アマビエブームで見逃されたこと 民俗学者が書く「物言う魚」の本質

疫病の記憶を「ブーム」で忘れないために

畑中 章宏

新型コロナウイルスの流行後、その人気が爆発的に高まった妖怪「アマビエ」。その姿を消費するだけでなく、疫病の記憶継承に役立てられないか……。一人の民俗学者が、そんな思いをつづります=京都大学附属図書館所蔵

新型コロナウイルスの流行以降、想像上の存在が、にわかに注目を集めています。SNS上では、妖怪や大仏のイメージが流行。「疫病退散」の願いを込め、その姿を描いて拡散したり、仮想の「仏像」を造るアプリを使ったりする動きが広まりました。とりわけ人気なのが、流行病を予言する三本足の幻獣(げんじゅう)「アマビエ」です。民俗学者・畑中章宏さんは「その姿を消費するだけでなく、決して忘れてはいけない」と警鐘を鳴らします。「予言獣」の起源が示す「災難の象徴」という本質についてつづってもらいました。

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