一度はおいで!:朝日新聞デジタル
そして、私がこの滞在で最も胸を打たれたのが、隣接するもう一つの島、ヘンガム島。砂浜のところどころが真っ黒で、日の光を浴びてキラキラと輝いているのだ。岸辺の雲母が波に削られたらしい。絵にも描けない美しさというのは、まさにこういうことだろう。
(@イラン)ホルムズよいとこ、一度はおいで!:朝日新聞デジタル

自然保護で日本が支援

 ゲシュムは2006年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の支援する「世界ジオパーク」に中東ではじめて登録されましたが、12年に外されています。

 ユネスコからの再三の警告にもかかわらず、必要な設備やインフラをいつまでたってもつくらなかったからです。地元からは「本土は島の開発に本腰をいれない」との声も。

 一方、外務省所管の独立行政法人、国際協力機構(JICA)のイラン事務所は6月15日、ゲシュムの自然環境保全や開発を住民主体で手がけてもらおうと、技術の提供や助言などで地元当局と合意しました。

 海上封鎖などで話題になりがちなホルムズ海峡ですが、現地では自然保護という視点での支援が進んでいるようです。

不名誉な記録もある。ゲシュムは2006年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の支援する「世界ジオパーク」に中東ではじめて登録されたのに、12年に外された。ジオパークとは、貴重な自然遺産に親しみながら学べる公園のこと。日本には新潟県の糸魚川、高知県の室戸などがある。だが、ユネスコからの再三の警告にもかかわらず、必要な設備やインフラをいつまでたってもつくらなかった。地元の人は「本土は島の開発に本腰をいれない」と恨み節です。
(@イラン)ホルムズよいとこ、一度はおいで!:朝日新聞デジタル
国際協力機構(JICA)のイラン事務所は6月15日、ゲシュムの自然環境保全や開発を住民主体で手がけてもらおうと、技術の提供や助言などで地元当局と合意した。JICAは外務省所管の独立行政法人で、政府の途上国援助(ODA)の実施機関。
(@イラン)ホルムズよいとこ、一度はおいで!:朝日新聞デジタル

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