「息子とデート」「人財=じんざい」言葉に重なる〝まやかしの感動〟

気をつけたい「無意識の支配」の怖さ

神戸 郁人

「ママと息子の初めてのお泊まりデート」というタイトルで炎上した、ある企業の宿泊プラン。この一文を生み出した社会情勢と、「人財」といった造語が使われる背景事情の、共通項について探ります(画像はイメージ)

「母親と息子のデート」をうたう宿泊プランを企画した、リゾート施設の経営企業が、今年の春、ネット上で「炎上」しました。プランの見せ方に「親を喜ばせるため、子どもを使うな」「不適切な表現がある」などの批判が集まったのです。言葉によって〝感動〟を演出することで、他者を無意識に支配する。よく似た構造を持つのが、主に企業の経営者たちが発する、「人財(人材)」「志事(仕事)」といった造語です。一見、ポジティブな響きを伴う語句が、周囲の人々との関係性を歪(ゆが)めてしまう。そんな言葉を使うことの、怖さと難しさについて考えます。(withnews編集部・神戸郁人)

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