日本を含む世界の情勢までも左右する米国の中間選挙が4日に投開票され、日本時間5日には大勢が判明します。これまでの報道をもとに、選挙の仕組みや情勢、国内外への影響をまとめました。
国会の勢力図を一挙に変える可能性も
米国の中間選挙は、4年間の大統領任期のちょうど中間に実施され、国や地方の議員や知事を選ぶ。特に重要視されるのが国会の上院議員3分の1と下院議員全員を決める選挙だ。日本で言えば、衆議院と参議院を同時に選挙するようなもので、勢力図が一挙に変わる可能性がある。
現状では、上院はオバマ大統領を支持する民主党が過半数を占めているが、下院では共和党が優勢。そのため、オバマ政権の政策は下院で共和党の反対にあい、なかなかまとまらない。今回の中間選挙では、民主党が苦戦しており、上院も逆転されるかもしれない。
データのプロが共和党勝利を予測、背景に大統領の不人気

2012年の大統領選挙で全50州の勝敗を的中させ、データ・ジャーナリズムの旗手として知られるネイト・シルバー氏は自身のニュースサイト「ファイブサーティエイト」で、共和党が上院で過半数を制する確率を74%(3日現在)と予測している。
民主党苦戦の理由の一つとされるのが、オバマ大統領の不人気だ。
就任時と比べれば株価は上がり、失業率は下がった。それでも標準的な家計の所得は大不況前の2007年の水準を下回る。統計上は失業者に含まれないが、フルタイムの仕事が見つからずにパートタイムの仕事をしている人も多い。中東やウクライナなどでの混乱で、対外的な指導力にも批判が増えている。2009年の就任時に6割を超えていた支持率は、4割前後に落ち込んでいる。
共和党勝利、TPPは進展?

ワシントンの大島隆特派員は、共和党が上下院を制した場合、次のような可能性を指摘する。
一方、共和党が議会で法案を通過させても、大統領は拒否権を行使できる。両党が歩み寄って重要な政策課題をある程度前進させる可能性もあるが、ホワイトハウスと議会の対立が決定的となる恐れもある。
また、日本も交渉に参加している環太平洋経済連携協定(TPP)について、クリントン政権元政策顧問のウィリアム・ガルストン氏が次のような指摘をしている。
民主党が勝てば、オバマ氏の人気低迷より共和党の不人気が上回った結果と言える。米議会がTPA法案を通さない限り、他国も最善で最終的な提案もしづらくなり、TPPも合意が難しくなるだろう。