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世界大学ランク日本版で23位! 会津大学って? 評価の理由を調査
会津大学って知っていますか? なかなかキャラの濃い大学でして……。
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会津大学って知っていますか? なかなかキャラの濃い大学でして……。
会津大学って知っていますか? 福島県会津地方唯一の大学なんですが、英国の出版社が今春、公表した日本の大学ランキングで、名門大学の間を割って23位に食い込みました。一体何が評価されているのかと調べてみるとなかなかキャラの濃い大学でして……。(朝日新聞福島総局・小泉浩樹)
取材のきっかけは、3月末に読んだ新聞記事。世界大学ランキングの公表で有名な英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が「世界大学ランキング日本版」を初めて発表したという内容でしたが、1位は東京大、2位東北大、3位京都大と、旧帝大や早慶上智など難関私大が並ぶ中で、なんと開校30年足らずの会津大が23位に。ちなみに同じ福島県の福島大は95位。
まず、開校当時から在籍している中国出身の程子学副学長に話を聞きました。
開校は1993年。会津地方には4年制大学はなく、開校には地元の強い希望があったそうです。
いまの大学のあり方を決定づけたのは、佐藤栄佐久知事(当時)。「作るならとがった大学にしよう」と言いだし、大学のコンセプトを「ICT(情報通信技術)」、「ベンチャー」、「国際性」の三つに決めました。
学部はコンピュータ理工学部だけにすることとし、世界各国からコンピューターの専門家を集めました。ちょうど冷戦終結で共産圏から人材が流出している時期だったため、とりわけロシアから一流の研究者が集まったそうです。現在、カナダやインドなど17カ国から42人の研究者が在籍しており、約4割が外国人教員とのこと。
外国人教員に定着してもらうように英語と日本語の両方を学内の公用語とし、文書を英語でも作成することを定めました。楽天が英語を社内公用語にする20年近く前から日本人職員は英語でコミュニケーションをとらなければいけませんでした。学内の人事も外国人、日本人分け隔てなく登用される仕組みになっています。
入試も独特です。最も定員が多い方式は、1次試験がセンター試験は理科1科目のみ。2次試験も数学と英語の2科目です。国公立大学でセンター試験を理科1科目だけにしている学校は他にはありません。
入学すると、1年生からプログラミングを徹底的に教え込まれます。大量の課題が課せられ、徹夜で作業をする学生もいるとか。3年生からは英語だけの授業が本格的に始まり、卒論は英語で書かなければいけません。4年間で卒業できるのは75%程度だそうです。
このような厳しい環境で育った学生はIT業界で評価が高く、ヤフーやNTTドコモなど大手に就職する学生もいます。ここ数年の就職率は97~98%。
また、大学が奨励していることから自らベンチャー企業を立ち上げる学生も多く、今年年3月末、大学発のベンチャー企業は18社。学生数あたりでは全国で屈指の数です。
THEのランキングは「教育リソース」「教育満足度」「教育成果」「国際性」の四つの項目で評価されます。会津大は教育満足度が87・4点、国際性が75・8点と高く、全体の評価を押し上げています。THEの教育満足度は高校教員の評判調査などが基になっています。関係者の話を総合すると、総合的な学力は必ずしも高くないが数学や理科で特化した力を持った学生を鍛えて伸ばしていることが高校教員の評価につながっているようです。
駿台教育研究所の石原賢一進学情報事業部長は会津大を「お得感がある」と表現します。ITは技術さえあれば東京にいなくてもチャンスがある業種であることも地方の大学で教えるのに向いているとも。
「全国的には地味かもしれないけれど、うまく特色が作られている大学だから高い評価を得たのだと思います」
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