「俺は何人なんだ?」問い続けた少年は大人になってヒーローになった

沖縄のスピリッツを守りたい

伏見学
ライター

出身地である南風原町の劇団で活動をつづける新垣敏さん=筆者撮影


1972年5月15日の沖縄本土復帰から、まもなく50年。この半世紀で沖縄はどう変わったのでしょうか。連載「10人の沖縄」では、沖縄で生まれ育った10人の視点から、この50年をひもときます。 (ライター・伏見学)

唐の世、大和世、アメリカ世……。沖縄は絶えず外からの影響を受けてきた歴史があります。その都度、社会のルールや仕組みが変わるため、そこで生きている人々は翻弄され続ける運命にありました。
 
本土復帰に向けた周囲の盛り上がりを尻目に、「一体、自分は何人なのかよくわからなくなった」と打ち明けるのが、演劇の世界に身を置く新垣敏さん(58)です。けれども、そうした原体験が、沖縄の文化や歴史に目を向け、それを守りたいという使命感に駆られるきっかけとなりました。

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