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墓好きの聖地「多磨霊園」の魅力とは? 芸術家・作家の個性派墓石
著名人の墓を巡る人々「墓マイラー」に「聖地」と呼ばれているのが多磨霊園です。都内でも郊外にある多磨霊園が「墓マイラー」をひきつける魅力とは?

著名人の墓を巡る人々「墓マイラー」に「聖地」と呼ばれているのが多磨霊園です。東京都内に8カ所ある霊園の中で、青山霊園、谷中霊園などに比べれば、郊外にある多磨霊園が、「墓マイラー」をひきつける魅力とは?
著名人の多さ、広大な敷地が魅力
多磨霊園は、国内初の公園墓地として1923(大正12)年に開かれました。多磨霊園の埋葬者の総数は約42万3700体。そのうち著名人の墓は150と言われています。
その歴史の長さから、多くの政治家や軍人、作家などが眠っています。都心から離れた場所にあり、約128万平方メートルの敷地のうち墓所は半分以下で、自然溢れる静かな場所として知られています。広大な敷地の中には、個性的な墓石も少なくありません。
著名人の多さ、ゆったりとまわれる環境、そして個性派墓石の存在などから、「墓マイラー」には「聖地」として親しまれています。
岡本太郎

ほおづえをついた笑顔? ひときわ目を引くこの石は、作品「午後の日」をモチーフにした岡本太郎の墓です。漫画家の父一平と、歌人の母かの子の墓と向かい合うように立っています。
石碑には川端康成の文が刻まれています。
「この三人は日本人の家族としてはまことに珍しく、お互を高く生かし合いながら、お互が高く生きた。深く豊かに愛し敬い合って、三人がそれぞれ成長した」
三島由紀夫

三島由紀夫の墓には一本の木が立っています。自衛隊に体験入隊し「楯の会」を結成した三島は1970年、メンバーと一緒に自衛隊市ケ谷駐屯地の東部方面総監室に乱入します。決起を呼びかけましたが失敗。自決しました。
みしま・ゆきお 作家。一九二五年東京生まれ。十六歳で「花ざかりの森」発表。「仮面の告白」「金閣寺」「豊饒の海」「近代能楽集」などの小説、劇作多数。自衛隊に体験入隊し、「楯の会」を結成。その四人と自衛隊市ケ谷駐屯地の東部方面総監室に乱入、決起を呼びかけたが、失敗し、自決。東京・多磨霊園に眠る。
美濃部達吉・美濃部亮吉

美濃部達吉は明治憲法下で天皇を国権の最高機関とする学説を展開。「国体」に反する「天皇機関説」として批判され、貴族院議員を辞任に追い込まれたり、テロで襲撃されたりしたことで知られています。隣には、息子で元都知事の美濃部亮吉の墓も。
向田邦子

人気シナリオライターで作家だった向田邦子は、1981年、飛行機事故で亡くなりました。本をかたどった墓碑には森繁久弥の言葉「花ひらき はな香る 花こぼれ なほ薫る」が刻まれています。
長谷川町子

国民的キャラクターサザエさんの作者、長谷川町子さんは1992年5月に亡くなりました。1993年には、遺骨が盗まれ数千万円を要求する事件も起きました。
著名人の墓所、案内図を配布
東京都が管理する霊園では、著名人の墓所を記した案内図を配布しています。また「都立霊園公式サイト」では、「霊園めぐりのおすすめ」というページを用意し、墓所めぐりのマナーなど注意点を呼びかけています。