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ラーメンは週3回以上で「死亡リスク上昇」…健康に楽しむ工夫を提案

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ラーメンを食べ過ぎると健康によくない……。なんとなくそんなイメージがありますが、その関係を科学的に調査した研究グループがあります。週3回以上ラーメンを食べると、死亡リスクが上昇する傾向がみられましたが、研究グループは「ラーメン好きでも健康でいられる工夫」も提案しています。
山形大学と山形県立米沢栄養大学の共同研究チームが、ラーメンの摂取頻度と死亡リスクの関連について疫学研究を行いました。
塩分多めのラーメンを食べ過ぎると健康によくないだろう……というのは、なんとなくは分かるものの、疫学調査での科学的な研究は、「我々が調べた限り世界初」(研究グループ)といいます。
研究では、山形県内に住む46歳~74歳の男女6725人を対象に、2017年~2023年にかけて「食品摂取質問票」を送って回答してもらい、情報を収集して分析しました。健康診断のデータも集めました。
質問票では、食べた麺類を「ラーメン」「そば」「うどん」「そうめん・ひやむぎ」「沖縄そば」「パスタ」の中から選んでもらいました。このうち、「ラーメン」の摂取頻度を「月1回未満」から「週3回以上」まで4段階に分類し、死亡率との関係を追跡調査しました。
山形大学医学部の今田恒夫教授(公衆衛生学)によると、週3回以上ラーメンを食べると、死亡リスクが上昇する傾向がみられたそうです。
サンプル数が少ないため統計学的には差があるとはいえないそうですが、単純に数字を比較すると、週3回ラーメンを食べるグループは、最も死亡リスクの低い週1~2回のグループと比較すると死亡リスクが1.52倍高かった、といいます。
特に、70歳未満の人たち、アルコールを飲む人たち、麺のスープを半分以上飲む人たちでは、死亡リスクの上昇がみられました。
また、週3回以上のラーメン摂取は、高BMI(体格指数)、喫煙、飲酒、糖尿病、高血圧との関連が認められました。
ラーメンを食べるのは危険なのでしょうか。
研究グループは、「すぐに危険とは言えません」としています。
なぜなら、ラーメン自体だけでなく、ラーメンをよく食べる人に多い生活習慣(塩分のとりすぎ、飲酒、喫煙など)が影響している可能性があるためです。
今回の調査では、しょうゆ、みそ、しお、とんこつなど、ラーメンの味による違いは調べていません。
また、ラーメン、つけめん、油そば、混ぜそばについて区別して聞いていないとのことでした。
ラーメンは国民的な人気料理の一つです。山形市は1世帯当たりのラーメンの外食費が3年連続日本一で、「ラーメンの聖地」を宣言しています。
健康リスクが高いラーメンとの向き合い方を尋ねると、今田教授は「完全にラーメン断ちをする必要はありません。楽しみとして食べるのは問題ありません。大切なのは『食べ方』と『頻度』です」とのことです。
では、ラーメン好きでも健康でいられるよう工夫する術は?研究グループは、いくつかのポイントを提案しています。
・ラーメンのスープは飲まない
• 塩分を減らしたラーメンを選ぶ
• 野菜やトッピングで栄養バランスをとる
• 食べる頻度を控えめにする
研究グループが特に強調するのが、「スープを飲まないこと」の大切さです。
人気のラーメン店がこぞって心血を注ぐスープ。マニアのなかには「飲み干すことが流儀」と考える人さえいますが、健康のことを考えれば、断腸の思いでスープを残すことが必要だと指摘します。
「研究でもスープを半分以上飲む人でリスクが高くなる傾向が示されました。スープを控えるだけで塩分摂取量を大きく減らせます」
研究グループは、今回の調査の結果、ラーメンとの健康的な付き合い方について、次のような結論を得たといいます。
「『ラーメンを食べると必ず危険』ということではありません。ただし、塩分が多い食べ物なので、食べすぎない・スープを控える・バランスの良い食事を心がけることが、健康のために大切です」
論文は「The Journal of Nutrition, Health and Aging」に掲載されました。
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