IT・科学
米粒1456粒…メーカーの技術光るおにぎりプラモに「これぞ神髄」

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米粒のパーツが1456粒、組み立て説明書はない…そんなおにぎりのプラモデルがSNSで注目を集めています。どんなプラモなのか、実際に購入して組み立てている人とメーカーに取材しました。
X(旧Twitter)で話題になったのは、米粒の一粒一粒を忠実に再現した梅干しおにぎりのプラモデルです。
このおにぎりプラモを組み立てる様子を投稿したのは、Xアカウントむりかもめさん(@murimurikamome)。
よくみたら「組み立て説明書」がない
— むりかもめ🦈 (@murimurikamome) April 1, 2025
なるほどね
おにぎりの作り方なら知ってるでしょ?ってことね…🍙 pic.twitter.com/tRXXOFHzMC
1456粒の米粒のパーツの画像には、「お米炊いておにぎり作った方が早そう」「普通のおにぎりを作る方が簡単だな」「修行かな?」といった感想が相次ぎました。
むりかもめさんは組み立て途中に実際にご飯を炊いておにぎりを作り、「本当に炊いた方が100倍早かった」と投稿しました。
パーツを一つ一つ切り離し接着剤で一粒ずつ組み立てていく、プラモ素人からすると気の遠くなるような作業です。
むりかもめさんに実際に組み立てた感想を聞くと、難しさよりもまず、プラモのクオリティーの高さに驚いたといいます。
「プラスチックの成形技術がここまでクオリティーの高い段階にあることに驚きました。というのも、炊いた米粒の光沢の再現度がかなり高いんです」
「落とした一粒を拾うときに、『あれ、ここで白ご飯食べたっけ?』と一瞬間違えるくらいには『お米感』があります」とのこと。
大変だったことは、「単純にパーツを切り取る回数が多い」こと。
「最初は連続で10粒切り取るのが限界だったのですが、慣れてきたら30粒連続で切り取ることができるようになりました」といいます。
「通常のプラモデルですと、切り取った後にやすりがけをするのですが、ほとんどバリ(切り取り跡)が目立たないんです。なのでほとんどやすりがけは無しで完成までもっていこうかと考えています」とのことでした。
おにぎりプラモはいかにして誕生したのか。江戸川区船堀にあるプラモメーカー・秋東精工に伺いました。
企画部の藤原千誉さんによると、おにぎりプラモの源流は、4年前に発売した「寿司プラモ」にあるといいます。
マグロ、イクラ、エビ、カッパ巻きなどを再現したプラモデル。マグロの寿司の米粒パーツは364粒でした。
当時は新型コロナ禍。プラモデルの展示会などがなくなり、「この機会にプラモデルを作ったことがない人の入り口になるような商品を作ろう」と思い立ち、誰しもなじみのある食べ物をプラモデルにすることを思いついたといいます。
「プラモデルというと、ロボットや電車など、その題材が好きで買われる方が多いのですが、誰もが知っている食べ物をプラモデルにすることで間口を広げられたらと思いました」
寿司プラモは「おうち時間が充実した」と好評で、ネット上でもバズりました。その後、イクラの寿司なども開発し、「もうそろそろ寿司はいいかな」と思い、「進化形」として、さらにパーツの多いおにぎりプラモを企画したといいます。
秋東精工のホームページによると、秋東精工の初代社長は、国産初のプラスチックモデルを販売した玩具メーカーとして知られるマルサン商店で、日本最初のプラモデルとしてあまりにも有名な「原子力潜水艦ノーチラス号」の金型を作った人物だといいます。
その精神を受け継ぎ、プラモの金型の設計・製造を手がけ、高い技術力を誇る秋東精工がこだわって作ったところ、米粒、梅干し、のりから成るシンプルな構成ながら、1456粒もの米粒パーツを組み立てるプラモデルになったといいます。
おにぎりプラモには、組み立て説明書が付いていません。これは、あえて付けていないのだといいます。
「商品画像は三角形のおにぎりに組み立てた写真を出していますが、たわら型のおにぎりでも、丸いおにぎりでも自分の好きな形に自由に組み立てていただければ。自由度が高い商品で組み立て順もないので、ユーザー様が作っていただいたものが完成品です」
これから組み立てようという人には、「楽しいプラモづくりで日常の疲れを癒やしてもらえたらと思いますが、細かい作業で逆に疲れてしまうかもしれない」と苦笑しながらも、「とにかく無心になって作っていただけたら」と呼びかけています。
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