IT・科学
みんなgrokに何を聞いている?データを分析、やっぱり多いのは…
最近よく見かける「@grok ファクトチェック」ですが、データを分析すると…

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最近よく見かける「@grok ファクトチェック」ですが、データを分析すると…
最近Xでよく見かけるのが、誰かの投稿に「@grok ファクトチェック」とリプライするものです。どれぐらい使われているのだろう……と気になり、調べてみました。(朝日新聞社メディア研究開発センター・新妻巧朗)
「@grok」に尋ねると答えてくれる、この機能はいつからgrokのアカウントに実装されたのでしょうか。
イーロン・マスクの投稿によれば、2025年3月7日にメンション付きリプライに対して答える機能がリリースされたようです。
Ask @grok is now live.
— Elon Musk (@elonmusk) March 7, 2025
Just reply to a post with @grok! https://t.co/8UpSfX6LKX
当初は「英語だけ」という情報が出回っていましたが、「@grok」で検索をかけてみると、2025年3月9日の時点で韓国語のリプライに返信しているgrokを見かけます。
2025年3月10日の時点では日本語のリプライに返信しているgrokがいたので、段階的にリリースされていただけなのか、あるいはなんらかのバグが起きていたのかもしれません。
そこで、ユーザローカル社のSocial Insightを使って、日本語で「@grok」が入った投稿の件数を調べてみました。
すると、リリース日である3月7日から4月16日までの間に、計50万3600件ほどの投稿がされているようです。
リリース日である3月7日あたりから3月26日付近は2000件前後。これはgrokが知られていなかったということに加え、言語対応の問題が考えられます。
その潮目が変わるのが27日から28日あたりで、急に2倍以上に増え出します。
そこからは4月4日あたりまで右肩上がりで、1日あたり3万件程度に達し、その後増減を繰り返しつつ減少傾向に転じ、約2万件あたりで横ばいになっているように見えます。
多くのユーザーに行き届き、使いたいと考える人が使う状態になったのではないでしょうか。
では、実際にXユーザーの皆さんはgrokに何を聞いているんでしょうか。データを分析してみました。
Social Insightから、2025年3月7日から4月16日までの「@grok」を含んだ日本語の投稿を収集します。
実際に投稿の中身を取れたのは、ユーザローカル社によってサンプリングされた一部のデータで、利用できたのは50万3616件中の11万4479件でした。
投稿の中に「名詞」が何回出てきたかを集計して、ワードクラウドを作ってみました。
単語の大きさが大きければ、より多くの投稿の中で現れているということです。
同じ単語を連呼しまくるスパムなどが見受けられたので、単語の集計ではなく何件の投稿に出てきたかを出現頻度としています。
すると、「ファクトチェック」がダントツに大きく、その他の名詞が小さく表示されていることがわかります。
これは、他の名詞に比べて「ファクトチェック」の頻度が圧倒的に多いことを示しています。
ただ、ワードクラウドだと「ファクトチェック」以外の単語の大きさがわかりにくかったので、上位15件くらいの名詞をランキング形式で並べてみましょう。
1位はファクトチェック、2位は「こと」、3位は「grok」、それより下は「これ」「何」「人」と続きます。
頻度を見ると、「ファクトチェック」が2位のほぼ4倍以上あるのがわかります。ダントツの多さです。
「こと」や「これ」「それ」「よう」「さん」「みたい」「何」「人」「的」「私」は、日本語を使っていたら頻度が高くなる単語と考えられますが、これらより「ファクトチェック」が多いのか、という驚きがあります。
「@grok」はフィルタしているのですが、それでも「grok」が多く出てくるのは、筆者が目に入る投稿を確認した限り、「grok自身にgrokのことを聞く」投稿だったり、「grokの回答に対する返信で使っている」のが多そうでした。
「AI」は「grok」の使い方と似ていて、grokの回答に対するリプライで、grokのことをAIと呼んでいるケースが見られました。
grokへのリプライがどういうグルーピングになるのかを見るために、共起ネットワークも作ってみました。
共起ネットワークとは、言葉の使われ方のパターンを表現した地図のようなものです。
端的に言えば、文章の中で一緒に出てくる言葉同士を線で繋いで図にしたもので、丸の大きさが使われた回数の多さ、線の太さは一緒に使われた回数の多さを表しています。
また、色や位置関係は一緒に使われやすいグループかという、グループの近さを表しています。
円の大きさは登場頻度の多さを表し、単語と単語を結ぶ線はどれだけ一緒に使われたかを表しています。
対象の投稿が非常に多く単語もとても多かったため、頻度が非常に多かった単語と共起関係に見せるのを絞っています。
「ファクトチェック」があっちこっちの単語に太い線を引かれていることがわかり、現状としては「ファクトチェック」が中心であることはわかります。
「ファクトチェック」と繋がっているメンションとしては「@livedoornews」や「@yahoonewstopics」などがあるようです。
ニュースプラットフォームのアカウントとして影響力の高いこのふたつ。その記事へ「ファクトチェック」と尋ねていることになります。
他にも「AI」「生成」「画像」という単語のつながりも目立ちますね。
「口調」や「風」という言葉が「説明」や「解説」に繋がってるのも見えます。grokにキャラを持たせて解説させるという使い方も多いのかもしれません。
それにしても、これだけ「ファクトチェック」が多いとは……。全体の中だとどれくらいの比率で言及されているのでしょうか。
@grokのメンション付き投稿の中で「ファクトチェック」という単語を含む投稿の比率を、Social Insightのサンプリングされたデータの中でみてみると、3月末あたりのピーク時には50%以上が「ファクトチェック」だったようです。
4月5日以降あたりからは20%程度で横ばいになって安定し始めているように見えます。
となると、grok利用の20%程度がファクトチェック関連になってきているとも考えられます。
とはいえ、このデータも16日時点のもの。今後、新しい使い方が出てきたら、どんどん変わっていくのかもしれません。
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