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子どもの自殺「社会課題と認識」する大人の割合は…こども家庭庁調査
「強く認識」子どもは37%、大人は16%でした

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「強く認識」子どもは37%、大人は16%でした
増加している子どもの自殺。どの程度、社会課題として認識していますか――。そんな調査を、大人世代と子ども世代にしてみたところ、その結果に差が出ました。専門家は、自殺を考えるほど追い込まれた子どもの変化に気づくことが大事とした上で、塾やバイト先の大人など「そのリスクに気づく可能性が高い大人に働きかけることが大事」と指摘します。
こども家庭庁は1月末、全国の15~59歳の男女を対象に実施にした「子どもの自殺に関する意識調査」を実施しました。
回答者は2324人で、うち19歳から59歳の「大人」は1600人、15歳から18歳の「子ども」は724人でした。
厚生労働省が3月に発表した昨年の自殺者数のうち、小中高生は529人。前年に比べて16人増加し、統計のある1980年以降で過去最多となっています。
今回のこども家庭庁の調査では、年々増加している子どもの自殺について、「社会課題としてどの程度認識しているか」といった、問題の認知に関する質問や、「周囲に自殺の可能性を感じさせたり深刻な悩みを持っていそうな子どもの存在に気付いたときに子どもにとって望ましいと思う対応」について聞くものもありました。
大人と子ども、それぞれに対して同趣旨の質問をし、自殺に関する認知の世代間比較を可能とした今回の調査。相談先があることを知っているかどうかを問う質問もありました。
「自ら命を絶つほどの深刻な悩み・不安を持つ子どもに対する、国・自治体・NPO等の相談先があることを知っていますか」との問いに、子どもは72.4%が「知っている」と答えたのに対し、同じく「知っている」と答えた大人は50.9%でした。
また、子どもの自殺を「社会課題としてどの程度認識しているか」という質問には、子どもは「強く認識している」(37.4%)と「どちらかといえば認識している」(46.3%)と回答し、二つを合わせると83.7%でした。
それに対し大人は、「強く認識している」(16.8%)と「どちらかといえば認識している」(45.2%)の二つを合わせて62%にとどまりました。
NPO法人OVAの伊藤次郎さんが、この調査結果についてコメントしています。
OVAでは、インターネット上で自殺にまつわることばを検索したときに、相談先などを表示することで支援につなげてきました。
伊藤さんは、「最も注目すべき点は、こどもの自殺の問題について、大人よりも子どもが関心を持ち、その知識や問題意識を持っていた割合が高かったことだ」と総括します。
「子どもにとっては、同世代の自殺関連行動がより身近な問題となっていることが背景にあると考えられます」と指摘します。
伊藤さんは、悩みを抱える子どもたちが自殺を考えるほど追い込まれる状況になった場合、家庭や学校、習い事など、所属するコミュニティーの中でその兆候が現れる可能性があり、「周囲の大人が、悩みを持つ子どもの変化に気づき、話を聞き、支援につなぐ役割を担うことが自殺対策の早期発見において重要です」と強調します。
一方、今回の調査結果を踏まえて、「少子化によって子どもの人口割合が低下し、こうした状況を自分事として捉えることが難しい大人も多いことが考えられます。調査結果を見ても、すべての大人に等しく子どもの自殺に問題意識や関心を持ってもらうことは容易ではありません」といいます。
伊藤さんは、「より具体的な施策として、子どもと日常的な接触があり、自殺リスクに気づく可能性が高い立場にある大人、例えば、保護者や学校関係者はもちろんのこと、塾や習い事の先生、アルバイト先の大人など、子どもと関わりのある大人が機能するよう施策を重点的に行っていくことも重要ではないでしょうか」とし、「研修を行ったりして子どもと関わる大人が子どもの見守りについて学びを深めることで、学校や家以外の場所も含めた居場所が『安心できる居場所』として機能するよう観点も重要です」と提言しています。
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