IT・科学
茶道リケジョの、サイバー過ぎる茶道具 加速度センサー・温度測定も
茶道のお点前をセンサーで理想の味に。東北大の学生が、お茶筅にセンサーを埋め込んだコンピューター評価システムを開発しました。
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茶道のお点前をセンサーで理想の味に。東北大の学生が、お茶筅にセンサーを埋め込んだコンピューター評価システムを開発しました。
茶道のお点前をセンサーで理想の味に。東北大の学生が、お茶筅にセンサーを埋め込んだコンピューター評価システムを開発しました。稽古での指導を数値化し、一人でも、海外にいても茶道に触れられる「どこでも茶道」を作り上げました。
「どこでも茶道」を開発したのは、東北大学工学部3年の松田佳歩さんら4人です。松田さんの茶道経験などから、おいしさを決める4要素(口当たりのなめらかさ・泡のきめ細かさ・ムラの少なさ・温度)があると判断。それぞれを最適化するための指標を突き止めました。
(1)ひじは固定して手首から先だけを動かし
(2)円ではなく直線状に揺れる振り子のように
(3)毎秒6回往復させて
(4)表面温度を56度にする
4つの指標を、茶筅の根もとに埋め込んだ三つのセンサーが検知します。加速度やお茶の温度を1秒ごとに評価。混ぜ終えた後、100点満点で点数を表示します。
高校の部活で茶道を習い始めた松田さん。茶筅の動きが良くないと、先生から「騒々しい」「頑張ってね」などと言われるが、「どう直せばいいのか、ご指導の意味がわからないことも」。そこで、具体的なデータで示そうと思いついたそうです。
学生がものづくりの腕を競う「国際ナノ・マイクロアプリケーションコンテスト」に参加し、今年4月の国内予選で12チームの頂点に立ちました。審査委員長をつとめた住友精密工業前社長の神永晋さんは「茶道という伝統の技を、先端技術と結びつけたことに新規性がある。『匠(たくみ)の技』を定量化する試みは、日本のものづくりの現場で行われていることとも通じる」と話します。
世界大会は6月に米アラスカ州で開かれ、約20チームが参加します。松田さんの目標は優勝です。「茶道に興味がある人は海外にもいるけれど、教室がない。『どこでも茶道』があれば、教室がなくても習えます」と話します。
美しい所作や道具の大切さを教えてくれた先生には、まだ知らせていません。心残りは、センサーを埋め込むために茶筅に穴を開け、しかも配線が飛び出てしまっていること。「無線化して、見た目をもっときれいにしたら、報告します」