twitter facebook hatebu line LINE! 連載 2025/01/03 みんなの感想 #11 はたらく年末年始 純烈マネが語る紅白〝連続出場〟舞台裏 大事なのは「いつもの純烈」 メンバーとお客さんを見渡せるよう最後列で見守る純烈マネージャーの江畑貴弘さん 出典: 画像提供:株式会社ジースター・プロ 鈴木旭 ライター 紅白歌合戦 目次 困ったことがあったら、純烈に聞け 実はつながりがあった酒井さんと有吉さん ダチョウ倶楽部との共通点「頑張り禁止」 年末年始は慌ただしいイメージが強い、歌手や俳優、タレントの活動をサポートする芸能事務所の「マネージャー」。2018年から7年連続で「NHK紅白歌合戦」に出場したムード歌謡コーラスグループ「純烈」のマネージャー・江畑貴弘さんも、そのひとりです。江畑さんが見てきた紅白の舞台裏、そして純烈らしさとは?(ライター・鈴木旭) 【PR】聞こえない人たちが導いてくれた手話の世界~フリーで活躍する手話通訳士 紅白終了後も慌ただしいのが純烈 純烈マネージャーの江畑貴弘さん=2024年12月23日、ヒルトン東京お台場で、朽木誠一郎撮影 出典: 朝日新聞社 ――純烈と言えば、紅白歌合戦の常連組です。江畑さんも年末年始はお忙しいんじゃないですか?(編注:インタビューは2024年12月23日に収録) 江畑:紅白歌合戦出場に関してのご連絡をいただくのが11月中旬、その次に「この曲でお願いします」とご連絡を受けるのが12月中旬あたり。その時期はディナーショーシーズンでもあるので、忙しいというよりは日々ステージを踏んでいきながら「紅白では何を歌えるんだろう?」ってドキドキしながら過ごしています。 紅白が仕事納めというイメージもあるかと思いますが、終わってからも仕事をさせていただくのが純烈流といいますか、わりと慌ただしい年が多いです。紅白出演後に朝方まで健康センターを回った年もありますし、岩永(洋昭)さんが加入した2023年は日付が変わってすぐ蒲田にある銭湯でライブをしていました。 必然的に僕も休みは少なくなりますけど、純烈のマネージメントは仕事というよりも、楽しみながら様々な業務をこなしている感じです。「ファンのみなさんが喜んでくれることはどんなことかな?」って考えながら過ごしているので、苦痛ではないんですよ。もちろん完全なオフは少ないですが、楽しみながら日々を送らせてもらっています。 困ったことがあったら、純烈に聞け 日本武道館公演ではプロデューサーとして奮闘した江畑貴弘さん 出典: 画像提供:株式会社ジースター・プロ ――そのほか、2023年までの紅白で印象深いエピソードがあれば教えてください。 江畑:純烈のメンバーって、一般の方と同じような感覚で芸能界を見ている一面もあって。例えば本番当日、出演者が一堂にロビーに集まる場面で、「20メートル先に福山雅治さんがいる! かっこいい!」とか「Snow Manのみなさんとエレベーターで一緒になった! みんな良い人!」とか「斉藤和義さんがいるから、『一緒に写真撮ってほしい』って言ってきてもらえない?」とかメンバーに言われたりするんです(笑)。 共演者の方々もそんな純烈を面白がってくれているのか、X JAPANのYOSHIKIさんから「本当に大きいんだね~。ちょっとセルフィー撮ろうよ」ってスマホを向けられて、慌ててメンバーがポーズしたり(笑)、酒井(一圭)さんと親交のあるマキシマムザホルモンのダイスケはんさんが「紅白で何か困ったことがあったら、純烈に聞け」と伝えてくださったらしく、2023年に初出場したロックバンドの10-FEETさんがメンバーに話しかけにきてくれるシーンもありました。 そのように、いろいろな方から声をかけてもらっている光景はよく目にしますし、ファンのような気持ちでほかの出演者さんのステージを純粋に楽しんでいる時もあります。自分たちの出番は2分30秒ぐらいだけど、メンバーはその一瞬を掴むために1年間を懸命に頑張ってる。だから、紅白の日は出番もそれ以外の時間も、メンバーにとってはご褒美のような時間なのかもしれません。 実はつながりがあった酒井さんと有吉さん ――2020年はコロナ禍で無観客、2022年はダチョウ倶楽部のおふたりと有吉弘行さんの7人で出場したことも大きな話題になりました。 江畑:基本的に選曲もそうですけど、演出内容もNHKさんからのご提案です。純烈は「応援してくれている人たちを楽しませよう」って気持ちが強いから、投げてくれたオーダーに対して期待以上で応えようとする。それは無観客の時も同じで、せっかくの機会だから「楽しませようぜ!」って感じでいつも前向きです。 2022年は、上島(竜兵)さんのことがあっての紅白だったのでいろいろなことを考えました。実はリハーサル中に泣いてしまったメンバーもいましたし、僕もその様子をモニターで見ながら泣いてしまいました。でも、歌い終わると「俺、泣いてないけど?」って顔でメンバーがステージから戻ってきたんです。それを見て、慌てて僕も「泣いてないですよ」って顔をして平静を装いました(笑)。 ダチョウ倶楽部さんは「純烈が救ってくれた」って言い方をしてくださるんですけど、僕たちからすれば「一緒に歌ってくれた」ことがすごく光栄でしたし、大切な思い出になりました。 昨年11月の武道館公演にもゲスト出演してくださって、「白い雲のように」を一緒に歌っていただきました。やっぱり2022年の紅白の記憶が蘇りますし、楽曲とダチョウ倶楽部さんのパワーがすごいので会場が一つになるんですよね。武道館公演のハイライトの一つになりました。加えて、新曲「奇跡の恋の物語」の紹介パートを盛り上げてくださるなど、ダチョウ倶楽部さんにはいつも助けてもらっています。 同じ2022年にダチョウ倶楽部さんと一緒に歌ってくれた有吉さんと酒井さんは、実は昔からつながりがあったみたいで。というのも、酒井さんから「新宿のトーク・ライブハウス『ロフトプラスワン』で働いていた時期に、先輩芸人さんのイベントのお手伝いで有吉さんも会場に来ていて、一緒に椅子を並べていた」っていう話を聞いていたんです。 その後、有吉さんはテレビでご活躍されて、酒井さんは純烈を作って。さらに何年も経ってから、紅白の舞台で同じ衣装を着て、同じステージに立って、同じ曲を一緒に歌うという奇跡が起こった。こんなドラマってあるんだ、と思いました。 ダチョウ倶楽部との共通点「頑張り禁止」 ――2022年は、紅白の出演を最後に小田井涼平さんが純烈を卒業した年でもあります。 江畑:酒井さんが純烈のリーダーでお父さんなら、小田井さんはお母さんのような存在でした。最年長だったし、性格も優しいので自然とそういう役回りになったんだと思います。僕が純烈の担当になった時も、「えばっちゃん、ご飯食べに行こう」といち早く気遣ってくれたのは小田井さんでした。ただ、小田井さんらしいなと思ったのは、最後の紅白の楽屋でも、普段と変わらず隅っこに陣取ってプラモデルを作ってるんですよ(笑)。 もちろん小田井さんにも思うところがあったんでしょうけど、いつも通りを心がけてくれていたんだと思います。マネージャーとしては、「お疲れ様でした」「ありがとうございました」っていう感謝の気持ちでいっぱいでした。 そもそも純烈って、ライブ前に「頑張るぞ!」とかって円陣を組んだりしないんですよ。「頑張り禁止」「常に60%くらいを出し続けなさい」っていうのが酒井さんの教えといいますか、純烈のルールなので。だから、小田井さんも最後までいつも通りだったんじゃないかなと思っています。 常に全力でやろうとすると120点取れる日もあれば、体調を崩すなどして30点ぐらいしか取れない日も出てくる。だから、ムラが出ないように「いつも通り、ある程度のことをやってくれたらいい」「俺たちは持ちつ持たれつだ」というのが、酒井さんの考え方なんです。メンバーもスタッフもそれが身についているから、どんな時も普段通りを心がけて臨んでいます。いつも現状維持ってけっこう難しいですよ。 ――ダチョウ倶楽部のみなさんも、昔から「現状維持」で活動していくとおっしゃっているので、酒井さんと通じるところがあるのかもしれないですね。 江畑:なるほど! 純烈って健康センターや市民会館、野外ステージ、ホテルでのディナーショーとか、いろんなステージに出るんですけど、どこでも同じように臨むんです。悪い言い方をすれば「全部同じスタンス」ですけど、ポジティブに言えば「どこでも同じ純烈が観られる」ってことなのかなと思っています。それが純烈の強みであり、ダチョウ倶楽部さんと近いのかもしれませんね。 お客さんがどの会場で観たとしても、「いつもの純烈が必ずそこにいる」。メンバーもスタッフもお客さんの笑顔を見るのが一番楽しみだから、マネージャーとしてそんな純烈を維持するための役割を担えるように心がけています。 純烈って本当に仲が良いんですよ。こんなこと言ったらメンバーは嫌がるかもしれないんですけど、4人全員がお互いの性格とかキャラクターを理解している。「こういうトコ嫌だけど、こういうふうにすれば嫌なトコ消える」とか「良いところはここにあるから、別にそこはそこでいいよね」みたいにお互いを尊重していて、信頼関係をすごく感じます。 僕に対してもいつも対等に接してくれますし、馴れ合いの仲良しではなく、信頼感から来る仲良しという感じでしょうか。グループとして続けてこられた秘訣は、そこにあるような気がします。 純烈は自然体で楽しんでほしい ライブでのMCは台本なしのフリートークが純烈スタイル 出典: 画像提供:株式会社ジースター・プロ ――1月に入って間もなく、明治座での座長公演がスタートします。 江畑:年始は3日から準備に入って、1月下旬まで明治座での座長公演。数日空けて、2月から大阪・新歌舞伎座での公演を予定しています。(12月中旬の)現時点で、稽古真っ最中です。とても面白い舞台になっているので、ぜひ足を運んでいただきたいと思っています。 純烈って「明るいおじさんたち」ってイメージを持っていただいていますし、それはそれですごく嬉しいんですけど、実はみんなそれぞれ大きな挫折を経験して純烈のメンバーになっているんです。決して輝かしいスター街道を歩いてきた人たちじゃない。 だからこそ、努力を積み重ねて乗り越えてきた。そして、その努力を当たり前と捉え、続けられる心の強さもある。 「明るいおじさんたち」というイメージの裏側には、そんな胸に秘めた覚悟があるんです。だから、「痛みを知っているから優しくなれる」じゃないですけど、純烈って強くて優しいグループなんだなと思っています。 いろいろなメディアに出演させていただくことも多いので、純烈を見かけた時はぜひ肩肘張らず、自分の友達を見ているみたいに、自然体で楽しんでもらえたらと思っています。 また、純烈の活動は全国各地でのコンサートがベースなので、ぜひお近くに純烈が来た時は、「ちょっと楽しみたいな」というような軽い気持ちでいいので、観に来てもらえると嬉しいです。 いつ来ても、純烈という明るいおじさんたちがステージ上で歌ったりしゃべったりしながら、必ず楽しませてくれますので。僕はそんな純烈を今後も見守っていきたいと思います。 ◇ そば屋、神社、清掃工場、銭湯、介護現場……多くの人がお休みをとる年末年始も、変わらず働く人たちがいます。どんな思いで働き、どんなストーリーがあるのでしょうか。 【プロフィール】純烈 酒井一圭、白川裕二郎、後上翔太、岩永洋昭からなる4人組男性歌謡コーラス・グループ。『明治座新春純烈公演』東京・明治座にて2025/1/7~1/28に開催。2025/1/8、ニューシングル「奇跡の恋の物語」(作詩:藤井フミヤ 作曲:藤井尚之)を発売。 純烈の「銭湯ライブ」どんな雰囲気?被災地の無料復興ステージの様子 1/4枚 withnews