ネットの話題
花見でお世話になったから ビールから桜へ恩返し、桜AIカメラ開発
桜の保全に役立つという取り組みについて取材しました

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桜の保全に役立つという取り組みについて取材しました
花見といえばビール。ビールを飲む喜びを広げてきてくれた桜に「恩返し」をしたい――。そんな思いでキリンビールが「晴れ風ACTION 桜AIカメラ」を開発しました。桜の保全に役立つという取り組みについて取材しました。
2024年4月にキリンビールが発売した「晴れ風」。
発売と同時に「晴れ風ACTION」という取り組みを実施しています。
「晴れ風ACTION とは、商品の売り上げの一部を桜や花火大会といった日本の風物詩に寄付できる仕組みのことです」
そう話すのは、マーケティング部の小澤啓介さんです。
ビールを飲むことを通じて、大切なものを未来につなぐことができれば、お客さんが明るく前向きな気持ちになれるのではないか。
そんな思いから着目したのが「桜」と「花火」。
ビールは昔から、お花見や花火大会など日本の風物詩とともに楽しまれてきました。
資金難や気候変動、少子高齢化などで保全・継承が難しくなっている日本の風物詩への恩返しとして、晴れ風ACTIONを企画したといいます。
晴れ風を購入すると、 350ml 1缶につき0.5円、500ml 1缶につき0.8円を自動的に寄付。
また、缶の裏に印字された二次元コードなどから専用サイトにアクセスすると、1日1回0.5円分の「晴れ風コイン」が無料で付与され、応援したい自治体を選んで寄付することができます。
桜の保全活動は昨年4月に、花火大会の支援活動は7月にスタートし、いずれも開始約1カ月半で目標金額の4,000万円に到達。
集まった金額や各自治体の寄付金活用例などは、特設ページから確認できるようになっています。
そんな「晴れ風ACTION」の新たな取り組みが「桜AIカメラ」です。
スマホで桜の写真を撮影すると、独自に開発したAI技術で桜の健康状態や樹齢を判定。
桜の写真と健康状態、樹齢のデータが、位置情報とともにデータベース上に集積されます。
集まった写真やデータを、自治体の桜保全の担当者や樹木医が閲覧することで、保全に役立てようという試みです。
企画した経緯について、マーケティング部の塩田梨沙さんはこう説明します。
「皆さまからの応援で寄付は行っているものの、『もっと多くの桜を守るために何かできることはないか』と思うこともありました。晴れ風ACTIONに関わる多くの方々の声と熱い想いで実現した、これまでの活動から一歩進んだ取り組みです」
全国の自治体の担当者や樹木医に話を聞く中で、いま植えられている桜の状態を把握し、保全が必要になる樹木を探すことに労力や費用がかかることを知ったそうです。
そこで、花見の時期になると多くの人がスマホで満開の桜を撮影していることに注目。
桜の写真を撮るだけで、樹木の状態がわかり、それを自治体に届けることで保全活動に生かせるのでは、と考えたといいます。
開発にあたっては、樹木医の協力の元、約5000件の学習データを用意。
画像内の桜を正確に認識するために領域判定を行い、桜の樹形や樹勢、幹の太さや模様といった特徴を抽出。
それらの特長データと診断結果をディープラーニングさせることで、桜の元気度や樹齢を判定する仕組みで、精度や機能のアップデートも予定しているそうです。
晴れ風ACTIONの取り組みについて、小澤さんはこう話します。
「商品の購入やサイトでの寄付を通じて、全国の自治体の桜や花火大会を知っていただき、おいしいビールを飲みながらそれらを守る活動に参加していただきたいと考えています。皆さまの一杯で日本の風物詩を守る取り組みに、ぜひお力を貸してください」
◇
桜AIカメラの利用対象は20歳以上。桜が咲いている春に限らず通年で利用でき、「葉がつく夏や紅葉の秋、枝だけの冬も含め、年間を通じて桜を撮影していただくことで、桜の保全に必要なデータをより精度高く収集することができます」とのことでした。
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