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「ミスターZ」片山豊さん死去 初代フェアレディZ、人気の理由とは
世界的な名車「フェアレディZ」の生みの親として知られる、「米国日産」初代社長の片山豊さんが19日、105歳で死去した。1969年発売の初代Zが、いまだ根強い人気を誇る理由とは?
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世界的な名車「フェアレディZ」の生みの親として知られる、「米国日産」初代社長の片山豊さんが19日、105歳で死去した。1969年発売の初代Zが、いまだ根強い人気を誇る理由とは?
世界的な名車「フェアレディZ」の生みの親として知られる、「米国日産」初代社長の片山豊さんが19日、105歳で死去した。片山さんが手がけた1969年発売の初代Z(S30型)は、手頃な価格とスタイリッシュなデザインで、北米市場で人気が爆発した。デビューから半世紀近く経ていまだ根強い人気を誇る理由とは?
レンタカー会社のタイムズモビリティネットワークスは、東京・有楽町の店舗での絶版車を貸し出す事業「Service X」を展開している。4車種のうち、1975年式の初代フェアレディZ(S30型)がある。
安い、丈夫、かっこいい、の三拍子そろったモデルとして、日産の北米ブランド「ダットサン」の知名度を上げ、日本車全体のイメージアップにも貢献した。70、80年代の日本車シェア拡大の原動力となったモデルと言える。
コミックの世界でも、初代Zはひっぱりだこだ。「よろしくメカドック」のナベさん、「サーキットの狼」の沖田と魅死魔国友といった名脇役の愛車として親しまれた。
「湾岸ミッドナイト」で主人公・朝倉アキオ操る「悪魔のZ」が最たる例だが、大馬力を出すよう改造した凶暴性や背徳感、悲壮感など、どこか影のあるクルマとして描かれることが多い。
車体前部が長い、往年の後輪駆動スポーツカー定番のプロポーション。タイムズで貸し出しているモデルは2人乗りで、4人乗りよりも流麗な印象だ。
フロントは、空気抵抗を切り裂いて進むかのようなシャープな造形で、獰猛なサメを思わせる。
背もたれ固定のバケットシートに付く3点式シートベルトは、金具をロックするのに若干コツがいる。現行モデルにも受け継がれているメーター配置、小径の「ダットサン・コンペ」ハンドルなど、コックピット周りは機能的で男らしい。しかし、大きなフロントガラスのおかげか窮屈さは感じず、適度な開放感がある。
パワーステアリングが付かないので、駐車場や交差点での発進にコツがいる。5速マニュアルはスムーズにシフトが入り、クラッチのタッチもソフト。現代的な感覚で扱えるミッションだ。
日産伝統のL型エンジンは、骨太で金属っぽいエンジンサウンドを響かせてストレスなく回る。
流麗なスタイリングと質実剛健な内装、骨太だが扱いやすいエンジンで、北米で「安かろう悪かろう」の日本車のイメージを塗り替えた初代Z。米国では根強い人気を誇り、改造のベース車両として親しまれている。
片山さんは、65年から日産自動車米国法人の初代社長を務め、初代Zの開発構想にも携わった。
69年の発売後は、地道な販売努力で米国市場に定着させ、「Zカーの父」とも呼ばれた。その功績が認められ、日米両国で自動車殿堂入りしている。