IT・科学
傘や買い物袋をぶら下げていたら…危険な自転車の〝前輪の巻き込み〟

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自転車に乗っていたら、ハンドルに下げていた傘が前輪に巻き込まれて転んでしまった――。そんな事故が起きているとして、独立行政法人の製品評価技術基盤機構(NITE)が注意を呼びかけています。事故を防ぐために、どのような点に注意が必要なのでしょうか。
「袋や傘などが前輪の近くにあると巻き込まれて前輪がロックするおそれがあります」
X(旧Twitter)でそんな注意喚起をしたのは、NITEのアカウントです。
街を歩くと、ハンドルや手首に傘や買い物袋をぶら下げながら走る自転車をよく見かけます。
しかし、こうした行為は、前輪への巻き込みの原因となり、大きな事故につながる可能性があるといいます。
2019年から2024年までの6年間に、NITEに「重大製品事故」などとして報告があった自転車の事故は全国で502件ありました(電動アシスト自転車用バッテリーの火災などは除く)。
警察庁の統計によると、昨年の自転車関連事故は約6万7千件で、報告があった件数は自転車の事故全体からするとごく一部ではありますが、502件の事故の原因を分析すると、リコール対象製品による事故を除くと、前輪に傘や買い物袋を巻き込んだことでロックされ転倒したという事故が最も多く、38件ありました。このうち33件が重傷事故だったといいます。
2022年11月に京都府で10歳代の男性が重傷を負った事故では、自転車で走行中、前輪がロックして転倒、右ひじを負傷しました。
事故原因の特定には至っていないとのことですが、走行中に何らかの巻き込みが発生し、自転車の前ホークが変形したと考えられ、前輪スポークの1本が破断していたといいます。
こうした事故を防ぐためには、ハンドルや手首にものをぶら下げないことが大切だといいます。
ハンドルや手首に買い物袋、かばん、傘などをぶら下げていると、何かの加減で前輪にぶら下げたものが近づいてしまい、巻き込まれる可能性があります。
ものを巻き込むと車輪は回らなくなり、ロックされた状態になります。そうすると、乗っている人はバランスを崩して転倒することになります。
単純な転倒で済めば大事には至らないかもしれませんが、車道側に転倒してしまったり、歩行者を転倒の巻き添えにしてしまったりして、思わぬ大事故につながる可能性もあります。
こうした事故を防ぐために、NITEは「荷物は自転車のかごに入れて」と呼びかけています。
NITEは今年、自転車のヒヤリハット事例や事故の経験の有無などについてアンケートをしました。15歳~89歳の男女1万9297人から2161件の回答が集まりました。
どのようなヒヤリハット事例があったか尋ねたところ、「車輪にものが挟まって転倒した/しそうになった」という回答が1127件あり、他の事例と比べて圧倒的に多かったといいます。
何が挟まったのか具体的に聞いたところ、傘、スカート、服、ズボン、かばんや袋、かごや荷台のゴムひも、かごのカバー、マフラー、レインコート、木の枝、 スカーフ、タオル、イヤホンのコード、ゴルフクラブ、釣りざおなど、さまざまなものが挙がりました。
中には、自分の足が挟まったケースもあったといいます。ライトをつけようとしたときに巻き込まれたようです。
後部座席に座っている「子どもの足」が挟まったという事例もありました。
自転車の事故は前輪ロックだけではありません。ブレーキやチェーンの不備で事故が起きることもあります。NITEはほかにも自転車に乗る時に次のポイントを確認するよう勧めています。
・ブレーキの利き具合は必ず確認する
・チェーンの状態を確認する
・乗車前に車輪やハンドルまわり、ペダルの緩みやがたつきを確認する
・リコール情報を確認する
自転車は手軽に運転できますが、転倒や衝突をすると、自分だけでなく周囲の人びとにも大きなけがを負わせる可能性があります。
また、昨年には道路交通法が改正され、スマートフォンなどを手で持ったまま自転車に乗って通話したり、画面を注視したりする行為が禁止され、罰則の対象となっています。
NITEは「いま一度、安全に自転車を使用するためのポイントを確認してほしい」と呼びかけています。
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