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IT・科学

「友が白血病で」鈴木おさむが〝54歳〟目前にドナー登録行った理由

でも、ある条件に引っかかって…

日本骨髄バンクのドナー登録をしようと、献血ルームを訪ねた元放送作家の鈴木おさむさんですが……
日本骨髄バンクのドナー登録をしようと、献血ルームを訪ねた元放送作家の鈴木おさむさんですが…… 出典: 日本骨髄バンクのYouTubeチャンネル

目次

「52歳だからギリギリ大丈夫」と思っていたら……。自身が骨髄バンクのドナー登録に向かうようすを動画にし、SNSで公開した鈴木おさむさん。ある条件に引っかかって登録できませんでしたが、それでも動画を公開したのはなぜだったのでしょうか。友人を白血病で亡くした鈴木さんに、その思いを聞きました。(朝日新聞withnews・水野梓)

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ドナーの条件、年齢はギリギリOKだけど…

鈴木さんがドナー登録に向かったのは、新宿東口の献血ルーム。

「何百回とここを通っているけど、ドナー登録ができるところがあるなんて全く気づきませんでした」と言います。

献血ルームで担当者から渡された「ドナー登録の条件」について、項目をチェックしていきます。

まず年齢は18歳以上、54歳以下。鈴木さんは「僕は52歳だからギリギリ大丈夫ですね」と言います。

しかし服用している薬に「高血圧の薬」がありました。担当者から「血圧の薬をのんでいる方ですと、登録できません」と告げられ、鈴木さんは「そうなの!?残念……」と声を落としました。

鈴木さんは、ともにテレビ業界で働いていた「戦友」と呼ぶ友人が、白血病を再発。昨年に亡くなったといいます。

「登録できなかったのはすごく残念ですけど、でも僕、ドナー登録のことを発信します」

「年を重ねると体に異常が出てくる人が少なくないんで、ドナー登録が気になったら、ぜひ30代とか40代とかの若いうちにいってほしいなと伝えたい」と語りました。

現在の骨髄バンクドナー、「引退」が迫る

登録のきっかけは、ラジオで共演しているプロデューサーの河瀬大作さんから骨髄バンクの現状を聞いたことでした。

骨髄バンクのドナーは54歳以下であること、現在のドナーの半数以上が40代超で「引退」が迫っていること、ドナー登録に条件があることなどは、登録に行くまで知らなかったといいます。

「『ドナー登録してください』と呼びかけるだけ、ということもできたと思います。でも、それってうそっぽいなと思って。だから、自分がドナー登録に行こうと思ったんですよ」

登録できなかった時は、どう思いましたか――と記者が尋ねると、鈴木さんは「あ、役に立てないんだ、と思いましたね。健康じゃないとだめなんだって」と語ります。

出典:日本骨髄バンクの動画

それでも動画を公開しようと考えたのは、「できなかった自分の動画でも、誰かの目にとまって関心を持ってもらえたら」と思ったからだといいます。

「とはいえ、そんなに簡単なことじゃないですよ。僕がドナー登録に行った動画を見たからって、何人の人が『じゃあ自分も』と思って行動するでしょうか」と指摘します。

「たとえば、僕がインスタグラムでおいしい店の情報を投稿したとするでしょ。『おいしそうですね!』とコメントがつくこともある。でもそのうちの何人が、実際に食べにいきますか?」

「おいしいお店でさえそうなんだから、ドナー登録に行くっていう大変なことを、どれぐらいの人がやってくれるでしょうか」

どれだけ「自分事」に感じてもらえるか?

骨髄バンクは現在、情報が届く人を増やそうと、X(https://x.com/JMDP1789)のフォロワーを3万人にする目標を立てています。

「いまの社会は、余裕のない暮らしをしている人ばかりだと思います。誰かインフルエンサーが『Xをフォローして!』と言ったら数としては増えるかもしれませんが、それは本当にドナー登録という『行動』の増加につながるでしょうか」と話します。

「ただ発信するだけでは届かない。どれだけ『自分事』に感じてもらえるか、が大事だと思います」

骨髄移植で救われた人のストーリーをショート動画にして伝えたり、移植を待つ患者さんの声を伝えたり……。なんとかして「自分事」として考えてもらう〝仕掛け〟が大事ではないかと語ります。

3月1日には、日本造血・免疫細胞療法学会の総会イベントに登壇し、学生たちと移植について考えます。大阪市のグランキューブ大阪で開催され、申し込みなしで参加できます。

鈴木さんは「ドラマで白血病を取り上げたことがあって、そのとき調べたけれど、それでもなかなか『自分事』にはなっていませんでした。でも、病気も災害もそうですけど、驚くほど『突然』にそれはやってくるんですよね」と話します。

「なかなか『自分事』には思えないかもしれない。でも、なんとかそう思ってもらうためにどうしたらいいか、うそをつかずに考えたいと思っています」

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