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外出先で「まさかの乳首忘れ」 哺乳瓶ピンチを救った隣のママ

このジャバラの哺乳瓶がピンチを救ってくれました
このジャバラの哺乳瓶がピンチを救ってくれました 出典: やつしろサニーサイドファームのあかねちゃん(@yatsushiroSSF)のX投稿

目次

外出先で子どもにミルクをあげようとしたら、〝乳首〟がない!そんなピンチを乗り切ったお助けグッズに注目が集まりました。海外発の商品は、いま、日本で意外な活躍を見せています。

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大泣きの赤子

話題になったXの投稿(@yatsushiroSSF)では、当時の状況をこう説明しています。
添付された画像には、ミルクがすでに入れられた哺乳瓶の脇に、飲み口である〝乳首〟がない状態のキャップが写っています。

〈まさかの乳首を忘れる私
大泣きの赤子
家に沢山ある乳首
1500円する乳首
悩む私〉

なかなか高くつく乳首。悩んでいると声をかけてくれる人がいました。

この絶望感たるや……
この絶望感たるや…… 出典: やつしろサニーサイドファームのあかねちゃん(@yatsushiroSSF)のX投稿

〈近くにいたママさんがこれが良いよと教えてくれた
使い捨て哺乳瓶300円※
まじで助かりました本当にありがとう
あのママさんに幸せいっぱい訪れますように!!!!!ありがとう!!!!!!!〉

この投稿には「日々進化してる」「これは便利!」「もっと早く知りたかった」という声や、遠出の時に「使い捨て哺乳瓶にすると荷物が軽くて助かった」「帰宅後に哺乳瓶を洗う手間が省けた」という愛用者の声も集まり、1万件のいいねがつきました。

※編集注:現在、この商品は税別1個380円

なぜコンドームの会社が?

哺乳瓶は使うたびに、きれいに洗って、消毒する必要があります。外出先では簡単に消毒ができないため、いくつも替えのボトルや乳首を持ち歩くことになりがちです。

さらに乳首など、こまごまとしたパーツを一つでも忘れると使えなくなり、パニックになることもしばしば。

Xで話題になった使い捨て哺乳瓶について聞いてみようと、販売する会社を調べると「相模ゴム工業」とあります。コンドーム「サガミオリジナル」などで知られる会社が、なぜ哺乳瓶を? 聞いてみました。

「使い切りほ乳ボトルchu-bo!(チューボ)」。この状態で持ち運べる
「使い切りほ乳ボトルchu-bo!(チューボ)」。この状態で持ち運べる 出典: 相模ゴム工業提供

答えてくれたのは、営業企画室の山下博司さんです。

相模ゴム工業が手がける使い捨て哺乳瓶は「使い切りほ乳ボトルchu-bo!(チューボ)」です。ジャバラ式のため、持ち歩くときは折りたたんだ状態でコンパクトになり、使うときはボトルを伸ばしてミルクを入れられます。

開封後はすぐに使えます。付属する乳首は一つですが、ミルクの吸い出し口を3段階で調節でき、子どもにとって適量のミルクが吸い出せるように工夫されています。

ジャバラになっており、ミルクを入れるときは伸ばして使える
ジャバラになっており、ミルクを入れるときは伸ばして使える 出典: 相模ゴム工業提供

便利な商品を、なぜコンドームの会社が?

山下さんによると、相模ゴム工業では1934年に日本初の天然ゴムラテックス製コンドームの製造販売を開始して以来、会社の主軸となっているのはコンドーム事業ですが、そのほかにもプラスチックや介護事業と幅広く展開しているそうです。

2019年からは妊活事業を立ち上げ、「自宅でできる、ふたりではじめる妊活」をコンセプトに商品を展開してきました。

「避妊と妊活」。一見〝真逆〟にも思えるのですが、山下さんは「どちらも根底にあるのは『家族計画』で、避妊や妊活などステージに応じて、社のスローガンである『愛のアイデア』にあふれた商品を提案していきたいと思っています」。

家族計画の延長線上に「子育て」グッズも登場しました。

「そんなに売れるのか……?」

先を見通した事業のヒントをくれたのは、海外の相模製コンドームの〝お客様〟でした。

1980年代に介護事業に進出した際は、「日本も近い将来高齢化が進む」とスウェーデンの〝お客様〟がヒントをくれました。

使い切りほ乳ボトルの時は、〝お客様〟であり、スイスのコンドーム市場のトップシェアを誇る販売会社から、「タイから仕入れている良い商品がある。日本で扱ってみる気はないか」と紹介されたそうです。

日本では哺乳瓶というと少数の企業が市場のシェアをほとんど独占している寡占状態でしたが、「消毒不要」「軽量コンパクト」「使い捨て」という特徴は、一般の哺乳瓶と差別化できると考え、日本での販売を決定しました。

しかし、ニッチな商品です。さらに日本は少子化。「そんなに売れるのか……?」と社内には不安もあったと言います。

育児中のスタッフが商品を試して、乳首を日本の主流の哺乳瓶に近い固さにするなど、改良を加え、2013年に発売しました。

しかし発売後、日本独自の「活路」を見いだしていきます。

使いやすいように、日本独自の改良を重ねている
使いやすいように、日本独自の改良を重ねている 出典: 相模ゴム工業提供

「そういう視点はこれまでなかった」

タイの製造元から「そういう視点はこれまでなかった」と驚かれた「使い道」。それは防災備蓄でした。

避難生活のストレスで母乳が出なくなってしまう人。避難所では授乳がしづらいという声。哺乳瓶は消毒もままならないため、慣れないスプーンやカップであげなくてはならないなど、「避難生活での授乳」には、さまざまな課題が指摘されていました。

自治体向けにダイレクトメールや商品を送ったところ、発売から2年ほどで問い合わせが急増。これまでにすべての都道府県から購入があったそうです。

現在の売り上げは、4割が備蓄用に購入する自治体向け。「ここまで自治体で採用していただけることは想定していなかった」と驚きます。

今回のSNSの反響を見て、「知らなかった」という人が多いと実感したという山下さん。

海外では日本よりも使い捨ての哺乳瓶が好評だと言います。

今後は「SNSなどを活用して、子育てする方々にも使い切りほ乳ボトルを知ってもらいたい」と話していました。

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