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消しゴムはんこでお釈迦様 彫りながら法話、クセになる癒やし感
「消しゴムはんこ」にお釈迦様を彫りながら、仏教の法話を聞くワークショップが人気です。彫りながら法話を聞くという、独特な癒やし感が人気です。
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「消しゴムはんこ」にお釈迦様を彫りながら、仏教の法話を聞くワークショップが人気です。彫りながら法話を聞くという、独特な癒やし感が人気です。
「消しゴムはんこ」にお釈迦様を彫りながら、仏教の法話を聞く――。そんなユニークなワークショップが全国各地で開かれています。3月7日には、書籍「消しゴム仏はんこ。」も発売。ワークショップを手がけているのは、お寺のお坊さんと消しゴムはんこ作家という、異色のコンビ「諸行無常ズ」です。
「諸行無常ズ」を組むのは、極楽寺(新潟県小千谷市)の僧侶・麻田弘潤(こうじゅん)さんと、静岡県熱海市在住の消しゴムはんこ作家・津久井智子さんの二人です。
東日本大震災後、被災地にボランティアに入っていた麻田さんは、物資を配ったり片付けをしたりといった活動の合間、趣味の消しゴムはんこを作って被災者に喜ばれていました。手元に夢中になっていると、向かいに座った女性がポツリと「実は津波からギリギリで逃げたんだ」と話し始めたそうです。
麻田さんは「お坊さんとして聞こうと思っていたら聞けなかった悩みが、すらりと出てきた。消しゴムはんこって、肩ひじ張らずにコミュニケーションをとれる力があるかも」と感じたそうです。
消しゴムはんこ教室や個展を開いたり、オーダーメイドのはんこを作ったりして活動していた津久井さんも、同じように被災地で支援にあたっていました。2人は東北で知り合い、何度かボランティアでワークショップを開催。そこで麻田さんは、法話と消しゴムはんこを組み合わせたワークショップができないか、提案したそうです。
津久井さんは「消しゴムはんこだけでもマイナーなのに、さらに仏教? ニーズがあるかな…」と半信半疑でしたが、麻田さんが「津久井さんのプロのはんこがあれば、もっと伝わる」と説得。普段から仏教モチーフのはんこを作るなど親しみもあったことから、「諸行無常ズ」を結成することになりました。
いざワークショップを開いてみると、お寺からの開催依頼もたくさんあり、すぐに満席になってしまう回も。これまでに北海道から九州にかけて、全国各地で約30回開催。参加者は、20~30代の女性がメインですが、ときには子どもからおじいちゃんまで、幅広く集まることもあります。
津久井さんは「意外に反響が大きくてびっくりしました」と話します。
2月12日に東京で開かれた「ものことひと市」のワークショップでは、参加者全員が女性。津久井さんがお手本を見せつつ、消しゴムにお釈迦様を彫っていきます。
「王子の身分を持っていたお釈迦様ですが、ぼろぼろの服を着た老人に出会って、考え方を変えていきます」
時々、彫る手を休めて、麻田さんの穏やかな語り口の法話に耳を傾けます。津久井さんも「仏様の髪の毛、螺髪(らほつ)は、シャーペンで穴を開けると楽なんですよ~」と、和やかに説明していきます。二人のほんわかした雰囲気に、なんとも癒やされます。
これまでのワークショップの参加者からは、「法話を聞いて心が落ち着いた」「仏教やお寺って、自分が思っているよりも近寄りやすい場所だと感じた」といった感想が寄せられているそうです。
3月7日には、諸行無常ズの著書「消しゴム仏はんこ。」が誠文堂新光社から出版されました。同社の編集者は「弊社から出した仏像の本が大ヒットして、仏教への関心が高まってるなぁと感じました。『消しゴムはんこ』という気軽さと、仏教が合わさったところがいいな、と思って声をかけました」と言います。
本では、「如来」「菩薩」といった仏像や「極楽の鳥」など、仏教モチーフのはんこの絵柄を紹介したり、ためになる仏教の教えが掲載されていたり。初心者にも手にとってもらいやすいよう工夫されています。
3月12日18時から、築地本願寺で出版記念イベントが開催されるそうです。「諸行無常ズ」による、消しゴムはんこのライブパフォーマンスや、サイン会、有料ワークショップもあります。
津久井さんは「仏教は、『生きていくためのコツ』を学べる哲学みたいなもの。消しゴムはんこでも、仏教でも、興味のある方を入り口に、気軽に楽しんでください」と話しています。
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