IT・科学
博物館の「あんしんルーム」って? 「誰もが安心して楽しめる場に」

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福岡県の博物館が、館内に「あんしんルーム」というスペースを作りました。設置に至った背景には、誰もが安心して楽しめる博物館にしたい、という思いがあったそうです。どんな部屋なのでしょうか。
「あんしんルームは、刺激に敏感な方が、気持ちを落ち着かせるための部屋です」
「4月2日(水)から使えます。部屋があることで、あんしんして来館できる方が増えますように!」
あんしんルームは、光、音、におい、人の多さなどの刺激に敏感な人が、気持ちを落ち着かせるための部屋だといいます。
このようなスペースは、「カームダウンルーム」などと呼ばれ、空港などにも設置されていますが、国内の博物館では珍しいといいます。
九州国立博物館は、こんなときにあんしんルームを使って欲しいと呼びかけています。
・不安になったとき
・刺激に疲れたとき
・気持ちが高ぶったとき
・パニックになりそうなとき、パニックになったとき
九州国立博物館に「あんしんルーム」ができます!
— 九州国立博物館 (@kyuhaku_koho) March 29, 2025
あんしんルームは、刺激に敏感な方が、気持ちを落ち着かせるための部屋です。
4月2日(水)から使えます。部屋があることで、あんしんして来館できる方が増えますように!#あんしんマップ #あんしんガイド #カームダウン #クールダウン pic.twitter.com/yQEU9YqFxB
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九州国立博物館は「誰もが楽しめる博物館」を目指して、様々な取り組みを続けてきました。
これまでは視覚障害者や聴覚障害者向けのプログラムは実施していましたが、発達障害のある人に関しての取り組みは昨年始めました。
きっかけは、3年前にシンガポールの博物館のアクセシビリティー(利用のしやすさ)の調査をした際、センサリーマップ(感覚が過敏な人でも安心して過ごせるように「大きな音がする場所」や「暗い場所」などの情報を記した地図)やカームダウンルーム(あんしんルームに相当する施設)をすでに導入していることを知ったことでした。
「マップならばすぐに取り組める」と思い、光や音などに敏感な人のための「あんしんマップ」の作成に取りかかり、昨年から使われています。
あんしんマップは、光(明るい場所/暗い場所)、音(大きな音がする場所/静かな場所)、人が多い(混雑している場所)、におい(においがする場所)の4項目を、館内マップに分かりやすく表示しています。
外部アドバイザーとして福岡市立発達障がい者支援センター(ゆうゆうセンター)に助言してもらいました。
マップだけではフォローしきれない情報がたくさんあることに気づき、博物館がどんな場所なのか、何をするのかなど事前に見通しを立てて来館し、安心して過ごせるための「あんしんガイド」も作りました。
また、来館時にカームダウンルームのような場所があるといい、というアドバイスを受け、あんしんルーム設置に至ったそうです。
あんしんルームは、感覚過敏がある人などが落ち着けるための部屋を目指しましたが、「どんなシチュエーションで使うのか、どんな部屋がいいのか、広さ、壁の素材、色、などなどわからないことだらけ」だったといい、ゆうゆうセンターにアドバイスをもらいながらルームづくりを進めました。
アドバイスを基に、あんしんルームには特徴の違う三つの部屋を造りました。
それぞれの部屋には名前が付いていて、雪、月、花、といいます。
「雪」は車いすが入れる広めの部屋で、ベンチがあります。
「月」は靴を脱いで入る部屋で、ビーズクッションが置いてあります。くぼみスペースもあるのでその中に入ることもできます。
「花」はゆったり座れるソファがあります
このほか、同伴者の待合室もあります。
周りの音を遮るイヤーマフや、気持ちを落ち着かせるグッズも用意しています。形の違う数種類のゴムのボールや、オイルタイマーやプレイタイマーと呼ばれる、縦長の容器に入った青や緑の色が付いたオイルが上から落ちてくる道具、「プチプチ」がエンドレスでできるグッズなどがあります。
ゴムボールを握ったり、プチプチをつぶすことで「リラックスできて落ち着く」という助言があったといいます。
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