連載
#8 教えて!マニアさん
数式なし!物理好きの女性が描く量子力学漫画「なんとな~く電子Ⅰ」
「特に量子力学とかシュレディンガーの猫とか、興味があっても本当に何も知らない初心者向けの本ってなかなかないんです」
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#8 教えて!マニアさん
「特に量子力学とかシュレディンガーの猫とか、興味があっても本当に何も知らない初心者向けの本ってなかなかないんです」
「博物ふぇすてぃばる!」の開催は今年で6回目。7月20日(土)から2日間、科学技術館(東京都千代田区)で開催されました。
会場では、雑貨やアクセサリーなどをつくる作家・クリエイターや、普段から専門で研究している研究者たちが、それぞれのオリジナルグッズを販売しました。学問とものづくりやエンタメを組み合わせた内容であることが出展の条件となっています。
趣味でつくった「打製石器」、「前方後円墳」型のクッション、羊毛フエルトでつくった深海生物、素粒子と加速器実験をモチーフにしたスマホケース……。ここでしか出合えないような個性的でニッチな商品を扱う、約370ブースが並びました。
会場を回っていると、ポップな色のキーホルダーが並ぶブースを見つけました。かわいい猫っぽいイラストですけど、これ、よく見ると電子……そしてそれが集まったこれは電子配置ですよね……?
※電子配置とは、高校化学で習う電子の分布を表したもの。もう既に苦手意識を持つ人もいるかもしれませんが、これらによって原子の性質に影響を及ぼしているのです。
ししゃもさんは大学時代、物理学を専攻し、特に物質の性質を研究していたそうです。一方、絵を描くことが好きだったため、今の仕事に就いたといいます。
しかし、大学を離れて思い知るのは物理の面白さでした。「もっと早くから出合いたかった」と、物理を知らない人でも楽しめる漫画やイラストを描き始めたといいます。学び直しながら描くにつれ、森羅万象にかかわる電子が「どんどん好きになった」といい、電子をより知るために量子力学に興味を持ったといいます。
「特に量子力学とかシュレディンガーの猫とか、興味があっても本当に何も知らない初心者向けの本ってなかなかないんです」というししゃもさん。もしも勉強したくても、中学や高校の理系科目でつまづいたら学ぶ機会はぐっと減ってしまいます。「それはちょっともったいないですよね」
博物ふぇすでは、中学生でも読めることを意識した、数式を使わない漫画「なんとな~く電子Ⅰ」を販売していました。よりとっつきやすくするために、電子を”猫化”。電子同士が反発し合う性質を「同族嫌悪」と、”性格”として紹介するなどの工夫もされています。
理系であるあるなのが「女子が少ないこと」。その分結束が強まることがありますが、少数派として過ごすのはやはり心細いことも。ししゃもさんも大学時代、同期に女性が少なく、さみしい思いをしていたといいます。かわいいイラストにすることで、女性の目にも留まったらというねらいもあります。
社会人になって気付く、勉強が当たり前じゃない環境、いかに自分が受動的に学んでいたかということ。だけど、いつだって学び直せるし、それは想像以上に楽しく出来るーー。ししゃもさんにそんなことを教えてもらいました。
大人になると臆病なもので、自分から情報をインプットするのがどんどん苦手になっていきます。「勉強しなきゃ」「知っておかなきゃ」ーー。そんな気持ちがプレッシャーとなって、情報を無理やり飲み込もうとしても胸につっかえてしまう。
しかしです。
好きだから知りたい。知るともっと好きになる。「博物ふぇすてぃばる!」で出会ったのは、そんな「好き」の循環の中を夢中で突き進む、たくさんの出展者たち。
そんな愛があふれる人たちの情報は、不思議とするっと入ってくるものです。明日使えるかどうかわからないニッチすぎる情報だけれども、うんうんとうなずいているだけで、自分の中の知的好奇心が目覚め出す。まだまだ私は情報をぎゅっと吸い込める、そう思える1日でした。
来年はオリンピックの影響で、例年通り開催できない可能性があります。でも、次回開催されるのであれば、自分のスポンジはもう水分でいっぱいかもと思う人に、ぜひ行ってもらいたいです。
◇なんとな~く電子I
— UUゃもラボ@博物ふぇすありがとう! (@shishamojam404) May 16, 2019
イモきちさん(@dokugura_sigh )との合作、
ゆるっとふわっとなんとな~く電子のことが知りたい人向けの漫画。
粒子と波の二重性がメインです。中学生でも読めるかも…?
⚠️注意⚠️
圧倒的ゆるふわのためガチ勢にはお勧めできません!
処女作なのでいろいろ大目に見てください!! pic.twitter.com/TreLzgiai7
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