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ホルムズ海峡、実は穴場の観光地だった 塩の洞窟・謎の奇岩・星の谷
「機雷による海上封鎖」など物騒なイメージが強いホルムズ海峡ですが、実は、穴場の観光地という顔がありました。
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「機雷による海上封鎖」など物騒なイメージが強いホルムズ海峡ですが、実は、穴場の観光地という顔がありました。
                    
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 国会では、新たな安全保障関連法案をめぐる議論で登場する「ホルムズ海峡」。現地はいったいどんなところなのでしょうか? 「機雷による海上封鎖」など物騒なイメージが強いですが、実は、穴場の観光地という顔がありました。
 ホルムズ海峡は、中東のペルシャ湾とオマーン湾の間にある海峡で、もっとも狭いところの幅は30キロ余りです。両岸のイランとオマーンの領海が接しています。石油を積んだタンカーの通り道で、日本の輸入原油の7~8割が通過します。
 ホルムズ海峡が機雷によって封鎖された場合、日本に大きな影響を与えることから、国会で議論されている集団的自衛権を使える場所にあたるかどうか、焦点になっています。
 そんなホルムズ海峡ですが、じつは観光地。それほどメジャーではないこともあり、手つかずの自然が残る穴場です。
 ホルムズ海峡のイラン領海に浮かぶゲシュム島は、沖縄本島(1208平方キロ)より広い、面積1491平方キロの島です。
 チャークフ峡谷には、紙粘土を積み上げたような、不思議な景観が広がります。無機的な雰囲気もあり、歩き進むほどにこの世を離れていくような気分に。
 タンディス山峡は、遮るものがない360度の大パノラマに、奇妙な形の山が点在しています。エアーズロックやテーブルマウンテンのような、地層が五色に浮き上がった極彩色の岩肌が広がります。
 すべて岩塩でできた塩の洞窟もあります。薄暗い洞窟をあかりで照らすと岩肌が輝き、床はまるで天の川で、天然プラネタリウムといった風情です。
 ゲシュム島に隣接するナーズ島へは、干潮時に車を使って渡ることができます。日本にもある石川県の「千里浜なぎさドライブウェイ」のように、砂浜を車で走るという体験ができます。
 隣接するもう一つの島、ヘンガム島は、砂浜のところどころが真っ黒で、日の光を浴びてキラキラと輝いています。岸辺の雲母が波に削られたと言われています。
 ゲシュムは2006年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の支援する「世界ジオパーク」に中東ではじめて登録されましたが、12年に外されています。
 ユネスコからの再三の警告にもかかわらず、必要な設備やインフラをいつまでたってもつくらなかったからです。地元からは「本土は島の開発に本腰をいれない」との声も。
 一方、外務省所管の独立行政法人、国際協力機構(JICA)のイラン事務所は6月15日、ゲシュムの自然環境保全や開発を住民主体で手がけてもらおうと、技術の提供や助言などで地元当局と合意しました。
 海上封鎖などで話題になりがちなホルムズ海峡ですが、現地では自然保護という視点での支援が進んでいるようです。