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イスラム教徒にとって大切な宗教行事。それは年に一度、約1カ月間に及ぶ断食です。今年はサッカーW杯の決勝トーナメントや、大相撲名古屋場所と重なりました。アルジェリアは、W杯を制したドイツ相手に健闘。エジプト出身の大砂嵐は2日連続で横綱を破りました。その陰に、いったんどんな努力があったのでしょうか?

#1 みぢかなイスラム

断食しても活躍、さすが一流アスリート W杯・相撲とラマダン

日本でのラマダン前夜、ちゃんこを食べる大砂嵐
日本でのラマダン前夜、ちゃんこを食べる大砂嵐 出典: 朝日新聞

目次

イスラム教徒にとって大切な宗教行事。それは年に一度、約1カ月間に及ぶ断食です。今年はサッカーW杯の決勝トーナメントや、大相撲名古屋場所と重なりました。国民のほとんどがイスラム教を信仰しているアルジェリアは、W杯で優勝したドイツ相手に健闘。エジプト出身の大砂嵐は2日連続で横綱を破りました。その陰に、いったんどんな努力があったのでしょうか?

ラマダンとは

<ラマダン> 約1カ月間、日中の飲食を断ち、神の恵みに感謝する。聖地メッカへの巡礼など、イスラム教徒の五つの義務である「五行」の一つ。イスラムの暦で9番目の月を指し、1年ごとに11日ほど期間が早まる。妊婦や病人らは免除の対象。AP通信によると、ロンドン五輪に出るイスラム教徒の選手の多くは、ラマダンを五輪後に先送りするなどの特例措置をとるという。
朝日新聞

W杯16強のアルジェリア

ロシア戦を終えて喜ぶアブデルムメヌ・ジャブ(中央)
ロシア戦を終えて喜ぶアブデルムメヌ・ジャブ(中央) 出典: ロイター

2大会連続4回目の出場。今大会で初の決勝トーナメント進出を果たしましたが、優勝したドイツに延長戦の末敗れ、8強入りはなりませんでした。

ドイツとはこんな因縁も

ドイツは1982年大会の「談合疑惑」が絡む因縁の相手。西ドイツとオーストリアが得失点差を操作するような試合を1次リーグ最終戦で演じ、勝ち点で並んだアルジェリアが敗退した。ハリルホジッチ監督は「32年の時を経た挑戦」と意欲をかき立て、当時を知らない選手が応えた。
朝日新聞デジタル

前半終了ぐらいまで水分補給できず

ドイツ戦で競り合うエル・アルビ・スダニ(左)
ドイツ戦で競り合うエル・アルビ・スダニ(左) 出典: ロイター
イスラム教徒が多いアルジェリアには、ラマダンの影響が懸念されていた。日中の飲食が一切禁止される宗教上の習慣が決勝トーナメントと重なった。午後5時開始の試合だったため、断食を行っている選手は前半終了ぐらいまでは水の補給もできなかった。
朝日新聞デジタル

「ラマダンは敗因ではない」

ドイツに敗れ、顔を覆うソフィアヌ・フェグリ
ドイツに敗れ、顔を覆うソフィアヌ・フェグリ 出典: ロイター
延長に入ってから、運動量が落ちたこともあって2失点を喫した。それでも、GKエムボリはAFP通信の取材に対し、「ラマダンは敗因ではない。我々はしっかり戦う準備は出来ていた。この試合を見て、パフォーマンスを発揮できなかったとは誰も思わないだろう」と話した。
朝日新聞デジタル

連日金星の大砂嵐

鶴竜(右)は大砂嵐のすくい投げに敗れる
鶴竜(右)は大砂嵐のすくい投げに敗れる 出典: 朝日新聞デジタル

エジプト出身の大砂嵐の得意技は、立ち合いに腕やひじで相手の上体を起こす「かちあげ」。

開催中の名古屋場所では、5日目に鶴竜を、6日目に日馬富士を破り、2日続けて横綱に土をつけました。

朝日新聞によると、2日連続の金星は昭和以降16人目で、2003年九州場所で朝青龍と武蔵丸を2日続けて破った栃乃洋以来だそうです。

今場所の「台風の目」となっている大砂嵐ですが、今年のラマダンは名古屋場所と完全に重なってしまったそうです。

ラマダンは太陽暦より1年が11日ほど短い太陰暦に基づき、時期が毎年ずれる。入門初年の2年前は場所の最後の2日間、昨年は4日目からの12日間だった。今年は、名古屋場所の番付発表前日の6月29日に始まり、千秋楽の27日まで。期間中は夜明けから日没まで飲食ができない。
朝日新聞デジタル

どんな工夫をしてるの

1日ぶりの食事で4人前のチキンカツカレーを食べる大砂嵐
1日ぶりの食事で4人前のチキンカツカレーを食べる大砂嵐 出典: 朝日新聞デジタル
大砂嵐は取組後、愛知県稲沢市の宿舎に戻る車中で日没を迎えると、すぐにコンビニで飲料を買って一気飲み。宿舎では自らカモ肉のフライやエジプト料理で定番のモロヘイヤスープを作り、普段より多めに食べる。夜明け前に前夜の料理を温め直して腹を満たす。昨年はラマダン中に体重が7キロも減ったため、今年はご飯にバターを混ぜるなど、カロリーが減らないように心がける。
朝日新聞デジタル

親方の指導は

大嶽忠博さん
大嶽忠博さん 出典: 朝日新聞デジタル

大砂嵐の親方・大嶽忠博さんはこう語っています。

 「『断食だから練習できない』とは言うなと厳命した。宗教上、ちゃんこの豚肉は食べられないが、鍋には魚も野菜も入っている。それを食べろ、と。漬物でご飯を食べてもいい。さすがにトンカツの時には彼にチキンカツを用意した。そんな配慮はした」

 「断食の時には水も飲めない。これは心配した。エジプトでは断食の時期も6時間は稽古したと聞いていたが、日本の暑さは湿気があり格別。じっと私が観察した。唇や顔を見ながら、こまめにホースで水をかけてやり、後頭部やわきの下などリンパ節を冷やした。その脇では日本人力士は水をごくごく飲んでいた。断食中の真夏の稽古でも自分から『やめたい』と言ったことはなかった」
朝日新聞デジタル

まわりのサポートがあってこそですね。

大砂嵐の夢

本人はこう語っています。

大砂嵐は上手投げで千代鳳を破る
大砂嵐は上手投げで千代鳳を破る 出典: 朝日新聞デジタル
ラマダンを乗り越えれば、同じくイスラム教徒の新弟子が入門した時のモデルケースを作り上げることができる。繰り返す「ヒストリーメーカー(歴史の創造者)でありたい」の言葉には、そんな思いも込めている。
朝日新聞

負けるな大砂嵐!

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