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グルメ

「味が一発で決まる」冬の食卓で人気 〝鍋つゆの素〟9種を試食

さまざまな「鍋つゆの素」を、同じ鍋の具で試食してみたら……
さまざまな「鍋つゆの素」を、同じ鍋の具で試食してみたら…… 出典: 撮影はwithnews編集部

寒い時期、スーパーの棚には「鍋つゆの素」が数多く並ぶ。私はこれまで、一般のご家庭における「普段の鍋」を取材してきたが、鍋つゆの素は「味が一発で決まっていい」「失敗の心配がなくてうれしい」といった声がよく聞かれ、その人気を実感していた。今回は定番の商品から、ちょっと気になる味わいのものまで9種類を、withnews編集部のみなさんと試食してみたい。(フードライター・白央篤司)

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名前のない鍋、きょうの鍋
※クリックすると特集ページに移ります。
試食方法:長ねぎ、油揚げ、きのこ、豚肉を統一具材として各鍋つゆで煮て試食。計5名で試食した結果を紹介します。

試食メンバー(敬称略):
河原夏季 30代後半・女性
武田啓亮 30代前半・男性
松川希実 40代前半・女性
水野梓  30代後半・女性
白央篤司 40代後半・男性

①塩レモン鍋つゆ(久原本家食品)

国産鶏のがらスープを使用し、レモンと塩のシンプルな味つけ。ストレートタイプ。試食を始めてすぐに「思ったより酸味しっかり!」という声が上がった。
武田:「レモン鍋って初めてだけど、豚肉がさっぱり食べられていいですね。香りの強い食材とも負けない鍋つゆ」

河原:「想像以上にレモンの香りがしっかり。ただ、うちの子(5歳)だと酸っぱくてちょっとむずかしいかな」

水野:「うん、酸味が強めで大人っぽい味わいだよね」

松川:「私はすごく好き! ベトナム料理のレモングラスを入れる鍋を思い出す。夏の鍋としてもよさそう」

みなさん言われるように、レモンの香りと酸味が強め。酸っぱいもの好きには喜ばれる味だろう。

私は食べた瞬間、たらやかきなどをメインの魚介鍋にしたくなった。しょうがも加えて、仕上げにオリーブオイルひとふりなんてよさそう。あるいは鶏とレタス、トマトを具材にしても合いそう。ちょっといつもと違う味を楽しみたいときによい鍋つゆの素に思う。

②あごだし寄せ鍋(久原醤油)

九州の長崎を中心に愛される焼きあご(とびうおを焼き干しにしたもの)の出汁をベースに、鶏がらやかつお節、椎茸などのエキスも加えた醤油ベースの鍋つゆ。ストレートタイプ。色は薄めでいかにも西のおつゆ、という感じ。

「うま味が濃い!」と全員が声をそろえた。
水野:「うわーっ、日本の鍋~~~って感じですね!」

河原:「出汁、すごく出汁! そしてしっかりした甘みを感じます。まいたけが合うなあ」

武田:「おつゆがしみたえのきもおいしい。このおつゆ、きのこ類が特においしく感じられます」

松川:「舌のうまみを感じるところが刺激される。出汁の風味が効いてると確かに和食って感じがしますねえ。うちの子(6歳)もこれは好きそう」

家庭でイチから出汁をひいて「うまみしっかり」にしようとすると、手間も材料費もかかってしまいがち。ここまで濃くて複雑な出汁はなかなか家では作れないよなあ……と味わいつつ思う。シメは雑炊もいいけれど、うどんもいいだろうな。

③〆まで美味しい 濃厚みそ鍋つゆ(ミツカン)

「コクのある味わいでシメまでおいしい」がコンセプトで、鶏がらと豚骨ベースのスープに米味噌と豆味噌を合わせてある。

公式サイトによるとシメはラーメンで、バタートッピングがおすすめとのこと。

「この鍋にはこれ!」と決めてくれた方がラクという人も世の中多い。アレンジレシピやおすすめのシメ方、公式サイトにはヒントが載ってること多いですよ。

武田:「確かに濃い味わいだけど、くどくないですね。野菜が苦手な子もこれなら食べられそう。野菜独特の香りが味噌風味だと気になりません」

松川:「食べるうちに、お腹からあったまってきますね!」

水野:「ちょっとピリ辛なのもいい。食欲が誘われる」

河原:「ホント、体があったまってくる。少しとろみがあって、豚骨を感じますね。ラーメンは太麺が合いそう!」

ひき肉やにらをたっぷり入れてシメにラーメンを投入したら、若者がいるご家庭は盛り上がりそうだな……なんて思いつつ味わった。

ラー油や七味などで辛くして、ごまも入れたら担々麺風にもなる。ラーメンもいいけど、ごはんととろけるチーズにキムチなんて悪魔的なシメもうまそう。

④ だしの効いたスープカレー鍋つゆ(久原本家食品)

「10種類のスパイスと、北海道産玉ねぎの甘味、かつお、焼きあご、あじ、昆布のうまみを合わせたカレー鍋スープ」(公式サイトより)。スープカレー鍋は全員はじめてだったようで、テンション高くコメントが飛び交った。

松川:「運ばれてきた瞬間の香りに新大久保感(笑)! ネパール料理屋さんに来たような香りだけど、食べてみたら……出汁の感じがちゃんとして、うまい! 豚肉が合いますね。スパイシーなのに、食べて口に残るのはやさしい味わいだ。ちょっと味の革命、起きました」

河原:「ああ、出汁を感じます。手羽先とか、トマトやオクラも合いそう。パッケージの写真にあるれんこんもよさそう」

武田:「ホント、出汁がしっかり効いてる。そのままカレーうどんでシメにできますね」

水野:「油揚げ、めっちゃ合う! 本当にカレーうどん、やりたくなる」

カレースープをたっぷり吸い込んだ油揚げ、たまらないおいしさだった。意外かもだがカレー味には厚揚げ、大根、白菜、里芋なんかも実に合うので、機会があればやってみてほしい。

⑤ 〆まで美味しい ごま豆乳鍋つゆ ストレート (ミツカン)

この鍋つゆを使ったことのある人は多いだろう。2005年の発売以来人気のロングセラーで、小規模のスーパーでも置かれている率は高い。

鶏と昆布出汁をベースに、ごまの風味を豆乳でマイルドに仕上げている。豆乳の味にこれで慣れた、なんて声も聞かれてくる。

河原:「私も以前は豆乳独特のにおいが苦手でしたが、この豆乳鍋はやさしい味わいで、いいですよね。かきを入れたくなります」

武田:「クラムチャウダー的な味わいに近いものがあるかも。白菜の甘みともすごく合いますね」

水野:「ああ、やっぱりこの味好き。ホッとしますね~。今まで試した鍋つゆの中で一番好きかも」

まろやかな味わいを一通り楽しいんだら、ラー油を加えて味変するのが私は好きだ。あるいは花椒や山椒もよく合うし、柚子こしょうや黒こしょうをアクセントにするのもいい。

なお、公式サイトではパスタと牛乳、ベーコンなど加えたカルボナーラ的なシメが提案されている。

⑥ 博多華味鳥 料亭の和だし鍋スープ(トリゼンフーズ)

かつお節と昆布をメインとした醤油ベースの鍋つゆ。ストレートタイプ。パッケージに「鳥」「水たき」の字があるが鶏出汁は入っていない。名前のとおり、福岡の博多にあるメーカーの商品だ。

武田:「うまみと甘みが強いですね! 醤油の味わいが生きてるけど、塩辛くはないし味に角もない。出汁が強いですねえ」

水野:「うん、ホント! 出汁の香りが強くて、うまみがガツンと来る。うまみに殴られてるような(笑)」

河原:「『あごだし寄せ鍋』でも感じたけれど、醤油ベースの和出汁ってまいたけの香りがすごく立ちますね。スープにきのこや具材の香りがしっかり感じられる」

この鍋つゆ、私は飲んだ瞬間に「豆腐を煮てみたい」と思った。うま味しっかり、甘めの醤油たれのつゆ。湯豆腐とはまた違う、いい鍋になるだろうな、と。あるいはおでん鍋のつゆにもよさそう。鶏や練りものと一緒にうどんすきにしてもいいと思う。

⑦ 赤から鍋 スティック(イチビキ)

こちらも人気はすっかり全国区、名古屋名物の辛い味噌鍋が自宅で楽しめるロングセラーだ。「スティック」はみそだれと辛みだれが別になっており、辛さを調整できるようになっている。寒いときに辛いものを汗かきながら食べる、というのが好きな人は結構多い。

武田:「お、しっかり辛いですね! キムチ鍋とは違って酸味のない辛さ。豚肉って辛い味つけが合うなあ」

水野:「うん、豚ばら肉がよーく合いますね。辛みだれを入れると味がしまるというか、お酒が進む味になる。そして豚ばらの脂が甘く感じられてきます」

河原:「辛みだれを入れないとスープ自体は甘めなんですね。はちみつも入ってるのか。たれを炒めものに使うアレンジメニューにも惹かれる」

辛さが立ちつつ、甘さとまろやかさがベースにしっかりある。辛いのが好きな人ならどんどん辛くできるのは、一部の人にとってかなりうれしいだろう。贅沢だが、たらの白子をたっぷり入れて作ってみたくなる。

⑧ スープしゃぶ 極みだし(ミツカン)

味付きスープで具材をしゃぶしゃぶし、「しゃぶしゃぶするワクワク感と、おだしの効いたスープを飲むほっこり感を」同時に楽しむ、がコンセプト(公式サイトより)。出汁のベースはかつお、さば、むろあじ、昆布。編集部の水野さんがよく使われているようだった。

水野:「何を入れてもおいしいですが、普段はよく豚ばら肉と千切りキャベツで楽しんでいます」

河原:「塩味でシンプルですね、そこがいいんだな。今回の中で一番好きかもしれません。豚ばら肉の味がしっかりと味わえます」

武田:「白菜やまいたけの味もよく分かりますね。ごま油をたらしてもよさそうだ」

今回の中で、最もホッとする味という印象を私は受けた。野菜炒め用のカット野菜を味つけ無しで炒めて、豚肉と一緒にこのスープで煮たらタンメンっぽくなると思う。中華麺を一緒に煮つつ鍋的に楽しむの、今度やってみたい。

⑨ プチッと鍋 寄せ鍋(エバラ)

こちらも人気の商品。鍋つゆの素が小分けになっていて、1人分から2~3人分まで状況に応じて作りやすい。かつおと昆布が出汁のベースで、薄口醤油で味つけされ、しょうががふわっと香る。うどんつゆや煮物の味つけなどに使う人もいるようだ。

武田:「あぁ……ベーシックな味ですねえ」

水野:「うん、これぞスタンダードって感じ。関東のお雑煮的なおつゆの味わい」

河原:「パンチのある味わいの鍋もたまにはいいけど、普段はこういうのが食べたい。飽きがこない味ですね。なんだかおもちを入れたくなる」

武田:「もち巾着なんかも入れたくなります」

みなさん東日本ルーツの人だったようで、かつお出汁に醤油で作るおすまし的な味わいが心に響いた模様。試食が続いて胃も疲れてきたのかもしれない(笑)。

しかし、舌になじんだ出汁、そして醤油の味というのも日本各地でかなり違うもの。地域によって人気の鍋つゆもきっとかなり違うだろう。

<番外編>能登いか魚醤とラー油とコチュジャンの鍋つゆ(紀ノ国屋)

最後に、私が最近気に入っている鍋つゆ「能登いか魚醤とラー油とコチュジャンの鍋つゆ(紀ノ国屋)」を紹介したい。

いかの魚醤とは、いかを塩漬けにして発酵させて作る調味料。石川県の能登地方は昔からいかの魚醤が有名でな地だ。

試してみたらコクも辛みもほどよく、箸が進む!かの地を応援したい気持ちもあり、この頃よく買っている。

具材はなんでもOKだが、試した中ではかきと菜の花が抜群に合った。もしご興味あったら、お試しあれ。豆腐チゲみたいにして食べるのもおすすめ。

みなさんのお気に入り、おすすめの鍋つゆがあったら、ぜひメール<hakuoatushi416@gmail.com>まで教えてください。

取材・執筆/白央篤司(はくおう・あつし):フードライター、コラムニスト。「暮らしと食」をテーマに、忙しい現代人のための手軽な食生活のととのえ方、より気楽な調理アプローチに関する記事を制作する。主な著書に『自炊力』(光文社新書)『台所をひらく』(大和書房)『のっけて食べる』(文藝春秋)など。2023年10月に『名前のない鍋、きょうの鍋』(光文社)、2024年10月に『はじめての胃もたれ』(太田出版)を出版

X:https://twitter.com/hakuo416
Instagram:https://www.instagram.com/hakuo416/

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