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〝ぷりぷり〟「まあ可愛い!」 コビトカバの赤ちゃん日本でも会える

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覚えていますか。昨夏、タイでカバの赤ちゃんが世界的フィーバーを巻き起こしたのを。「ムーデン(豚の肉団子)」という名前と、ぷりぷりのフォルム。その子と同じ〝コビトカバ〟の赤ちゃんが、今春、上野動物園でも誕生し、間もなく公開されると聞いて、取材しました。
「コビトカバの公開練習が始まりました!」
このコビトカバの赤ちゃんは、3月14日に上野動物園で生まれたオスです。
4月25日の体重測定ではついに20キロを超えたそうで、期待を裏切らない〝ぷりぷり〟っぷり。まるまるの目と顔で、かわいらしさを振りまいています。
名前は投票によって「コブシ」に決まったことが、5月1日、発表されました。
コビトカバはもともと西アフリカの密林に生息しており、カバよりもずっと小さく、「カバの祖先の姿を保っている」とされる貴重な動物。しかし、開発などによってその数が減少していて、パンダ、オカピと並ぶ「世界3大珍獣」と言われることもあるそうです。
コビトカバの〝赤ちゃん〟と聞くと、「ムーデン(豚の肉団子)」と名付けられたタイのコビトカバの赤ちゃんが記憶に新しいですが、実は日本でもたびたび生まれていました。
日本では1962年に上野動物園で初繁殖に成功。その後、63年間で国内では23頭のコビトカバの赤ちゃんが生まれたそうです。
コブシは上野動物園で生まれた13頭目のコビトカバで、母の「ナツメ」も上野動物園生まれです。
繁殖は簡単ではありません。
飼育展示課長によると、「コビトカバの繁殖の難しさは、ペアを組む個体同士の相性を見極めることと、交尾のために同居させるタイミングを見極めること」で、もしも見極めを間違えると、「個体同士の闘争により大けがを負ってしまうことがあります」。
さらに、相性やタイミングが合っていたとしても、繁殖のための環境を整えなければ、交尾は成功しません。
大阪府吹田市の「生きているミュージアム ニフレル」から、オスの「モトモト」を迎え、無事、繁殖に成功しましたが、今度は「母親がしっかりと授乳などの世話をするか、寝返りをうった時に子どもを押しつぶしてしまわないか」と、コブシが元気に成長するための準備を念入りに行い、見守ってきました。
日本でも繁殖に成功してきた「コビトカバ」ですが、飼育担当者たちは、昨夏、世界の注目を集めたタイの「ムーデン」を、どう見ていたのでしょうか。
飼育展示課長は「コビトカバ自体の魅力や子どもの可愛らしさは、どこの動物園でもあまり変わらないと思います」と強調しつつ、「ムーデンの場合はネーミングの妙と、SNSユーザーの注目を集める映像の発信などが、フィーバーの要因では」と分析。
4月11日の夜間観察カメラの映像です。
— 上野動物園[公式] (@UenoZooGardens) April 16, 2025
母が寝ている横で子どもがひとり遊びをしています。母の首に乗ろうと何度かトライしていました。#コビトカバ成長記録 pic.twitter.com/T4EaZELbqh
ちなみに、ネーミングは上野動物園の飼育担当者が案を考え、「コブシ」「アオバ」「ツクシ」「ハヤテ」「スズナ」「レン」の中から投票を募りました。
上野動物園生まれのコビトカバには、いままでも植物由来の名前をつけていたそうで、今回決まったコブシは春に花をつけ、花言葉は「『友情』『愛らしさ』」だそうです。
コブシはいま、公開に向けて、室内と屋外の出入りに慣らすための練習中。〝慣らし公開〟は、体調などに合わせて不定期に行われているため、会いに行っても、室内に入っていて見えないこともあったり、運良く屋外にいる時に居合わせて見えることもあったり。
無事に会える日が待ち遠しいですね。
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