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たばこ好き芸人の「天国」バイト 梵天しおたむさんが学んでいること
![梵天のしおたむさん=筆者撮影](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/storage.withnews.jp/2025/01/31/3/cd/3cdd41d0-l.jpg)
実力派の姉妹コンビとして注目される「梵天」のしおたむさんは、都内にある加熱式たばこの専門店でバイトをしています。たばこ好きが集まるお店で、たばこ好きというしおたむさんにとっては夢のようなバイトですが、意外なことにネタ作りにも役立っているといいます。(ライター・安倍季実子)
「子どもの頃から勉強だけはできましたが、世間知らずなのか、大学時代からバイトはほぼクビになってきました。でも、今の加熱式たばこ専門店(以下、たばこ屋)でのバイトは4年近く続いています」
そう話すのは、姉妹コンビ梵天のしおたむさん。梵天は、しっかり者の姉とマイペースな妹の関係性を生かしたネタで、結成2年目にして「女芸人No.1決定戦 THE W」の決勝まで進んだ実力派コンビです。
大学時代は居酒屋などの飲食店でバイトをしていましたが、「遅刻が多かったり、単純作業が覚えられなかったりしてクビになってしまいました。ピーク時に、底の浅いもつ鍋を急いで客席に運んだら、お出汁が8割方こぼれてなくなっていたこともありました」と話します。
「今は都内にあるたばこ屋さんでバイトしています。大好きなたばこに囲まれているというのもありますが、ゆったりと落ち着いた環境で、マイペースに仕事ができるから続いているんだと思います」
早番・遅番のシフト制ですが、しおたむさんの他にも芸能活動をしているスタッフが多く、シフト変更の相談もしやすいそう。
スタッフ同士がお互いに活動を応援しあうのはもちろん、常連さんの中には、単独ライブのDVDを購入したり、ライブを観に来てくれたりする人もいるのだそう。大好きなたばこといい人たちに囲まれた、まさに神バイトです。
たばこ好きなため、今のバイト先のことも昔から知っていました。ちょうど夜勤のバイトをやめようと思っていた時に募集があると知り、すぐに応募したそう。
「私の働く店舗はカフェを併設しているため、加熱式たばこの販売業務とカフェ業務を担当しています。初めて来店するお客さんには『お試し吸い』をしてもらいます」
よく喫煙する場所はどこか、どんな時に吸うことが多いのか、好きなフレーバーや吸いごたえの好みなどをヒアリングします。その後、希望に沿う銘柄を紹介しながらテイスティングしてもらい、選んでもらうそうです。
バイト先で販売している各銘柄の香りや味や産地といった特徴も紹介しますが、しおたむさんにとっては「仕事の一環としてたばこの味をお客さんに説明できる。本当に天国みたいなバイトです」と笑います。
しおたむさん自身は、紙巻きたばこと加熱式たばこを半々で吸っているそうです。
「食後、寝る前、ネタ合わせの前、ライブの前、リフレッシュしたい時など、いろんなシーンで吸います。相棒のような存在なので、今さらやめるのも難しくて……」と苦笑します。
「うちは沖縄では珍しい短命の家系なんですが、一番長生きしたおばあちゃんが90歳を過ぎても、たばこもお酒も我慢せず、毎日楽しそうに暮らしているのを見ていました。だからあまりストレスがたまらないようにしようと思っています」
実は、このバイトを通じて、お客さんやスタッフとのコミュニケーションから「常識」を学んでいると話すしおたむさん。
「自分で言うのも変ですが、私は常識がない人間なんです。お笑いって、常識を知らないとできないから、バイトを通じて自分を世間の常識に合わせるためのチューニングをしているのかもしれません」
世間の流行をキャッチすることも、芸人活動に影響しているそう。
「うちのコンビは姉がネタを書いていますが、姉は在宅のバイトをしているので、その時々の流行りなんかをキャッチしにくいんです。私の方が人と触れ合う機会が多いので、バイト先で知った流行や面白いこと、新しく見つけたあるあるなんかを姉に話すようにしています。それを元にネタが生まれることもあります」
姉妹で二人三脚しながらネタ作りに励んでいる梵天の目標は、やはり「The W」優勝です。2023年は決勝に残れましたが、2024年は準決勝で敗退してしまい、悔しい思いをしたからです。
そして、「The W」優勝と同じくらいに叶えたい夢が、コンビでラジオ番組を持つことです。
「姉も私もラジオが好きで、stand.fm(スタンドエフエム/音声SNS)で自主ラジオをやっています。昨年、オールナイトニッポンpodcastで月替りパーソナリティを務めました。すごく楽しかったので、いつかは梵天でラジオ番組が持てたらいいなと思ってます」
さらに、しおたむさん自身は料理番組に出演する夢もあるそうです。
「実は芸歴1年目の時に結婚しまして、それ以来、自宅で料理するようになりました。最近、圧力鍋を買ったんで、朝から煮物を作ることもあります。いつか情報番組で10分くらいのキッチンコーナーを任されるくらいの芸人になりたいですね」
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