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CM話題のスキー場、赤字で背水の陣 暖冬・バス事故・地震…最新作は
日本で一番南にある「五ケ瀬ハイランドスキー場」を知っていますか?
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日本で一番南にある「五ケ瀬ハイランドスキー場」を知っていますか?
日本で一番南にある「五ケ瀬ハイランドスキー場」(宮崎県五ケ瀬町)を知っていますか? ここ数年、「南ちゃん」シリーズのCMが話題になっているスキー場ですが、暖冬や長野県軽井沢町のスキーツアーバス事故の影響で、昨季の入場者数は採算ラインの4万人を割り込み、過去10年で最少の3万2404人に。運営会社の累積赤字は約2億7500万円まで膨らみました。「背水の陣」の今季、4万人集客を目指して新作動画を本日公開した運営会社に話を聞きました。
2013年に始まった南ちゃんシリーズのCM。甘い語り口の「南ちゃん」と、その彼氏「てっちゃん」の恋愛を描いた15秒のストーリーで、毎年の話をつなげるとドラマ仕立てになっています。
南ちゃんが思わせぶりなセリフを言い、てっちゃんが絶妙な返しをするシリーズは、ライバルの「新・南ちゃん」との三角関係を経て昨年、2人が結婚してハッピーエンドとなりました。
公式動画の再生総数は、2013年公開分から今年の予告編までの計4本で180万回に達しています。
CMが放映されてから来客数が累計で約8千人増えたというスキー場ですが、昨季の入場者数は過去10年で最少の3万2404人と低調でした。
最大の要因は暖冬で雪不足だったことですが、15人が死亡した軽井沢町のスキーツアーバス事故も影響。さらに、今年4月には熊本地震が発生し、駐車場の敷地に亀裂が入ったり、水道管が壊れたりしました。
スキー場を運営しているのは、町が出資している第三セクター「五ケ瀬ハイランド」(社長・原田俊平町長)です。同社の資本金3億円に対し、累積赤字は約2億7500万円まで膨らんでいます。
原田町長は今月15日に記者会見を開き、今季を「三セクとしてのラストチャンス」と位置付け、町を挙げて入場者数4万人を目指す方針を明らかにしました。今季の入場者数が4万人に届かなければ、三セクによるスキー場管理を見直すとしています。
営業期間を昨季の100日間から80日間に短縮して経費を削減したり、従来の熊本市と鹿児島市に加え、福岡市と宮崎市からも日帰りツアーバスを運行してもらったり、といった経営改善策を発表。
南ちゃんが「五ケ瀬に来て…」と涙ながらにお願いするポスターを県内や熊本県に張り出し、20日から放映が始まったCMも切実感の出たものになっています。
いつものコミカルなテイストは残しつつ、スキー場のスタッフや地元の中学生、町長も出演して五ケ瀬の良さをアピール。最後に南ちゃんが「南も、日本で一番南のスキー場も、けっこうリアルに困っています。今シーズンはCMを見るだけでなく、五ケ瀬ハイランドスキー場にぜひぜひ遊びに来てください」とコメントしています。
五ケ瀬ハイランドの常務・米田誠さんはこう話します。「まさに背水の陣です。今年のCMには、町を挙げて『来てください』というメッセージを込めました。雪も景色もいいスキー場なので、ぜひお越しください」
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