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メニューも船頭ガイドも英語ばかり…京都観光の〝外国人シフト〟加速

訪日外国人客でにぎわう京都。日本人観光客の姿を見かけることが少ないように感じていましたが、そんな体感を裏付けるようなデータが発表されました。主要観光地10カ所を訪れた日本人観光客は前年比で平均15%減少したといいます。(朝日新聞記者・武井風花)
昨秋、清水寺近くの飲食店に入ってメニューを見たら、全て英語でした。周りを見渡すと、記者以外の客は外国人のように見えました。
保津川下りの船に乗った時には、乗客20人ほどのうち日本人は4人だけ。船頭のガイドも英語が中心でした。
錦市場は毎日混雑しているが、日本人客の姿は少ない――。そんな実感がありました。
京都を訪れる日本人は減っているのでしょうか。そんな実感を裏付けるようなデータを京都市が発表しました。
携帯電話の位置情報をもとに分析した結果、昨秋、清水寺などの主要観光地10カ所を訪れた日本人観光客は前年比で平均15%減少したといいます。
京都市はオーバーツーリズム対策として、観光客を空いているエリアに誘致する「分散観光」を推進してきました。
その成果が出たというのですが、混雑や物価高騰などを理由に日本人客に京都が敬遠されている可能性はないのでしょうか。
一方、同じ分析で、外国人観光客は平均30%増加しました。
京都観光総合調査によると、訪日客の消費額はコロナ禍前の2019年の3万7437円から2023年には7万1661円と倍増しています。
同じ期間に日本人は2万267円から2万3809円と約17%の伸びにとどまり、差は大きくなっています。
円安を背景に、京都での外国人客の消費単価は日本人客の3倍にまで――。高価格帯の店が増加し、「外国人シフト」が加速しています。
京都市観光協会の関係者に、日本人が京都から離れていく構図について、受け止めを聞いたことがあります。
返ってきた答えは、「オーバーツーリズムを避けながら経済成長するには、観光客1人当たりの単価を上げる必要がある」。
より多くの金額を支払ってくれる外国人に向けたサービスが増えるのは必然という見解でした。
京都で暮らした2年間、繁華街の飲食店の値上がりが止まらないことも実感しました。
全国的な傾向だと思いますが、京都は先取りしたかたちで、多くの観光客が街中を歩く都市は特に変化が速いのかもしれないと思いました。
現在の仕事場である大阪も多くの観光客が押し寄せています。観光と市民生活の両立について、引き続き考えたいと思っています。