MENU CLOSE

話題

ゼミの先生は大物OB 早大・東大・一橋…卒業生「資源」獲得へ動く

大学のゼミで、大企業のトップが後輩を鍛える。校友会を強化する。各地の大学で卒業生とのネットワークを強化し「資源」として活用する取り組みが進んでいます。

サントリーホールディングスの鳥井信吾副会長(右)を招いた甲南大経済学部のプロジェクト・ゼミ=2014年11月11日、神戸市東灘区
サントリーホールディングスの鳥井信吾副会長(右)を招いた甲南大経済学部のプロジェクト・ゼミ=2014年11月11日、神戸市東灘区

目次

 大学のゼミで、大企業のトップが後輩を鍛える。校友会を強化する。各地の大学で卒業生とのネットワークを強化し「資源」として活用する取り組みが進んでいます。

【PR】「あの時、学校でR-1飲んでたね」

サントリーの鳥井副会長 甲南大でゼミ

 サントリーホールディングス副会長の鳥井信吾さんは、昨秋始まった甲南大経済学部の「プロジェクト・ゼミ」で授業を行っています。鳥井さんが後輩たちに出した課題は、「我が校の生き残り戦略」でした。

 「プロジェクト・ゼミ」はビジネスの最前線で活躍する卒業生を講師に招き、実践力を養おうというもの。2年生32人が受講しました。

サントリーホールディングスの鳥井信吾副会長(手前)を招いた甲南大経済学部のプロジェクト・ゼミ=2014年11月11日、神戸市東灘区
サントリーホールディングスの鳥井信吾副会長(手前)を招いた甲南大経済学部のプロジェクト・ゼミ=2014年11月11日、神戸市東灘区

 今年度の講師は他に、洋菓子メーカー「モロゾフ」(神戸市)の山口信二社長がいます。来年度以降はスポーツメーカー「ミズノ」(大阪市)の水野正人元会長や小林製薬(同)の小林豊副会長も予定。いずれも甲南大の卒業生です。

 高龍秀(コウヨンス)経済学部長は「大学はいま、主体的に学べる人材をどれだけ育てられるかが求められている。学生のモチベーションを高めるためにこのゼミを始めた」と話します。

早稲田、同志社もOBと連携

同志社大の校友会が昨年初めて開いた「大懇親会」。結束を強める狙いがあった=2014年2月15日、京都市内、同校友会提供
同志社大の校友会が昨年初めて開いた「大懇親会」。結束を強める狙いがあった=2014年2月15日、京都市内、同校友会提供

 2032年に創立150周年を迎える早稲田大。2012年に定めた基本方針「Waseda Vision 150」の柱の一つに、「卒業生との連携強化」を据えました。卒業生を会員とする同窓会である「校友会」は約60万人います。国内外で活躍する卒業生も多く、学生を支えてもらいたいといいます。

 同志社大も校友会との関係強化を進めます。昨年、卒業見込みの学生に対し、終身会費(3万円)を大学側が徴収する制度を導入しました。これまでは校友会が呼びかけていましたが、これからは代理徴収する仕組みになります。奨学金など学生支援に使うのが主な目的です。

東大、阪大も動く

一橋大の卒業生が集う「一橋クラブ」。卒業生組織「如水会」の建物にある=2015年2月4日、東京都千代田区
一橋大の卒業生が集う「一橋クラブ」。卒業生組織「如水会」の建物にある=2015年2月4日、東京都千代田区

 国立大も卒業生との関係強化に動き出しました。東京大は昨年、全学的な同窓会の名称を「赤門学友会」から「東京大学校友会」に変えました。04年の大学法人化と同時に発足させた会ですが、よりわかりやすい名称に。すべての卒業生に会員意識を高めてもらいたい思いがあります。

 背景には厳しさを増す財政事情があります。高度な教育や研究活動を維持したい一方で、独立行政法人化で国からの交付金は減額傾向です。

 大阪大は昨年度、「卒業生室」を新設しました。それまであった学部単位の同窓会から全学的なネットワーク作りを進めています。卒業生名簿の集約を進めるほか、卒業生側のメリットも考え、企業経営者に絞った交流会や各種セミナーなども開催しています。

 一橋大では、単なる「親睦」にとどまらず、母校への「協力」を卒業生組織「如水会」が押し出し、結びつきが強いとされています。村田光二副学長は「卒業生と大学が一体となるのが強み」と話しています。

「卒業生の力、小さくない」

 教育情報会社「大学通信」の安田賢治常務は「学生が黙っていても集まった時代、大学は卒業生という豊かな『資源』にあまり目を向けてこなかったが、いまはキャンパス整備、少人数教育、留学支援など、大学の魅力アップのための資金や知恵がいる」と指摘。「歴史がある学校は、卒業生の結束がブランド力の向上にも役割を果たしてきた。卒業生の力は小さくない」と分析しています。

関連リンク:後輩育て、卒業生の力で 甲南大、企業トップがゼミ 早大、OB会が奨学金:朝日新聞デジタル

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます