連載
#258 #小山コータローの4コマ劇場
こんな〝おばけ〟見たことない! ヒューチャポポ…水族館とコラボ
ワンチャン、深海にいそう

おばけやしきの思い出と言えば、やはり高校3年生の時に遠足で行った富士急ハイランドの「戦慄迷宮」ですね。名前がもう怖いです。もっと、お客様ファーストで「朗らか商店街」とかにしたほうがお客さんがくるのになぜでしょうか?
僕は元々絶叫系の乗り物や、お化け屋敷がだめだったのですが、なにせ高校最後の思い出ということで友達とならどこまでもいけるだろうという結論に至りまずはFUJIYAJMAに乗ることにしました。
FUJIYAMAはとにかく早くて高くて落差がすごいジェットコースターです。コースターといえば、当時の僕はホットココアを飲むときにマグカップの下に敷くものという認識でしたので、まさかあんなに悪意に満ちた乗り物だとは思いもしませんでした。
実際乗ってみるとかなり怖くて、手がハサミになってなくてジムにも通っているので力もそこそこあるシザーハンズが愛する女性を抱きしめるかのようにバーを強く握りしめてしまったので、握力がまったくのゼロ状態になり、降りてからはトートバッグをポロポロと落としながら園内を回る羽目になりました。
ヘンゼルとグレーテルとコータローだったら、実家から森の奥までトートバッグを目印にしていたことでしょう。
そして「戦慄迷宮」へ4人で乗り込みました。僕と卓球部の二番手と、めがねの細身と、帰宅部の4人でした。戦力はかなり低いです。
なんとこの戦慄迷宮は脱出まで50分程度かかるのです。50分といえば、名探偵コナンの前編後編に分けるタイプの事件なら毛利小五郎が眠り始めている頃です。
いざ入ってみると真っ暗な病院内を歩かねばならず「メスが飛んできたらどうしよう」「カルテの角を目に入れられたらどうしよう」「医師免許がキャッツカードみたいに飛んできて脇腹に刺さったらどうしよう」そんな不安がよぎります。
このあとはネタバレになってしまうので細かいことはいえません。とうか、本当に記憶を失ったまま気づいた時にはもう15分くらいで途中の脱出扉から飛び出していました。
「これが飛び出す絵本だったらきっと読んでいる幼児は満面の笑みだろうな」
そう思いながらも戦力の低いこのチームが俺の高校3年間の集大成かと思うと本当に戦慄しましたし、15分ではコナン君も迷宮入りです。
<こやま・こーたろー>
漫画家。「違和感」を作風とし、漫画家のSNS「コミチ」やTwitterで毎日4コマ漫画を発信中。前後関係を無視したセリフや、突拍子もない理不尽な展開が得意。初の書籍「デリシャス・サンド・ウィッチーズ」(扶桑社)発売中。Twitterアカウントは@MG_kotaro。
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