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#32 宇宙天文トリビア
火星が2年ぶり地球に最接近 〝赤く輝く姿〟1月は観察のチャンス
夜空に赤く輝く火星。その火星が約2年ぶりに地球に最接近し、観測のチャンスとなります。寒い時期ですが、夜空を見上げてみませんか。
地球の一つ外側を公転している火星が、1月12日の午後11時ごろ、地球に最接近します。火星と地球の間の距離は約9608万kmとなります。
地球と火星は約2年に一度、最接近を繰り返します。
火星の公転周期(太陽の周りを1周する周期)が687日であるのに対し、地球の公転周期は365日です。火星よりも公転のスピードの速い地球は、780日(約2年2カ月)ごとに火星に追いついて、追い越します。このとき、火星と地球の距離が近くなります。
また、火星の軌道は楕円形で地球との距離は一定ではないため、地球と火星が最接近する距離は毎回変化します。
今回は9608万kmですが、大接近した2018年7月には5759万kmまで近づきました。今回の見かけの大きさは、2018年のときの6割に当たります。
次に大接近となるのは2035年9月で、火星までの距離は5691万kmとなります。
国立天文台によると、1月下旬ごろまで、火星はマイナス1.4等級くらいの明るさになります。これは全天で最も明るいおおいぬ座のシリウス(マイナス1.5等)とほぼ同じ明るさだということです。
天文台は「夕方に見える金星や木星と比べると若干暗く見えますが、深夜に天頂近くで赤っぽく輝く姿も、決して見劣りしないです。ぜひ注目してください」と呼びかけています。
そもそも火星は地球と同じく岩石でできていて、直径は地球の半分ほどの惑星です。二酸化炭素を主成分とする薄い大気に覆われています。表面の岩石や砂が酸化鉄(赤さび)を多く含んでいるため赤っぽく見えています。
火星の北極と南極には、水の氷や二酸化炭素の氷(ドライアイス)などでできた「極冠(きょくかん)」と呼ばれる白い部分があります。
火星の自転軸が傾いているため、火星には地球に似た季節の変化があります。極冠は、季節の変化によって蒸発したり凍ったりするため、大きくなったり小さくなったりします。
生命の痕跡を探すため、近年、探査が進む火星ですが、日本でも火星の衛星「フォボス」から砂を持ち帰る探査計画が進行中です。
2026年秋ごろに探査機を打ち上げて、フォボスの砂を採取し、31年7月ごろに地球に帰還する計画です。成功すれば、「火星圏」への往復の飛行、サンプルリターンともに世界初となります。
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