話題
就活エントリーシートにモヤモヤ 言語化で大事なものを失ってない?
就活中の大学生から、朝日新聞ポッドキャストにおたよりが届きました

話題
就活中の大学生から、朝日新聞ポッドキャストにおたよりが届きました
就職活動中の学生さんからおたよりが届きました。エントリーシートを埋めるため、自分の好きなことを文章化して自己アピールにはげむ日々。思い出や日々の癒やしまで、就活に吸い込まれてしまっている? この違和感、消し去らないと就活は乗り切れないのでしょうか。
大学生の夏休みといえば、旅行、サークル合宿、アルバイト……だけではありません。
就職活動の早期化で、1、2年生から業種や会社を知るための仕事体験やオープン・カンパニー(企業説明会)、3年生はサマーインターンシップが開かれています。
3年生を対象としたインターンシップは採用の選考につながることもあるため、参加する学生が多いようです。
そこで必要なのは、エントリーシート。学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)や志望理由などをまとめなければいけません。
朝日新聞ポッドキャストには、就活中の大学生からエントリーシートに対するモヤモヤが寄せられました。
番組ではリスナーさんのおたよりをもとに、朝日新聞の記者3人が語り合いました。
三者三様の〝就活論〟が繰り広げられています。
※2025年6月25日に収録しました
エントリーシートのモヤモヤに、一同納得。特殊な時間だったなぁと振り返りました。
筆者は大学3年生のとき、ヒィヒィいいながらエントリーシート書きました。
放送でキーワードとなったのは「文章化」ですが、就活ではこの「文章化」(面接では「言語化」)が繰り返し必要となってきます。
文章化が苦手だった筆者ですが、憧れたのは文章化する仕事(どちらかというと人の話を聞いて発信したいという思いで記者を志望しました)です。
エントリーシートに自分をアピールできる「ネタ」をちりばめ、書いては先輩や大学のOBOGに添削してもらい、ダメ出しや叱咤激励をいただきました。
何度も繰り返すうちに直面したのが、リスナーさんと同じ感覚です。
「私はなぜ記者になりたいんだ?」から始まり、「なぜこの社会課題に関心がある?」「なぜこのテーマで卒論を書こうと思った?」「なぜこのアルバイトを選んだ?」「この映画を観てなぜこんな感想を持ったんだ?」……と理由探しが続きました。
「気になったから」「好きだから」「なんとなく」は、就活市場で相手にされません。
「なぜ?」を探していくのはいわゆる「自己分析」なのですが、筆者の場合は自分の納得感よりも他者の反応を見て、「この話は説得力がありそうだ」「面接官ウケがよかった」と成功体験を積み重ねていったように思います。
一方で、自分のことを人に分かりやすく伝えるためにはとても大事な作業でもありました。文章化や言語化はコミュニケーションに役立ちますし、就職してからの自己紹介は、就活で考えていた分スムーズにできていたと思います。
SNSで日常的に発信する現代では、筆者が学生のころ以上に言語化のレベルは上がっていると思います。いま自分が就活生だったとして、うまく言語化できるだろうか……不安です。AIをフル稼働させたとしても、きちんとプロンプトを書けないと結果に差が出ます。
そういえば、最近自分の「なぜ?」をゆっくり考えたことはない気がします。
自分にうそをついてまで就活に取り組む必要はありませんが、自分に対する「なぜ」を深めて他者からの反応ももらえるのは贅沢な時間かもしれません。
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