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ブラックバイト、過酷な実態「20時間以上労働」が28% 学生調査

ブラックバイト調査で、週20時間以上が28%いることがわかりました。学業との両立に苦しむ若者の姿が見えてきます。

「関西学生アルバイトユニオン」のパンフレットのひとコマ。人気漫画「ブラックジャックによろしく」(佐藤秀峰氏/漫画 on web提供)のせりふを差し替え、主人公に叫ばせた
「関西学生アルバイトユニオン」のパンフレットのひとコマ。人気漫画「ブラックジャックによろしく」(佐藤秀峰氏/漫画 on web提供)のせりふを差し替え、主人公に叫ばせた 出典: 朝日新聞

目次

 週20時間以上が28%。大学生のアルバイトを調べた結果、そんな実態が明らかになりました。学生を不当に働かせるブラックバイトが問題する中、学業との両立に苦しむ若者の姿が見えてきます。

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【図表】勝手なシフトの要求・希望・削減 1番多い業種は・・・ブラックバイト調査
【図表】勝手なシフトの要求・希望・削減 1番多い業種は・・・ブラックバイト調査 出典:勝手なシフト変更・希望しないシフトの要求 (POSSE 25号から抜粋 数字は「よくある」「時々ある」の回答者の合計の%)

最も多かったのは「15時間以上、20時間未満」

 「ブラックバイト調査」を実施したのは、支援者や研究者らが作る任意団体「ブラック企業対策プロジェクト」です。昨年夏にアンケートを行い、アルバイト経験のある全国の大学生2524人からの回答を分析しました。

 調査の速報値は雑誌「POSSE」25号に掲載されています。記事によると、週あたりの労働時間で最も多かったのは「15時間以上、20時間未満」の27.7%でした。20時間以上と回答した学生も28.2%いました。業種では居酒屋の約17.7時間、ファストフード・コーヒー店の約16.7時間などが、長時間の労働が目立っていました。

三重県津市で開かれた「若者の貧困」と奨学金について考える講座。参加者からは若者の窮状を訴える声が相次いだ=2014年11月24日
三重県津市で開かれた「若者の貧困」と奨学金について考える講座。参加者からは若者の窮状を訴える声が相次いだ=2014年11月24日
同誌記事によると、週あたりの労働時間で最も多かったのは「15時間以上、20時間未満」の27・7%だった。20時間以上と回答した学生も28・2%いた。ブラックバイトは「学生であることを尊重しないアルバイト」と定義されている。
「ブラックバイト」を問う 大学生を調査、構造的に探る論考も:朝日新聞デジタル

シフトへの不満が多い業種は・・・

 シフトの変更、希望しないシフトを要求されることが多い業種としては、「居酒屋」「ファストフード店・コーヒー店」が上位に来ました。学業への影響では、アルバイトの時間が増えるほど影響が大きくなり、特に週あたり20時間以上を超えると「学業に力を入れられない」「おろそかになる」と答える人が増えました。

使う側も弱い立場に

 「POSSE」編集部によると、特集号で読者の注目を集めたのが、コンビニ店舗オーナーとしてアルバイトを使う立場にいた人物へのインタビューです。記事では、店舗経営の契約打ち切りにおびえ、アルバイトを使う側も弱い立場に置かれている実情が語られています。元オーナーは「被害者が被害者を生む構造になっている」と証言しています。

 インタビューは、普段、POSSEに関心がなさそうなサラリーマン層からの反応が大きかったそうです。

出典:imasia
記事では、店舗経営の契約を切られたら次の仕事がないとの恐怖から不本意でも「本部の方針」を受け入れてしまう店舗オーナーの実情が語られた。アルバイトの高校生に販売ノルマを課したら親から苦情が来た、との経営エピソードも紹介された。「被害者が被害者を生む構造になっている」と、元オーナーは証言している。
「ブラックバイト」を問う 大学生を調査、構造的に探る論考も:朝日新聞デジタル

労働環境の悪化反映

 ブラックバイト問題は、労働環境の悪化を反映していると言われています。弁護士などでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」が昨年7月、全国の大学生約4700人を対象に調べた際には、大手雑貨ショップでは正社員がおらず、商品の在庫や金庫の管理までアルバイトにさせていた事例が確認されました。調査では残業代が支払われないといった不当な扱いを経験した学生は、全体の約67%にのぼりました。

「ブラックバイト調査」が掲載されたPOSSE 2014年12月号
「ブラックバイト調査」が掲載されたPOSSE 2014年12月号
労働環境の悪化は学生にまで及ぶ。弁護士などでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」が7月、全国の大学生約4700人を対象に調べた結果、残業代が支払われないといった不当な扱いを経験した学生は全体の約67%にのぼった。販売ノルマを背負わされたり、商品の買い取りを強いられたりする悪質なケースも目立った。大手雑貨ショップでは正社員がおらず、商品の在庫や金庫の管理までアルバイトにさせていた。
「ブラックバイト」を問う 大学生を調査、構造的に探る論考も:朝日新聞デジタル

各地で学生が労働組合結成

 悪質なブラックバイトに対抗するため、各地の大学生たちが労働組合を結成する動きも出ています。2月には、京都大、大阪市立大、同志社大、関西大などの学生約15人が「関西学生アルバイトユニオン」を立ち上げ、学生からの相談に対応しています。

関連リンク:関西学生アルバイトユニオン
低賃金のアルバイトに正社員並みのノルマや長時間労働を課す「ブラックバイト」に対抗しようと、関西の学生が21日に労働組合「関西学生アルバイトユニオン」を結成する。東京、札幌に次ぐ全国3番目の学生労組。泣き寝入りを強いられてきた学生に団結を呼びかける。
レジ不足金は給料から… ブラックバイト、関西でも労組:朝日新聞デジタル

対処法、無料で公開

 「ブラック企業対策プロジェクト」では、ネットで「ブラックバイトへの対処法」という冊子を無料で公開しています。冊子には契約書のチェック項目など、ブラックバイトの被害に遭わないための情報が掲載されています。

出典:ブラック企業対策プロジェクトが公開した無料冊子「ブラックバイトへの対処法」
関連リンク:ブラック企業対策プロジェクトが公開した無料冊子「ブラックバイトへの対処法」

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