エンタメ
村上春樹氏、ノーベル賞騒ぎに「わりに迷惑」 入りたいラブホも回答
作家の村上春樹さんが読者の質問に直接答えるサイト「村上さんのところ」が好評です。「村上さんの入りたくなるラブホテルは?」「人類の最後について教えて」など、ネットで寄せられたさまざまな質問に村上さんが直接答えています。
エンタメ
作家の村上春樹さんが読者の質問に直接答えるサイト「村上さんのところ」が好評です。「村上さんの入りたくなるラブホテルは?」「人類の最後について教えて」など、ネットで寄せられたさまざまな質問に村上さんが直接答えています。
作家の村上春樹さんが読者の質問に直接答えるサイト「村上さんのところ」が今月開設され、好評です。「村上さんの入りたくなるラブホテルは?」「人類の最後について教えて」などなど、ネットで寄せられた質問内容は作品以外にも及び、実にさまざま。ノーベル賞騒動やヘイトスピーチ、同性婚などにも言及しています。新潮社が1月15日から期間限定で開設し、これまで村上さんは200通以上の返事を書きつづっています。
村上さんはサイトで「僕は送られて来たメールにひととおり目を通しますし、すべての返事はちゃんと自分の手でぱたぱたと書いています。アシスタントや編集者に適当に書かせて、署名だけしているわけではありません」と明言。実際、村上さんの本音や物の見方が率直に記されています。
例えば、ノーベル賞の時期になると、毎回騒がれることについて聞かれると「正直なところ、わりに迷惑です」と回答。「正式な最終候補になっているわけじゃなくて、ただ民間のブックメイカーが賭け率を決めているだけ。競馬じゃあるまいし」とぼやいてます。また、同性婚について賛否を問う質問には「賛成派」と明言し、「僕はゲイのともだち、知り合いがけっこう多くて、ここのところまわりで同性婚がいくつか続けてありました。結婚できて、みんなとても幸福そうでした」としています。
一方、ヘイトスピーチには「人種とか生まれとか、自分ではどうにもならないことでひどいことを言われるのって、救いがない。フェアじゃない。こういう世の風潮はなんとかしなくては」と書いています。若者の間で読書習慣が減っていることに悩む教師の相談には「真剣に本を読む人って、全人口の5パーセントくらい。それだけいれば、ちゃんと世界は回っていくんじゃないかと。そう思えば気が楽になりませんか?」と回答しています。
最近面白かったものを教えて、というファンには、「Breaking Bad」というアメリカのテレビドラマに「『Lost』以来、久しぶりにはまりました」と答えています。
お気に入りのウイスキーを聞かれると、銘柄などは挙げず、去年訪れたというスコットランド・ジュラ島でのエピソードを紹介。島の醸造所でできたウィスキーをそこの水で割って飲んだところ「これはほんとに最高です。目が覚めます」と水の大切さも語っています。
また好きな小説に夏目漱石の「三四郎」と「坑夫」を挙げ、「僕は漱石って好きなんです。文章が素敵だから」といいます。
村上さんには恋愛や人生に関する相談も多く寄せられています。
結婚生活を幸せに続ける秘訣を聞かれた際は「幸福を求めて結婚されるとろくなことはありません。がっかりするだけです。幸福にはなれないかもしれないけど、しょうがないじゃないか、ほかにやりようがないんだから……くらいがいちばん良いスタンスだと思います」。
恋愛に関する質問では、時に突き放したようにも見える正直な回答も。
カフェの店員に連絡先を渡したものの返って来ないと落ち込む読者には、「あなたはまだ人生というものがわかってないみたいですね。そんなのは失恋とも呼べません。その前の段階です。しっかりしてください」。
セックスレスが続く夫をその気にさせる方法を問われた際は「他のひとの性欲の事情まで僕にはわかりません。自分のだってろくにわからないというのに」と答えています。
一方、強くかっこよい人になる方法を問われると、「練習しかありません。ずっと練習していれば、今よりもっと強くてかっこよくなれます。練習しないとだめです。がんばってね」とエールを送っています。また、心に留めている言葉はずっと変わらず「腹がたったら自分にあたれ。悔しかったら自分を磨け」だそう。
文章を書くのが苦手という読者には「文章を書くというのは、女の人を口説くのと一緒で、ある程度は練習でうまくなりますが、基本的にはもって生まれたもので決まります」。
また、「人類の最後はどうなる?」という問いには、「人類の最後の一人は猫柳俊子さんです。それからすべては消えてしまいます」とユニークな回答を寄せています。
さすが村上春樹ファン、なんでしょうか。質問もなかなかユニークで、村上さんのウィットにとんだ切り返しも光ります。
「趣味は読書、好きな作家は村上春樹」と言うと、当たり障りのない自己紹介になり気まずいという読者には、「僕なら、好きな作家は猫柳俊子ですと言っておきます」。誰も知らないので、話題もそこで終わるから良いそう。
ファンの悩みは続き、ハルキストと呼ばれるとイラッとするという人には「村上主義者」と名乗り、腕に羊のタトゥーをして「へたなことは言わない方がいいぜ」と言う、という提案。
入りたくなるラブホテルのネーミングをたずねられると「コマンチェロというラブホがあったらつい入ってしまいますね」。
村上さんへの質問は1月いっぱい受け付ける予定。新潮社によると、同様の企画は9年ぶりということでファンが殺到し、開設4日で質問は1万通にもなったそう。
回答してもらうのは狭き門かもしれませんが、ファンもそうでない人もご興味ある方はぜひ。担当編集者によれば「まだまだ面白いのがある」そうで、サイトが続く3月まで楽しい毎日が過ごせそうです。