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ネットの話題

夫のかばんに「何マーク?」 「譲ります」言えない人へ、2万個配布

「かわいいな…お前さん…素敵だよ…」

「旦那がこんなのつけてた…」と投稿したぷんさん
「旦那がこんなのつけてた…」と投稿したぷんさん 出典: ぷんさんのスレッズより

目次

「帰宅した旦那がこんなのつけてた…」
夫の通勤かばんについた「マタニティーマーク」のようなキーホルダーを発見した、妻の投稿が話題を呼んでいます。キーホルダーには、マークとともに「席ゆずります」の言葉も。キーホルダーの制作者に話を聞きました。

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正解は「席ゆずりますマーク」

「帰宅した旦那がこんなのつけてた…かわいいな…お前さん…素敵だよ…マタニティマーク ??何マーク?」
そんな言葉と共に夫の通勤かばんにつけられた「席ゆずりますマーク」の写真をスレッズに投稿したのは、ぷんさんです。投稿には「どこで購入できますか?」や「このひとと結婚してよかったと思う瞬間ですね」など、300件以上のコメントが付き、多くがマークや、マークをつけているぷんさんの夫への称賛コメントです。
中には、自身も付けているという人が、マタニティーマークをつけている人から声をかけられたといい「つけていて正解でした!」とコメントする人もいました。

ぷんさんの夫は、自身の判断で「突然」このマークをつけ始めたそうで、「理由を聞いたら『譲った相手が大富豪でいつか土地をもらえるかもしれん』と言っていました」と笑いますが、ぷんさんは「多分、普通に自分も譲りやすいように付けているんだと思います」とフォローします。
投稿への反響については「優しい方が多くてうれしかった」と喜びます。

優先席、妊婦に譲ってくれた高齢者

このマークを作ったのは35歳の会社員、椎野祐輔さん。普段はシステムエンジニアとして働いており、このマークの制作と販売は、個人として行っているものです。

制作のきっかけは、2019年末、当時妊娠中だった妻と電車に乗っていたとき、優先席に近づくと、高齢の女性が席を譲ってくれたこと。

高齢者に席を譲らせてしまったことを後悔するとともに、「他に座っている人に譲ってほしいと声をかければよかったのか、でも声はかけにくいよな……」と考えが頭の中を巡ったのだといいます。

そして、「自分は譲る気があるけど、席が必要そうな人が自分から遠い場所にいたり、声をかける勇気が出ない人もいたりするかもしれない」と考え、意思を表明できるマークがあればいいのではと翌2020年、「席ゆずりますマーク」の制作を始めました。

マークのデザインは妻が担当。厚生労働省の「マタニティーマーク」も取り入れているため、当初から厚労省への許可も取っていると言います。

はじめは友人に配る目的で、数十の単位で発注しましたが、友人たちからも好評で、椎野さん自身が物作りを起点に「何か」をやってみたいモチベーションが高まっていた時期でもありました。そこで、マークをより多くの人に配れるように、材料費など必要最低限のコスト分を価格に反映したかたちで、マークを販売することにしたそうです。

現在は販売以外に、若者への無料配布もしています。仕組みとしては、学校や学生団体から配布の希望を受けたとき、希望個数分のクラウドファンディングをするというもの。これまでに3つの学校と学生団体への配布ができたといいます。

「席ゆずりますマーク」=椎野さん提供
「席ゆずりますマーク」=椎野さん提供 出典:席ゆずりますマークのHP

経験者から「私がお返しする番」

これまでに販売したり、無料で配ったりしたものは2万個あまり。現在は週に10件ほど発送しているといいます。
注文の際、購入者の多くはメッセージを添えてくれるそうです。

「こんなマークを待ってました」「温かい気持ちになりました」といった言葉が多く、中でも椎野さんにとって印象的だったのは、出産経験者からの「今度は私がお返しをする番です」というメッセージだったといいます。

他にも、「譲れるときは譲りたい」と、譲られる側と認識されることの多い高齢者や、ヘルプマークの使用者からの注文を受けることもあったといいます。

また、使用後のメッセージとして、「このマークをつけることで『どうぞ』と言いやすくなった」「勇気が出た」「自分の周りに、席が必要な人がいるかどうかを確認するようになった」と、自身の行動変容につながったという感想もあるそうです。

「自分は単純に『このアイデアはいいな』と思い、始めました。社会貢献を大きな目的として始めたわけではありません。でも、メッセージを受け取るうちに、思った以上にみんなのためになっているんだと実感しています」(椎野さん)

相変わらず100%安心な生活ではない

マークの販売・配布を始めて5年。子育て環境への変化は感じているのでしょうか。

「あんまり変わっていないなあという印象です」と椎野さん。
マタニティーマークをつけて電車に乗っても、席を譲られなかったというSNS投稿を見ることもある中で、「妊婦さんは相変わらず100%安心して生活はできていないんだろうなと思います」。

当初、マークを持たなくても席の譲り合いが自然に発生することを目標としていた椎野さんですが、「このままでは実現しにくいなと思います」。一方で「SNSなどでもいいから、このマークを見かけて『誰かが気にかけてくれている』と一瞬でもあたたかい気持ちになってもらえたらいいのかなと思います」

5歳と3歳の男の子のお父さんでもある椎野さん。「子どもの成長はあっという間。いまはこの時間を大切にしたい」と、現在は新たな活動は控えているといいます。

「写真アプリなどで1年前の写真などが表示されると、驚きますよね。子どもと遊んでいると、大人だけの視点では気づかないものに子どもは気づかせてくれる。どこでも学べないようなことについて、子どもを通じてどんどん問題を出されているような経験をさせてもらっています」と、子育てを楽しんでいる様子でした。

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