連載
#25 特別じゃない日
ひとり暮らしで熱を出した青年 大家さんがおかゆ作って行ったけど…
「特別じゃない日」をテーマにした単行本が発売された漫画家・稲空穂さん。ツイッターで発表して注目を集めた漫画「発熱」に込めた思いを聞きました。
アパートの住民たちの部屋を訪ね、家賃を集めて回る大家さん。
すると、ひとり暮らしの青年が熱を出して苦しそうにしていました。
大家さんがおかゆを作って青年の部屋へ持って行くと、玄関には差し入れの食べ物がたくさん置かれています。
家賃を集めて回っていた大家さんから青年の話を聞いた隣人たちが、続々と持ってきてくれたものでした。
風邪をひくと、ひき始めのつらい頃はひたすら寝ているしかありません。
でも、少し調子がよくなってくると、ひとりで寝ていることがすごく寂しくなってきます。
それだけに、身近な誰かが体調を崩すと、自分にできることはしたいと思います。
コロナ禍になって、家族同士でも風邪をひいた人には極力近づかない風潮になってしまったことが、少し寂しく感じています。
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〈稲空穂=いな・そらほ〉 静岡県出身・在住の漫画家。会社員を経て2017年に「おとぎ話バトルロワイヤル」(KADOKAWA)でデビューし、「特別じゃない日」で日常をテーマにした作品に挑戦中。老夫婦や女子高校生、主婦、バイトの青年……それぞれの小さな幸せがつながっていく物語を描いていて、実業之日本社から第1集が書籍化され、7月に第2集「特別じゃない日 猫とご近所さん」が発売された。Twitterアカウントは@ina_nanana
withnewsでは原則隔週水曜日に、稲さんの漫画とともに作品に込めたメッセージについてのコラムを配信しています。
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