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吉木りさ激怒「てめえ1回だまれ」「人のせいにすんじゃねーよ」
テレビ東京の深夜のヒット番組「吉木りさに怒られたい」。カメラに向かって吉木さんが、数分間怒りまくるだけですが、夏の放送が好評で、10月から続編が始まりました。金曜深夜に怒られることにどんな需要があるのか。テレビ東京のプロデューサーに聞きました。
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テレビ東京の深夜のヒット番組「吉木りさに怒られたい」。カメラに向かって吉木さんが、数分間怒りまくるだけですが、夏の放送が好評で、10月から続編が始まりました。金曜深夜に怒られることにどんな需要があるのか。テレビ東京のプロデューサーに聞きました。
「入社10年目。仕事にも慣れて立場も変わり、怒られることが少なくなった」という高橋P。若手を過ぎた世代の人たちには怒られたいというニーズがあるのではと思いつきました。
「30歳すぎると20代より裁量も増え、あまり怒られなくなる、そうすると、今度は逆に怒られたい欲求が出てくるのではないでしょうか。まわりで『ああいう風な会話や行動はダサイな。全然、空気読めていないな』という光景を目撃したとき、ふと自分は大丈夫だろうかと、不安になります。なかなか、いい大人を叱ってくれる人はいませんから。そこで美女に怒ってもらおうと思いました。こんなダサい大人にならないぞ、という戒めをこめて」と話します。
怒られたいという欲求について、高橋Pは「やや、真面目な話をすると」と断った上で、ドイツの社会心理学者エーリヒ・フロムの「自由からの逃走」を引き合いに説明します。「平成という時代を生きる人は、怒られたいという欲求はどんどん高まっていると思う。家や会社という制度からの束縛がどんどんゆるくなっているのが現代。人は自由になればなるほど、誰かに従属したい、道を示して欲しいという欲求が芽生えるからです」
自由を得るためには孤独や責任を引き受けなければいけない。そうなると、その状況に耐えきれなくて自らを縛るものや律するものがほしくなる。そういう深層心理をくすぐるのが「美女に怒られる」という行為です。視聴者層のターゲットは20代後半~40代前半の男子。一方、女性には「『こういう奴いるよね』というあるある的な発見をしてほしい」と言います。
金曜深夜の放送という時間帯もぴったりといいます。「金曜深夜にテレビを見ている状況はだいたい1人ではないでしょうか。合コンがうまくいかなかったり、職場の飲み会からやっと解放されたり。1週間の出来事を振り返るいい時間帯です」と高橋P。確かに「あのときあんなこと言っちゃったな、あぁ、失敗したなあ」と思い出し、独りでくよくよしているときに、美女にびしっと怒ってもらえると、罪がゆるされたような、孤独感が癒やされるような、そんな気がしてすっきりしそうです。実際、深夜にもかかわらず番組が放送される時間帯には視聴率が上がるそうです。
吉木さんを選んだのは、「怒り」とは逆のキャラクターだからです。ふわりとした軟らかい雰囲気で、少しアニメっぽい声が特徴の吉木さんは、グラビアでもテレビ番組でもいつもニコニコしている印象。そんな吉木さんが怒鳴りまくるというギャップが面白いのでは、と考えました。
今回の番組で人生27年間で最も大きい声を出したという吉木さん。ロケでは「よろしくお願いしまーす」とさわやかに本番入りしたのもつかの間、怒りのスイッチを入れて一気にセリフをまくし立てます。しかし、長ゼリフのため簡単にOKが出ません。この日は午前と午後で1本ずつ撮影。1本4分程度の番組内容ですが、ロケでは撮り直しを重ね、計6時間以上も怒鳴り続けました。OKが出ると「よかったー」とかなりホッとした表情。声の維持のため、のどあめは欠かせないといいます。
吉木さん自身は実生活で怒ることはないそうです。「怒るよりも我慢して我慢して、泣いて爆発するタイプです」と自己分析してくれました。
「全く違った吉木りさが見られる」と周囲の評判も上々で、握手会では「しかってください」「ビンタしてください」とリクエストもあるとか。吉木さん自身も再発見したことがあるそうです。それは、怒ると気持ちがすっきりすること。「普段は言わない汚い言葉でののしったり、怒鳴ったりするという新たな快感を発見しました。もともとドMなのですが、相手が喜んでくれるなら、Sもいけるかもと思うようになりました」と話していました。