飲みかけのペットボトルも「忘れ物」? 大型連休など、観光・レジャーに、泊まりがけで遠出する人もいるのではないでしょうか。そんなとき、ホテルで宿泊客と共に増えるのが忘れ物ですが、「捨てた」と思っていたものが「忘れ物」として保管されている場合があります。一体どういうことでしょうか。
さっそく、全国の駅前などにあるホテル、ルートインを展開するルートインジャパンに聞いてみました。宿泊客の忘れ物について、消耗品や日用品は3カ月、新聞・雑誌、飲食物は1日、ホテルで保管する、としています。
飲食物の中には、机の上に置いてある飲みかけのペットボトル、冷蔵庫に入ったままのヨーグルトなどが含まれる場合もあるといいます。
中身が相当残っているなど、お客様にとって不要か否かホテル側での判断に迷うものは、飲食物として1日保管するといい、フロントの帳簿に記帳し管理しているそうです。
私にも身に覚えがあるのが、洗面所に置いた市販の歯ブラシです。これは「消耗品・日用品」にあたるので、3カ月保管されます。
ですが、さすがにこれらを取りにホテルに戻る人はいなさそうです。「ゴミ」ではないのでしょうか?
担当者は「お忘れ物なのか、ゴミなのかはお客様にしか正確に判断できないものです」といいます。「ホテルとしての判断は非常に苦慮します」。
規定を原則として、客室清掃の担当者とフロントで連携して検討、対応するそうです。
ビジネスホテルを中心とした全国的な団体、一般社団法人 全日本シティホテル連盟に聞くと、「『忘れ物』と判断する基準は、ホテルによって異なる」といいます。「トラブルを避けるために、集めたゴミは1日はホテル内で保管するようにアドバイスすることはありますが、基本的にはそれぞれのホテルの中でルールを設けています」と話しています。
全国チェーンの東横インでは、忘れ物は基本的に発見時からホテルで14日間保管していますが、飲食物や雑誌に関しては即日処分するそうです。
机の上に置いたペットボトルなどは、飲食物なので即日処分となります。一方、前述の歯ブラシは14日間保管されます。ホテルでの保管期間が過ぎた後は、財布、時計などの貴重品は警察に届け、それ以外は処分するそうです。これらの忘れ物は、帳簿で管理されています。
長期休暇の時期などは、忘れ物も増えるといいます。忘れ物の管理作業について聞くと、担当者は「作業が大変というよりかは、お客様が大切なものをお忘れになっていたら…と思うと心配になります。お忘れ物はない方がよいです」と話します。
では明確に「捨てた」と意思表示するにはどうすればよいのでしょうか。
ルートインジャパンの担当者によると、ゴミだと判断しやすいのは「ゴミ箱に入っている場合」とのことです。
中には燃えるゴミとペットボトルなどを、同じゴミ箱に入れることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。
そんなときや、ゴミ箱に入りきらなかったり、直感的に「ゴミ」と判断しにくかったりする品物でも、ゴミ箱の周辺に置かれていれば判断できるといいます。中には「捨ててください」とメモを残すお客さんもいるそうです。「これは非常に判断しやすく、ありがたいです」といいます。
室内やユニットバス内のほか、館内着のポケットなどにも忘れ物が残されていることもあるそうです。
対応はホテルによって異なります。もしも「忘れてきたかも」と気付いたら、出発したその日のうちにホテルに連絡をした方がよいでしょう。
忘れ物をそっと保管しておいてくれる、ホテルの細やかな気遣いは、宿泊客が気付かないところにも行き届いていました。ただ、自分は「捨てた」と思っていたものを、長い間保管してもらうのはちょっと申し訳ないです…。チェックアウトのときの忘れ物チェック、その際に少し意識するだけで、誰かが楽になるポイントがあります。次の旅行から実践してみませんか。