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台風 本当に危険なのは「正常化の偏見」 悪い情報、思わず無視

台風が迫る中、気を付けたいのが「正常化の偏見」です。都合の悪い情報に耳を貸さないで、避難などが遅れてしまうことを指します。災害の経験者の方が陥りやすいそうで、侮れません。

暴風に備え、自宅の窓に板をはる住民。周辺では2010年の豪雨災害で2人が犠牲になった=2014年10月11日、鹿児島県奄美市住用町
暴風に備え、自宅の窓に板をはる住民。周辺では2010年の豪雨災害で2人が犠牲になった=2014年10月11日、鹿児島県奄美市住用町 出典: 朝日新聞

目次

台風が迫る中、気を付けたいのが「正常化の偏見」です。都合の悪い情報に耳を貸さないで、避難などが遅れてしまうことを指します。災害の経験者の方が陥りやすいそうで、侮れません。

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出典: 台風19号、勢力保ち沖縄通過 13日に九州上陸か:朝日新聞デジタル

生死に関わる状況になるまで認めない

 「正常化の偏見」は、台風や津波のような災害が起きた時、それほど深刻ではないと思い込んでしまうことです。危険をあえて無視することで心のバランスを取ろうとするのですが、結果的に危険な状況に身を置いてしまうことにもなりかねません。

台風19号で避難所となった施設では、お湯やレトルト食品が準備された=2014年10月11日、那覇市
台風19号で避難所となった施設では、お湯やレトルト食品が準備された=2014年10月11日、那覇市
心理学の用語で、根拠がないのに都合の良い解釈をしたり、安心感につながる情報の方を信じたりする心の動きを指す。日常を平穏な気持ちで暮らすために誰にとっても必要な作用だが、災害時には避難を遅らせる原因になる。
(ニュースQ3)大災害でも避難に油断 「正常化の偏見」とは?:朝日新聞デジタル

災害を経験した人ほど陥りやすい

 「正常化の偏見」は、過去に災害などを経験したことがある人ほど陥りやすくなります。宮崎大の村上啓介助教授(水工学)が、2005年の台風14号で被害を受けた宮崎市で調査したところ、被害経験のない地域の避難率90%に対して、被災経験ありの避難率は37%でした。

台風に備えて撤去される坂本龍馬など3志士像=2014年10月11日、高知市
台風に備えて撤去される坂本龍馬など3志士像=2014年10月11日、高知市 出典:龍馬も台風から「避難」 損傷防ぐため一時撤去:朝日新聞デジタル
宮崎大の村上啓介助教授(水工学)は、昨年の台風14号で被害を受けた宮崎市の大淀川沿いで、避難勧告が出た地域でアンケートを行った。433世帯の回答のうち、これまで被害経験のない地域の避難率が90%だったのに対して、被災経験がある地域の避難率は37%にとどまった。
2006年11月27日:津波警報、なぜ逃げぬ 「2メートル」誤解?余裕? 択捉沖地震、避難所へ1割だけ [朝日新聞紙面から]

「○○丁目が浸水!」身近な地名が効果的

 それでも避難してもらうにはどうすればいいか。効果的なのが「○○丁目が浸水」のように、身近な地名を使った呼びかけです。京大防災研究所の調査では、3倍以上の避難させる力があったそうです。市や県といった大きな範囲だと、なかなか自分のこととして認識できず、影響を小さく考えてしまうようです。

地元住民への意識調査で、「伊勢市に大雨警報」といった呼びかけより、「○○○丁目が浸水」と身近な地名を使う方が、住民を避難させる力が3倍以上あったからだ。
(ニュースQ3)大災害でも避難に油断 「正常化の偏見」とは?:朝日新聞デジタル

いずれにしても、常に最悪の事態を考えて行動するのが肝心です。

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